[社説]日米首脳会談 沖縄の負担に目向けよ
沖縄タイムス+プラス / 2025年2月9日 4時0分
日本側が最も気にしていたのは「二人の相性」と、何が飛び出すか分からない「サプライズ(驚きの要求)」だった。
石破茂首相とトランプ米大統領による初の日米首脳会談。両首脳は会談後、共同声明を発表し、共同記者会見に臨んだ。
実利を重視するトランプ大統領に対し、石破首相は対米投資を1兆ドル(約151兆円)規模に増やすと表明した。
日米の懸案になっている日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画については、トランプ氏が「買収ではなく多額の投資で合意した」と説明、石破氏もこの考えを受け入れた。
トランプ氏はこれまで、買収計画に反対の意向を表明していた。日米の正面からのぶつかり合いがひとまず回避されたことになる。
総じて首脳会談は、経済協力の強化を前面に押し出し、相互の経済的実利を確認する場となった。
安全保障の面では、毎度お決まりの確認事項になっている沖縄絡みの3点が、今回も再確認された。
一つは日米同盟の強化。もう一つは、米国による防衛義務を定めた安保条約第5条の尖閣諸島への適用。あと一つは、辺野古新基地建設を含む在日米軍再編の着実な実施。
他方、沖縄の負担軽減を確実に進めるという明確な意思は示されず、首相が持論とする地位協定改定の記述は見当たらない。
沖縄の負担がいっそう重くなる恐れがある。
■ ■
トランプ大統領は、防衛費を国内総生産(GDP)の2%に増やすという日本の計画を評価する一方、「きょうの協議によってさらに増える」との期待感を表明した。
2%では足りずもっと大幅に防衛費を増やすべきだと主張する国防総省高官もいる。トランプ政権には対中強硬派が多い。
2027年3月末で協定の期限が切れる在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)についても増額を求められる懸念がある。
今回の首脳会談でトランプ大統領が日本に対して「サプライズ」を突き付けてこなかったのは、どの国よりも先にすでに「米軍ファースト」を実施しているからではないか。
それでも足りないと判断すれば、追加の要求をためらわないだろう。同盟国に批判の矛先を向けるのがトランプ流である。
■ ■
石破政権にとって、難しい対応を迫られるのは、トランプ大統領の政策判断が日本政府の主張と相いれない場合である。
パレスチナ自治区ガザに対するトランプ大統領の「所有」発言や、国際刑事裁判所(ICC)職員への制裁を可能にする大統領令への署名などがそうだ。
気候変動対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱も時代に逆行する判断である。
こうした問題に対して黙認するのではなく、敢然と独自の主張を堅持し、国際社会と連携する姿勢が、石破政権に求められる。
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