[社説]沖縄市長に花城氏 「継承」の真価問われる
沖縄タイムス+プラス / 2025年1月27日 4時0分
沖縄市長選が投開票され、自民・公明が推薦する元県議の花城大輔氏が当選を果たした。市政野党が擁立した仲村未央氏は及ばなかった。
桑江朝千夫氏の死去に伴う選挙だ。一般的に「弔い合戦」は後継者に有利とされる。
花城氏は、桑江氏が残したメモに後継として名前が記載されていたことなどから継承者であることを前面に出して支持層をまとめた。
中でも強調したのは大型公共施設整備の継続だ。
沖縄アリーナを実現した桑江氏の功績をアピールし、「公約を実現するためには財源の裏付けが必要」と保守市政の継続を訴えた。
桑江氏はアリーナ整備と並び本格的なサーキット場の建設も公約に掲げてきた。花城氏は「桑江市長が準備していた仕事がある。それを私にやらせてほしい」とするなど、遺志を継ぐ決意を示した。
選挙戦では知名度で上回る相手候補に対し、保守系企業を動員した運動量で圧倒した。
自民は沖縄市長選を重要選挙と捉え、花城氏の総決起大会には党沖縄振興調査会長の小渕優子衆院議員も駆け付けた。
県経済は観光産業を中心に好調に推移しているものの、物価高の影響を受け市民の生活は依然として苦しい状況だ。家計の痛みが続く中、政権与党が推す保守系候補に有権者が動いたのではないか。
■ ■
桑江氏の3期10年の実績が評価された結果とも言える。胡屋地区のバスターミナル構想や東部海浜開発地区「潮乃森」の早期実現など、桑江氏が残した公約の実現を花城氏に託した形だ。
花城氏は前回選挙で桑江氏が新たに提示した新火葬場建設についても「国と連携して財源を確保する」として早期実現を約束。同じく建設を推進する仲村氏との違いを強調した。
ただ国頼みの財源確保には課題も多い。沖縄関係予算を巡り国は市町村に直接交付する特定事業推進費を増やしてきた。
しかし、こうした予算が自治体へのコントロールを強める側面も持つということを忘れてはならない。
基地問題は沖縄市にとって大きな課題だ。米軍嘉手納基地では降下訓練が常態化し、外来機の増加などで騒音被害も増大している。市長として市民の安全を守る責務を果たさなければならない。
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オール沖縄系市長は先週の宮古島市長選での敗北によりゼロになった。
加えて今回、玉城デニー知事のお膝元である沖縄市で、有力候補が敗北した衝撃は大きい。
オール沖縄は県内政党の「選挙互助会」と批判されることもあったが、互助会としても機能しなくなっている。
仲村氏の落選は4月のうるま市長選、7月に予定されている参院選にも響いていく。玉城知事や県政与党は負けを深刻に受け止めなければならない。
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