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[社説]施政方針演説 改革意欲も熱も見えぬ

沖縄タイムス+プラス / 2025年1月25日 4時0分

 開会した通常国会で、石破茂首相が昨年10月の就任後初となる施政方針演説を行った。

 戦後80年の節目に当たり、価値観の転換が必要だとして、故堺屋太一氏の著書を基に「楽しい日本」を目指すと宣言した。

 看板政策の地方創生については「若者や女性にも選ばれる地方」「産官学の地方移転と創生」など五つの政策を柱に据えた。

 所信表明より具体的な方針を示したものの、東京一極集中の是正や人口減少など過去にも取り組んだが、うまくいかなかったことの延長線上にある対策が目に付く。

 最重要視する経済政策には「賃上げ」を挙げた。

 原資となる生産性向上への支援強化、人材・経営基盤を強化する事業承継やM&A(企業の合併や買収)支援を打ち出し、こちらもより詳細な政策を列挙したが新味に欠ける。

 一方、裏金事件には触れなかった。

 事件を巡っては、新たに東京都議会自民党の政治団体で同様の不正が発覚している。党内に配慮する内向きの姿勢では政治不信は拭えない。

 演説の中では何度も「多様性」を取り上げたものの、与野党間で議論になっている選択的夫婦別姓制度については言及しなかった。

 直面する重要課題を避け、聞こえの良いスローガンを並べるだけでは政治改革の実現は程遠い。これからの新しい日本を考えるというのであれば、課題に正面から向き合うべきだ。

■    ■

 沖縄への言及にも変化は見られなかった。

 昨年末、大浦湾側の地盤改良工事に着手することで「普天間飛行場全面返還の実現に向け大きく前進した」と結論付け、「引き続き、着実に工事を進める」とした。

 防衛省は軟弱地盤の最深部90メートルに達する「B27」地点で強度を調べる本格的なボーリング調査をしていない。

 必要な調査を尽くしていない現場でどう「着実に工事を進める」のか。疑問は尽きない。

 基地負担軽減をどのように進めていくのか。海兵隊の移転がようやく始まったが、いつまでに完了するのかも示されていない。

 石破氏が自民党総裁選や首相就任会見で言及した日米地位協定の改定はすっかり雲散霧消してしまったようだ。

 沖縄政策については現状維持どころか「後退」とすら思える。

■    ■

 外交分野では「日米同盟をさらなる高みに引き上げたい」と表明。同時に「同盟国として応分の役割を果たさなくてはならない」とも述べた。

 ならばトランプ米大統領が防衛費の増額要求や関税引き上げを突き付けた場合、どう対応するのか。

 戦後80年を迎える今年は「民主主義を考える年」だとして、少数与党下では与野党の枠を超えて議論を深めたいと意欲を示した。

 そのためにはまず石破首相自ら説明を尽くすことが欠かせないと知るべきだ。

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