首振りDolls、新宿ロフトでの配信ライヴを振り返るアフターインタビューを実施!

OKMusic / 2020年8月31日 20時15分

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(okmusic UP's)

北九州・小倉を地元とする首振りDollsにとって、新宿ロフトという場所は特別な場所だった。憧れのアーティストが立った“ロックの聖地”の敷居は高く、彼らはそこに辿り着くために全国のライヴハウスで自らの音を我武者羅に掻き鳴らし、叫び続け、満を持してそのステージに立ったのだ。

彼らが初めて新宿ロフトのステージにワンマンで挑んだのは昨年の夏。2019年の8月30日のことだった。全国から首振りDollsのライヴを観るために集まった多くのロックファンと共に、最高のサウンドを届けた夏の日から約1年。コロナ禍の中、“無観客配信ライヴ”という形で、2度目の新宿ロフトのステージに立った首振りDollsは何を感じ取ったのだろう? 2020年8月23日に行われた新宿ロフトでの配信ライヴを、ライヴレポートとアフターインタビューで振り返ってみた。

※『首振りDolls 新宿LOFT one-man show〜CELL No.10〜』は、9月6日(日)23:59までアーカイブ放送。チケットも現在発売中! 
チケット価格:¥3,000(+手数料)

■【ライヴレポート】

2020年8月23日。本来なら1年前よりも更に多くのロックンロールファン達を巻き込み、新宿ロフトのステージで大暴れする首振りDollsの姿を観ていたに違いない。しかし、この日、新宿ロフトのフロアに居たのは、メンバーをはじめ、PA、照明、配信班と、最小限に絞られたスタッフ。“ライヴを行う上での必要最低限の人員”のみだった。

閑散とした現場。そこは、数時間後に熱が迸るROCK SHOWが繰り広げられる現場とは思えない静けさが漂っていた。それぞれが持つライヴに向き合う熱量はいつもと変わらず高いのだが、会場に入る際に徹底された検温や消毒や、有観客ライヴ時用に会場の床に貼られたガイドラインに沿ったオーディエンスの立ち位置印は、やはり“ライヴが日常から消えてしまった現実”を突き付けられる。

“配信”というシステムを使ったライヴが主流になった今、配信エラーが起きない様に各所が入念なチェックを行い、それぞれの持ち場で黙々と作業を行っていたこともあり、やはりいつもとは違う緊張感がそこにはあった。ナオはこの日から新たに迎えた相棒(ドラムセット)を丁寧に組み立て、ジョニーとショーンはいつも通り自らの音と向き合い、リハーサルの時を迎えた。音出し、音量のチェック、照明の具合、通常のライヴリハーサルとやることは何も変わらない。しかし、何故か、そこには“ライヴ”という空気感ではなく、“収録”という空気感が漂うのだ。

それは、“ライヴ”と“収録”の違いの大きさに改めて気づかされた瞬間でもあった。リハーサル後に楽屋に戻った彼らはいつもの様に準備を始め、細かい最終チェックを話し合っていた。目の周りに黒いラインを引き、髪を立て、衣装に着替えていくことで、3人は“演者の魂”を纏っていく。楽屋まで届くことのないオーディエンスの声や熱気を精神感応によって感じることで、彼らは狂気を宿すのだ。彼らを“バケモノ”に変えることが出来るのは、他でもない、オーディエンスの力。オーディエンスの体温が感じられないこの日、彼らはいつもよりも落ち着いた様子でステージへと向かって行った。

ライヴはオンタイムで始まった。10からのカウントダウン映像が始まる直前、ジョニーとショーンは何の合図もなく、自然とナオの元に集まると、ナオはドラムの上に自らの手を翳した。ナオの手の上に手を重ねるようにジョニーとショーンが手を伸ばすと、ナオは普段の穏やかな人柄からは想像のつかない荒々しい声で気合い入れをし、ジョニーとショーンの背中を見送った。

1曲目に選んでいたのは「welcome to strange night」。ショーンのスラップが炸裂しまくる攻め曲だ。この曲の1音目が彼らのスイッチだったのだろうか、彼らが音を放ち始めると、そこには忽ち、コロナ前に観ていたライヴハウスの景色に変わったのだ。きっと彼らの目には、1年前に見たそこからの景色が鮮明に蘇っていたに違いない。彼らの意識を“収録”ではなく“ライヴ”に変化させたのは、“画面の向こうで観てくれていたオーディエンスの存在”であったことだろう。

新型コロナウィルス感染症の拡大を受け、3月からライヴ活動を中止してきた首振りDollsがワンマンで有料配信を行ったのはこの日が初だった。彼らがこの日用意したセットリストは、新たな首振りDollsの切り口である「welcome to strange night」から「鏡地獄」「ピンクの実」といった過去に大きく舵を切ったものだったのだ。タイトルが叫ばれるだけの、アグレッシブなインスト曲「welcome to strange night」から、スラップが存在しなかった過去曲「鏡地獄」「ピンクの実」への繋がりに違和感などは微塵も無い。ショーン・ホラーショー(B)という最強の武器が首振りDollsに持ち込んだテクニカルな個性と、ナオが個性とするおどろおどろしい世界観と、いなたく切なげなジョニーのギターサウンドの融合。他に無いこの独特な肌触りこそが首振りDollsの強みである。

MCを挟んで投下されたのは“この日の特別”として彼らが用意していた新曲だった。この日彼らは、それぞれが作った新曲を1曲ずつ、計3曲用意していたのだ。1番最初に届けられた新曲はショーンによって産み出された楽曲「SMILE」。ショーンが作り出す楽曲の絶対的な個性とされるのが跳ね感。リズミックさと怪しげな雰囲気は、一聴しただけでショーンが産み出した楽曲だと分かる。毒のあるファンクナンバー「SMILE」は、この曲によって自然と引き出されたナオのシニカルな歌唱も実に特徴的だった。

そこからロックンロール色の強い「籠の鳥」「蜃気楼」という激しく振り切った流れも、首振りDollsならではの魅せ方だった。荒々しい表現で生々しいライヴをぶつけた彼らは、2回目のMCを挟み、江戸時代に茶屋などで客を相手に男色を売った男娼“陰間”をタイトルとする激情的なロッカバラード「色子」が儚い叫びとしてフロアに放った。いつもなら、オーディエンスは3人が描き出すその情景に吸い込まれるように立ち尽くしている頃だ。

そんな激情を断ち切ったのは、ジョニー作詞作曲の新曲「サボテン」だった。泣きのメロディと、何故か温かな涙を唆る哀愁が寄り添う歌物を得意とするジョニーの“現時点での最高傑作”と言っても過言ではない「サボテン」。自分の気持ちよりも相手の幸せを願う主人公のあたたかさは、ジョニー自身の人間性と重なる。哀しいながらも、絶望的な哀しみを聴き手に与えないのは、描き手の“相手の幸せを願うことが自らの幸せ”という本当の優しさを感じ取れるからなのかもしれない。「色子」の儚さとは全く違った儚さである。

この曲ではなんと、ドラムボーカルのナオが途中で立ち上がり、ドラムを離れてステージ中央で歌うという、首振りDollsにとっては極めて稀なパフォーマンスが挟み込まれたのである。画面の前のファン達は、きっとその光景に胸を打たれていることだろう。そう思っていた。しかし、現場の裏側では、配信上のトラブルが発生していたことを知り、必死で改善に向けて動いていた。無観客であることを忘れてしまう程の熱量でライヴを届けていた彼らの耳に、配信の不具合で前半が観れていなかった人達が居るという事実が伝えられたのは、ここから更に数分後のことだった。なんと、ライヴ開始から約50分が経過した頃だったのだ。

スタッフから耳打ちされたジョニーが“業務連絡です!”と言って、その事実をマイクを通してナオとショーンに告げたのだが、まだこの時点では原因追究に至っていなかった為、画面の向こうで楽しんでくれていると信じて全力でライヴをしていたメンバーも、まさか「色子」の途中まで全く配信されていなかったという事実を知る由もなかったのである。ナオもジョニーもショーンも、不具合があったことを知らされた瞬間、“ちゃんと届けられていなかったんだ”という落胆も大きかったと思うが、3人が1番に気遣ったのは、この日に届く様に送っていたTシャツとタオルを持って、生で一緒にライヴを体感してくれようと待っていてくれたファン達の気持ちだった。

「え!? そうなの!? 最初からやる?」(ナオ)
「何度だってやりますよ!」(ジョニー)

“当然でしょ!”と言わんばかりに、いつでもスタンバイOK状態で受け入れていたショーン。彼らはオープニングナンバーだった「welcome to strange night」を再び届け、最初から始めるかの様な熱量で後半戦へと導いた。本編を終え、楽屋に戻った彼らは、ここで初めてライヴ開始から35分程、視聴者全員がライヴを観れていなかったことを知らさせることとなったのだ。

「もう一回最初から出来たらいいのに。ダメなの?」と無理を承知でスタッフに問いかける3人。アーカイブでは残るものの、やはり、画面の向こうでこの日を待ち望んでいてくれた人達の気持ちを考えれば考えるほど、自分たちが200%の力で届けた時間を共有出来なかった事が悔やまれてしかたなかったのだろう。限られた時間の中で何をしてあげられるのかーー。彼ら3人が出した答えは、“この日の特別でもあった新曲をアンコールでもう一度やる”というものだった。その3人の想いに応えてくれたロフトのスタッフ。素晴らしい連携だと感じた。

1年前の彼らにとって、“前に進むための一歩”として目の前に開かる大きな壁の一つでもあった新宿ロフトは今、彼らと一緒に夢を創り、一緒に夢を叶える場所に変わっていた。上京したての彼らが1年前にステージから見た最高のフロアの景色は、想像もしなかった閑散とした景色だったが、この日彼らは、改めて自分達の音を発信出来るこの場所と、自分達の音を求めてくれるオーディエンスの存在を何よりも大切に感じたに違いない。

アンコールでは、ダルさ全開で吐き捨てる様に歌われる “ナオ節”「チリチリ ロッキンショー(仮)」も届けられた。はすっぱさが魅力のナオの作った新曲だ。オーディエンスがフロアに入り乱れ、好き勝手に踊りまくる無法地帯が、既に目にしたことのある景色としてリアルに目に浮かぶ。「鏡地獄」「カラリカラマワリ」「化け猫」といった“ザッツ首振りDolls”を感じさせる力を持つナオの曲もまた、絶対的な個性である。1日も早くオーディエンスでパンパンに埋め尽くされたフロアにこの曲が響き渡る日が戻って来て欲しい。“ライヴが日常から消えてしまった現実”を改めて悔しく思った瞬間だった。

■お客さんが一番見たいものって、 今まで通りの首振りDollsの ライヴなんじゃないかな

――初の有料配信ワンマンライヴをやってみた手応えは?
ナオ:やっぱりお客さんが居ないと寂しいよね。音を出してしまえばライヴ自体に対する熱量はいつもと変わらないというか、本気なんだけど、やっぱりお客さんが居てくれないと違う。でも、今はみんなのことを守りながら、やれることを精一杯やることからやっていかなくちゃだなって思う。でも、本当に早く昔みたいにライヴしたい!

――今、全てのアーティストが同じことを思っていると思う。ファンのみんなもね。ジョニーはいつもナオやショーンに絡みに行ったり、ステージの中央で奇天烈なダンスをしたり、ステージ狭しと動き回っているけど、今回は絡まずに完結させてたね。
ジョニー:そう。ガイドラインに沿ってね。濃厚接触にならない様に、“絶対絡まない!”って決めて頑張ったから。
ナオ:あ、そういえば、「ティーンネイジャーアンドロックンロール」でくっついて来んかったの初めてやね! 本当に初めてだったかも! 
ジョニー:そう。そこは意識的に(笑)。新たな門出ですね。

――もちろん、絡みがあることで見た目的にもライヴ感は増すんだけど、不思議と物足りなさは無かったなと。それだけ個々がしっかりと魅せれていたんだと思う。ショーンなんて、自粛期間前よりステージングが派手になっていたんじゃないかと。すごく回ってたもんね。
ショーン:いつもより多く回ってます! って感じでしょ(笑)。頑張ったんですよ!

――いや、本当に、毎日鏡の前で研究してんじゃないかってくらい、魅せ方が上手くなってて驚いた。
ショーン:家に居ることが多くなったから、めちゃくちゃいろんなバンドのライヴ映像を観るんですよ。
ジョニー:なるほど!
ナオ:そこからのインプットとアウトプットね!
ショーン:そう。すごくいい刺激を貰ってる期間にもなってますね、自分的には。“あれやりたい”“これやりたい”が、すごく溜まってきてる。
ジョニー:おぉ! じゅあ、グルグル回るステージングってのを、ショーンのオリジナルにしよ!
ナオ:グルグルね! ショーンはグルグル好きやから!
ショーン:おぉ〜。
ジョニー:ショーンは魅せることに重きを置いたんだね。俺は逆に、ギターを弾くことに集中しようかなって思ってた。けど、ギターソロでギターが2回も止まるっていうアクシデントがあって。そこをオイシク魅せることが出来なかったのが悔しかったな〜。普通にテンパってしまったからね(笑)。
ナオ:立て続けに2回も音が止まってたから、気の利いた繋ぎのMCが出てこなくて、普通に“ジョニー! お前次ちゃんと弾かんかったら殺すからな!”って言っちゃったよ、俺(笑)!
ジョニー:口悪〜っ! って思った(笑)。あれがモノに出来てたら本物なのになぁ〜。俺もまだまだやね(笑)。今回一つ心残りがあったのは、フロアに降りなかったこと! カメラとかあったし、降りない方がいいのかなって思って勝手に自粛しちゃったんだけど、降りれば良かったなぁと。

――これまでのライヴでは、ジョニーがフロアに降りるのはお決まりのパフォーマンスでもあるからね。
ジョニー:そう。なんかね、それをしなかったからか、モヤっとしたものが残ってる感じで(笑)。やり残した感が半端なくて。
ナオ:完全にウンコが出切ってないみたいな感覚(笑)? ん〜、まだ全部出切ってない! みたいな(笑)。

――例えの貧困さ、、、。どうにかならないもんかね、それ。
ナオ:あははは。でも、きっとこの例え、的確よ(笑)! ね、ジョニー!
ジョニー:あ、あぁうん、、、。次は降りようかな、ステージから。フロアにお客さんが居ないからこそ出来ることってあると思うし。そういうのもいろいろと考えてみようかな。
ショーン:たしかに! 次の配信ライヴを楽しみにしてて下さい! って感じですね! 課題が出来ていく感じ。
ナオ:そうね。今回ライヴをしながら、お客さんが配信ライヴで観たいものって何かな?って考えたの。配信でしか出来ない新しいことももちろん並行してやっていくべきだと思うんだけど、お客さんが一番見たいものって、ありのままの、今まで通りの首振りDollsのライヴなんじゃないかな?って思ったんだよね。
ジョニー:みんな本当は生でライヴ観たいんだもんね。でも、今はそれが叶わないから、配信で観てくれてる訳だから、より生に近いライヴをすることが、一番喜んでくれることなのかなって思うよね。
ナオ:そう! 首振りDollsはライヴバンドだからね。ライヴがしたいの。とにかくそれが一番。本当に早くお客さんとライヴがしたい。目の前に人が居てくれるエネルギーって絶対にあるからね。目の前で欲しがってるヤツが居たら、“ほら、くれてやるよ!”って思う。それがエネルギーなんだと思う。
ショーン:そういう意味ではお客さんも同じだよね。きっとライヴに来れていないフラストレーションが溜まりまくってるから、ライヴが始まったときの圧はすごいと思う。けど、その圧をちゃんと受け止めて応えられる準備は出来てます!
ナオ:カッコいいこと言うなぁ〜、ショーン。早くその圧受け止めたいなぁ。今回ね、自分的にはすごく圧をかけたと思う。よく、みんな配信だから丁寧に演奏するとか、アーカイブで残るからキッチリと演奏しなくちゃって意識してるとか聞くんだけど、俺は逆だった。こんなに荒々しく演奏したことないっていうくらい荒々しくドラム叩いたし、歌もすごく下品に歌ったの。わざと。
ジョニー:俺逆だったなぁ(笑)。やっぱりどっかで配信であることを意識してしまってた。めちゃくちゃ真摯に向き合ったからね。
ナオ:あ、そこって、もしかしたらバンドでバランス取るのかもね! 俺、ジョニーが思いっきりやってるとき、バランス取ってるとこあるもん(笑)! 
ジョニー:あ〜、それはあるかもね。バンドもライヴも1人じゃ出来ないんだと思うよ。一緒に作る人が居てこそ成立するんだと思う。
ナオ:いいこと言うね〜、ジョニー!
ショーン:でも、本当にそうだなって思った。改めて。
ナオ:一番やりたいのは生でのライヴだけど、いつか出来ると思うから、今は我慢だね。配信でも絶対に楽しませられる自信はあるから。
ジョニー:そう。とにかく、今、やれることを精一杯頑張る。それだけかな。新曲もたくさん作ってるし、アルバムも考えてるし。前向きに考えたら、新曲がたくさん作れているのも、この時間があるからだし、そこを無駄にしないようにしなくちゃだなって思う。

――そうだね。

■お客さんが喜んでくれることだけを 考えて曲を選んだ

――今回セットリストを組む上で考えたことは?
ナオ:逆に特に意味を持たせる感じとかではなかった。1年前のロフトを意識したという訳でもなかったし。
ジョニー:去年のセットリストは意識しなかったね。
ナオ:うん。今、首振りDollsのライヴを観たいって思ってくれてる人達は、きっとこういうライヴ観たいんじゃないかな? って思って組んだの。お客さんが喜んでくれることだけを考えて曲を選んだ。あんまり普段のライヴではやらないような流れとかではあったんじゃないかな。新曲もやれたし。

――この期間に生まれた新曲には、いつもとは違う変化はあったりしたの? 心情的な変化や、今までにはなかったインプットから、自分に変化があったことが曲や歌詞に変化をもたらしたとか。
ナオ:俺はそういう意味での変化は全くないかな。曲の作り方も歌詞の書き方も変化はないし、歌詞に変化もない。今までのまま。もちろん、この期間にいろんな本とかを読み返したりもしたから、そこからのインプットはあったけどね。家にずっと居るから、本をたくさん読んでいて。そこからのアウトプットはあったかな。寺山修司さんの書き方を参考にしたりもしたし、瀬戸内寂聴さんのYouTubeを見たり、美輪明宏さんのお話を聞いたりして、そこから感じ取ったものを歌詞にしたりもしたし。瀬戸内寂聴さんや美輪明宏さんに寄せられる人生相談をモチーフに、そこからインスピレーションを膨らませて歌詞に取り入れていたりするんですよ。

――それはリアルだね。
ナオ:そう。瀬戸内寂聴さんがよくする“人は死に近づいて行ってる。愛しい人が死んでしまって悲しいときは、その人に会える日が近づいて行ってるって思って下さい”っていう話がすごく好きで。そこに自分の感情や、そこから感じ取ったものを歌詞にしていく感じ。あんまり人に会えてないから、自分自身の経験が歌詞になってるのは少ないかも。今、自分の中にあるのは、“人に会いたい”とか“ライヴがしたい”っていう渇望しかないからね。

――今回3曲それぞれが作った新曲を披露していたよね。その話を聞いてもいい? ナオの作った新曲「チリチリ ロッキンショー(仮)」が出来上がっていった経緯は?
ナオ:まだ仮タイトルなんだけど、
ジョニー:てか、俺の髪の毛のこと言ってんのかと思った。
ショーン:「チリチリサラサラ ロッキンショー」にしよう!
ナオ:最近ショーン、髪の毛サラサラだもんね! ってか、髪の毛のことじゃないから! 『チルチルミチル』からなんだけどね(笑)。てかね、そもそものキッカケは、メロディが浮かんできたときに、“花が散り散りロッケンロール”っていう言葉が入れたくなったの。その為だけに書いた曲。もうそれ以外の言葉が浮かばなくなっちゃって。そこから、“花が散り散り”ってどういう感じかな? 花が散り散りでロックンロールするって、どんな感じかな?って思って考えて。そこから、花が散る様子を、一見バットエンドな恋愛に例えたというかね。あと、ここには瀬戸内寂聴さんの人生史の断片をエッセンスとして入れていたりもするんです。

――そうね、生き方を感じる歌詞かも。ロックンロールと共に生きるヂリヂリとした感情がリアルに伝わるイナタイロックンロールだよね。ショーンの「SMILE」は?
ショーン:もともと「SMILE」は、4月の自分のバースデーライヴに初披露出来たらと思って作った曲だったんです。なので、今回やっと出来たなぁって。
ジョニー:分かる! 出来たそのときに出したいもんね! 溜めたくない(笑)! 出来た瞬間に聴かせたい! 
ナオ:たくさん生まれてる新曲の中には、めちゃくちゃ難産なものもあるもんね。俺なんて、頑張ってみんなのリクエスト通りに歌ったつもりなのに、“いやぁ〜、、、、。違う、、、”とか言われて(笑)。え〜〜〜頑張ったのに〜! って泣きそうになる(笑)。
ジョニー:今回やらなかった新曲で難産だった「ディスカバリー」って曲があるんだけど、あれねぇ〜、歌入れしたデモ聴いたけど、ん〜、サビ、違うんだよね〜。あの歌い方は違う。
ナオ:え〜〜〜!? アニソンみたいに歌ってって言ってなかった!? めちゃくちゃそこ意識して頑張ったんだけどなぁ〜。
ジョニー:あぁ。“アニメ感出して”って言ったからね。ん〜、違ったんだよね〜。忌野清志郎さんとかHARRY(THE STREET SLIDERS)みたいな癖のある感じが良かった。
ナオ:え〜〜〜!? そっち!? 全然違うじゃん! どっから“アニメ感”ってワードが出てきたん!?
ジョニー:それは、俺がアニメをイメージして書いた曲だったっていうところからで(笑)。アニソンっぽく歌ってってことではなかったかな。うん。そこは歌ってもらったの聴いて、違ったな、、、って思った。
ナオ:え〜〜〜!? めっちゃ朝まで頑張って歌録りしたのに(笑)。こんなにもあっさりNG、、、、。
ショーン:あはははは(大爆笑)。でも、聴いたとき『HUNTER×HUNTER』のオープニングみたいなイメージだなって思ったけどね。まさに“アニメ感”あった。
ナオ:まさにまさに! そこめちゃくちゃ意識したもん! 伝わってる! 嬉しい!
ジョニー:でも、俺の欲しかったものとは全然違う。
ショーン:あははは。でも、ジョニーさん的には違ったんだね(笑)。
ナオ:しょぼーん。
ジョニー:でも無駄じゃない。歌ってもらって、“違うな”っていうことが分かったから。
ナオ:違うなってことは、やり直しでしょ〜。しょぼーん。

――あははは。イメージ伝えるのって難しいよね(笑)。
ナオ:そう。本当に難しい。

■聴いてくれた人が自分なりの 物語を作って聴いてくれたらいい

――「SMILE」の歌唱も、またいつもにない独特な歌い方でもあったけど、それもショーンのリクエスト?
ショーン:歌い方はそこまで言わなかったかな。ほぼお任せで。
ナオ:いや、お任せしてくれたけども。けどもだね、すごかったのよ、ショーンの要望が!
ジョニー:うん。ナオだけの感性では出てこない引き出しを感じたからね。

――そうね。ショーン曲をよりショーン曲らしく演出してた感じがいい。「SMILE」は、どんな経緯で生み出されたの?
ショーン:ベースを何気なく触って弾いてたら、なんかいいメロが浮かんできて。怪しくもポップな感じがいいなと思って。そこから形にしていったんです。ああいう、ちょと怪しげなファンキーな感じが、“ショーン節”なのかなぁって、自分で思いながら形にしていきましたね。
ジョニー:うん。あの感じはショーンにしか出来ない。もう、首振りDollsの中では、“ショーン”という一つのジャンルになってる。
ナオ:そうね。やっぱりあの歌い方は、ショーンに作ってもらった引き出しだと思う。「SMILE」の歌詞は俺なんだけど、歌詞もリクエストを聞いて書くのすごく悩むんだよね。今回ショーンからは、“とにかく世間を皮肉ってくれ”って言われて。更に、“でも、政治批判にならないように”って。
ジョニー:なるほど。ザ・クラッシュじゃなくて、セックス・ピストルズにならなくちゃいかんってことやね。
ナオ:なるほど! その解釈面白い! 「SMILE」の歌詞をしっかり聴き取って欲しいけど、ショーンのリクエスト通り、いい塩梅で皮肉れたと思うよ。めっちゃいい皮肉りになっとると思う!
ショーン:あははは。いい塩梅(笑)。すごくいい歌詞だと思う! さすがナオくん。
ジョニー:でも、本当に歌詞って難しいよね。俺は聴いてくれた人が、そこから何かを感じ取ってくれたらいいなと思いながら書いてるから、あまりそこに自分を出そうとはしていない。あんまり意味のないことを歌詞にして、そこから聴いてくれた人が自分なりの物語を作って聴いてくれたらいい。みんな深読みしたがるでしょ。ビートルズの歌詞もみんな聴く人が深読みしてるからね。
ショーン:宮崎駿の描く世界みたいな。
ナオ:あぁ、そうね。ジョニーの作る曲は本当にそうかもなぁ〜。

――ジョニーの書く歌詞は、何故か泣けてくるんだよね。涙が込み上げてくるのは、“ジョニー節”とされる哀愁漂うメロディも手伝うのかもしれないけどね。
ナオ:まさに、今回のライヴで初披露した「サボテン」は、究極の“ジョニー節”だもんね。「サボテン」が生まれたキッカケは『100日後に死ぬワニ』なんでしょ?
ジョニー:そう。『100日後に死ぬワニ』を読んで生まれた曲。人のために生きた人生というか。そんなワニくんってすごいと思う。俺が「サボテン」作れたのは、ワニくんのおかげ!
ナオ:純粋にいい曲だよね。
ショーン:いい曲ですよね。ていうか、ナオくんがドラムから離れて立ちボーカルで歌うの良くないです!?
ジョニー:そう! そこはショーンのアイディア。スタジオでリハしてて、ショーンが思い付いて。
ショーン:そうなんですよ! “ナオくん、ここで立って歌ってみたらカッコイイんじゃない!?”って。なんか、曲聴いてたら思い付いちゃったんですよ。ちょっと、スタジアムが見えたんです(笑)!
ナオ:スタジアムっ!? で、デカイ(笑)!
ジョニー:ショーンにはスタジアムが見えたらしいです(笑)!
ショーン:ファンの人達とみんなで合唱してる感じが見えたんです(笑)!

――いいねぇ! あれは最高にいいパフォーマンスだと思ったよ!
ショーン:早く生でお客さんに魅せたいなぁ。
ジョニー:あの演出は生でしょ! 配信でも観てる人には伝わると思うけど、やってる方はお客さん居ないところで、、、、めっちゃシュールだったもん(笑)。
ナオ:シュールとか言わんといて(笑)! でも、俺も実は、逆光の照明を浴びながら、“PAさん、どんな想いで俺の声にリバーブかけてくれとんやろ???”って思ってた(笑)。
一同:(大爆笑)
ジョニー:照明さんもお客さんいるていで頑張って照らしてくれとるんやろうからね(笑)!
ナオ:お客さんの前で照らされたいっ(笑)!

――新たな武器になったね。
ナオ:そうね。そうそう! 新たな武器と言えばね! 相棒が初披露だったんです! ドラム。戸城さん(戸城憲夫/THE SLUT BANKS)から紹介してもらった、ひぐちしょうこさん(ex.speena)から“使っていいよ”って言ってもらって、貸して頂けることになったドラム! 俺の新しい相棒がすごいんです! ひぐちしょうこさんは、堂本剛さん、八神純子さん、柴咲コウさん、清春さん、沢田研二さん、さかいゆうさん、阿部真央さんっていうそうそうたるアーティストさんのサポートでドラムを叩いていらっしゃるすごい方で、めちゃくちゃドラム上手い方なんですよ! そんなしょうこさんが大切にしていらしたドラムとあって、素晴らしい音で鳴ってくれるんです! 首振りDollsに新たな味方が加わった感じ。
ジョニー:あのドラム、いろんな歴史を感じる音だった。
ナオ:数々の現場を経験してきたドラムだからね、本当に心強い!
ジョニー:うん。そんな深い音がしてた。すごくいい武器になるね。
ナオ:うん。俺の相棒すごいよ! 頑張ってこの音に相応しいプレイが出来るようにならなくちゃね。この相棒が見てきた景色を、首振りDollsとしても見せてあげなくちゃ!

――そうだね。今後の首振りDollsの予定は?
ナオ:9月6日の23:59まで今回の【首振りDolls 新宿LOFT one-man show〜CELL No.10〜】がアーカイブで見れるのと、9月20日から3日間は、『首振りDolls 3DAYS revenge party〜glam garage party!!!〜』(9月20日代々木Live labo YOYOGI 、9月21日下北沢CLUB251 、9月22日下北沢CLUB251)で無観客ライヴをMカードで販売します(※こちらの公演のライヴ本編とオフショットを含むMカードと3days公演をまとめた写真集と、豪華特典として、メンバーとのzoom対話(9/23 18:00〜21:00予定)orメンバーVoice入りチェキが付いてきます! 現在首振りDolls online storeにて販売中)! ライヴ本番だけではなく、普段は見れない楽屋の風景やリハーサル風景や、アコースティックライヴも見れちゃう、今までにはないスペシャルなライヴ映像集なので、是非是非お買い求め頂いて、楽しんで下さい! これも新しいライヴの楽しみ方として、一生懸命に考えたの。配信ライヴだけだと残しておけないから、“残しておけるライブ”も並行してやっていけたらなって。配信ライヴでしか見れないものと、Mカードとして残すライヴは、全く別物だから、両方とも観て欲しい。Mカードでは、ライヴのとき、私達がどうやってその日を過ごしているか、どうやってライヴを作り上げていってるかっていう裏側も満載だから! そこにしか入らない映像をとにかくいっぱい詰め込んであるから!

――今の時期だからこそのライヴの魅せ方でもあるよね。
ナオ:そう。今を前向きに考えて、“今だからこそのライヴの楽しみ方”を楽しみたいよね。Mカードにはいっぱい特典を付けようと思ってます! 楽しいことは多い方がいいでしょ! Mカードを集めると10枚毎にメンバー稼働のスペシャル特典がもらえます! コンプリートしてくれた人には更に更にスペシャルな特典も考えております! きっとみんな楽しいことに飢えてると思うから、たくさん楽しいことつくっていきたいと思ってるから、よろしくね!
ジョニー:あと、トピックスとしては、8月の月末からレコーディングを始めているんだけど、すごくいいバランスで新曲達が上がってきてます! アルバム作ったら、『アリス』(2ndアルバム)よりも3人の個性が混じり合ったアルバムが作れるんじゃないかな。
ナオ:そうだね。“3人のアルバム”っていう1枚が出来そうかなと。
ショーン:個性出し過ぎて、本当に面白いことになってますね! まさかの曲調もあるので!

取材・文:武市尚子
写真・映像◎DOLL RECORDS Co., Ltd.



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