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天然酵母の食パンが人気 沖縄・浦添市の老舗「ホルト」、2月9日に閉店へ 仕事一筋49年の夫妻、これからしたいことは?

沖縄タイムス+プラス / 2025年2月5日 7時12分

創業当時から使用するパン焼きかまをバックに、笑顔を見せる平良長勲さん(右)と妻和子さん=3日、浦添市安波茶・手作りパン&ケーキの店ホルト(竹尾智勇撮影)

 沖縄県浦添市役所向かいにある手作りパン&ケーキの店「ホルト」が9日、閉店する。パン職人の平良長勲さん(84)と妻和子さん(83)が半世紀近く店を切り盛りし、地域に愛された老舗店だ。昨年12月に結婚50周年を迎えた「おしどり夫婦」は「残りの人生を楽しみたい」と考え、創業49年の歴史に幕を下ろすことを決めた。2人は「これからはゆっくり。カラオケや旅行とか、一緒にできなかったことがしたいね」とほほ笑み合った。(浦添西原担当・新垣玲央)

 創業は1976年6月。当初はケーキ専門の「ホルト洋菓子」として市内の別の場所に開業し、チーズケーキなどが人気を集めたという。97年2月に現在の店舗に移る際、「ダイエットブーム」でケーキの売れ行きが悪くなったことからパン屋に衣替えした。

 平良さんはパラオ生まれ。母と妹を戦後まもなく栄養失調で亡くし、父と2人で実家がある大宜味村に引き揚げた。菓子職人の道に進んだのは17歳の頃。県内の菓子店に勤めながら駄菓子や和菓子の腕を磨き、洋菓子は東京で学んだ。紹介で和子さんと結ばれ、結婚翌年に長男が誕生。創業の年に長女が生まれた。

 パン職人に転身した当初は「パンの種類も名前も全然知らなかった」という。洋菓子作りで培った知識も生かして試行錯誤を重ねた。

 健康を意識し、無添加の材料や水素水を使った生地を丁寧に焼き上げるのが長年のこだわり。約30種の菓子パンが並ぶ中、天然酵母の食パンは遠方から買い求める常連客がいるほど一番の人気だ。

 仕込みなどで朝早くから深夜まで店に出る日々を半世紀近く続ける夫を、和子さんは「仕事の鬼」と呼ぶ。「休みに家族でドライブ行っても店に戻っちゃうし、正月も店にいるし。この年齢なのに、本当に仕事一筋の人なんですよ」と笑う。

 平良さんは「本当は妻に楽をさせたいって思いで始めたけど、かえって難儀させたさ」と苦笑い。和子さんは「神様はたくさんのお金はくれなかったけれど、健康をくれたからいいさ。これからは楽しまないとね」と笑顔で話した。

 店には閉店を知った常連客や昔なじみの客が連日のように訪れている。平良さんは「お客さんにも家族にも感謝、ありがとうとしか言えない」と感無量の表情。和子さんは「感謝という言葉以上の言葉があるなら使いたいくらい」と語った。

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