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「妻に申し訳なくて自己嫌悪に」「親がまただまされないか不安」 沖縄で急増する特殊詐欺 被害者と家族の苦悩続く

沖縄タイムス+プラス / 2025年1月29日 7時5分

架空料金請求詐欺で80万円の被害に遭った30代男性=2024年12月12日、本島中部

[なくせ特殊詐欺]

 沖縄県内で被害が拡大している特殊詐欺。県警によると、昨年の被害認知件数は175件、被害総額は2億4700万円に上り、今年も28日時点で12件の被害が確認されている。被害者やその家族は、金銭的な損失だけでなく、将来への不安や恥ずかしさなど精神的にも追い込まれる。専門家は「他人ごとではなく、自分や家族も狙われているかもしれないという危機感を持ってほしい」と警鐘を鳴らす。(社会部・玉那覇長輝)

 「まさか自分がだまされるとは」。2023年11月、架空料金請求詐欺で約80万円をだまし取られた本島中部の30代男性は、こう振り返る。男性は仕事中、実在するニュースアプリの職員を名乗る者から電話があり、「アプリの登録料の未納がある。こちらは弁護士を付けていて今日中に支払わなければ裁判になる」と迫られた。男性は間違って登録したのかもしれないと思い、焦りと不安でパニックに。相手の指示通りに複数のコンビニエンスストアでアップルのギフトカード計80万円分を購入し、利用番号を電話で伝えた。

 その後、妻に相談して詐欺と発覚。恥ずかしさや妻への申し訳なさで、自己嫌悪にさいなまれた。それでも妻は「私が気付いてあげられなくてごめんね」と慰めてくれた。男性は「特殊詐欺が増えていることは知っていたが、自分の身に起きるとは思わなかった」と悔やんだ。 

 「公民館などに行って人付き合いが多ければ、情報も共有されていて、おかしいと気づいたかもしれない」。そう語るのは、80代の母親が預貯金詐欺で約160万円の被害に遭った60代女性だ。

 昨年11月、本島中部に住む母親は、金融機関職員を名乗る者から電話を受け、年金の還付金があると言われた。その後、自宅を訪ねてきた職員を名乗る男にキャッシュカードを渡し、口座から約160万円が引き出されたという。

 年金暮らしの母は父と2人暮らし。買い物以外で外出することはめったになく、近所付き合いも希薄だったという。事件後、母を病院に連れていくと、軽度の認知証と診断された。また被害に遭わないか、母が伝えた個人情報を悪用されないか、不安は尽きない。

 だまし取られたのは、母の年金1年間分。3月には税金の支払いもある。女性は「このまま泣き寝入りするしかないのか。被害者に対して、行政が支援してくれる制度があったらいいのに」と肩を落とした。

[ことば] 特殊詐欺

 警察官や市役所、金融機関の職員などになりすまし、不特定多数の人に電話をかけるなどして現金をだまし取る犯罪。警察庁は、親族や警察官を装い現金を振り込ませる「おれおれ詐欺」、被害者の自宅を訪ねてキャッシュカードをだまし取る「預貯金詐欺」、医療費などの還付金名目でATMを操作させる「還付金詐欺」など10種類に分類している。

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