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[社説]県公文書管理条例案 知る権利資する中身に

沖縄タイムス+プラス / 2025年2月12日 4時0分

 県が、2月議会に提出する「公文書等の管理に関する条例」案に、知事や副知事といった特別職の取り扱いを明記していないことが分かった。

 職員に公文書の作成を義務付ける一方、職員の中に特別職は「含まれない」という認識を示している。

 県では、米軍普天間飛行場の返還と名護市辺野古での新基地建設を巡り、歴代知事が出席する庁議や幹部会議などの議事録、議事メモが存在しないことが、明らかになっている。

 重大な政策決定が続いているにもかかわらず、議論の経緯を検証するための資料が残っていない。

 こうした状況を受け、研究者やジャーナリストが2022年に公文書管理条例の制定を求める陳情書を県や県議会に提出していた。

 条例案では公文書を「健全な民主主義の根幹を支える県民共有の知的資源」と位置付け、作成から保存、利用、移管や廃棄まで「公文書のライフサイクル」を定める。

 日々の県政運営や、意思決定の経緯などを記録、管理し、必要なときに利用できる制度で「現在と将来の県民に、説明責任を果たす」ことを目的としている。

 ただ、玉城デニー知事は、職員が同席しない交渉の記録や調整段階の文書について「ガイドラインで整理する」と述べた。

 重要案件ほど密室性が高まり、知事の交渉は政策決定に直結する場合が多い。その取り扱いは、時の県政の都合で改定できるガイドラインではなく、条例に書き込む必要がある。

■    ■

 また条例案では公文書の内容が明確ではない。

 県はコロナ禍の対策本部会議で発言者を明記せず、主な発言を「議事概要」としてまとめた。県民生活や経済活動に大きく影響する会議だっただけに、専門家は「検証に耐えうる情報ではない」と批判した。

 誰がどのように発言したかは、政策決定の経緯をたどる上で欠かせない。

 議事概要ではなく、発言者を含む詳細な議事録の作成を求めたい。

 県庁では新年度から大規模な改修工事が始まる予定だ。文書が誤廃棄される恐れも指摘される。

 条例案では公文書の保存期間を定め、満了すれば公文書館へ移管するか、廃棄するかを決める。

 県は研修などで保存すべき公文書などの理解を広める考えだが、条例施行前であっても、趣旨に基づき、適切に管理してほしい。

■    ■

 12日開会予定の県議会では、米国での情報収集と発信の拠点とする県ワシントン事務所の設立手続きで、公文書管理のずさんさが明らかになり、紛糾する事態になっている。

 過去の教訓を蓄積することで、次の判断に生かすことができる。長年の米軍基地問題を抱える沖縄では、公文書管理は特に重要だ。

 情報公開は民主主義の根幹である。

 その社会の求めに応じるために、適正な公文書の作成と管理を実現する条例になるよう、県議会でも議論を深めてほしい。

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