【日本映画批評家大賞】東出昌大が『Winny』で主演男優賞 役作り評価され「役者やっててよかった」 ヒゲなしロン毛スタイルで授賞式
ORICON NEWS / 2024年5月22日 20時7分
俳優の東出昌大(36)が『第33回日本映画批評家大賞』の主演男優賞を受賞し、22日に都内で行われた授賞式に登壇した。
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受賞対象となった映画『Winny』は、SNSと言う言葉もYouTubeもまだない時代、2004年5月に、ファイル共有ソフト「Winny」の開発者である金子勇さんが京都府警に「著作権法違反ほう助」の疑いで逮捕、7年の裁判の結果、無罪を勝ち取るまでの道のりを描いた、挑戦と闘いの物語。東出が演じた金子さんは、12年7月6日、42歳の若さでこの世を去った。
この日、東出はヒゲなしロン毛スタイルで登場。「本日はこのような栄誉ある賞をちょうだいしまして、大変うれしく思っております」と笑顔。「役者になって映画の現場を初めて経験したのが22歳の時でした。それから14年経って、ずっと演じるとかお芝居とかってなんだろうって考え続けていて。今もその問いは消えないし、役者の仕事って僕の場合は、何が映画にとって必要なんだろうって思うと、地味な地味な準備なんです。とにかくせりふを覚えるとか、『Winny』で金子さんという人に演じるんだったら、裁判記録を読むとか、体型を変えるとか。人に見られないところでの準備が現場に行った時に唯一生きる。あとは、役者をどうやったら続けていけるだろうって日々考え続けるんですけど、なかなか答えがなくて。たくさん映画を見たり、たくさん演劇を見たり、あと先輩方の話をメモったりとか、本を読んだりとか、ずっとし続けてきたんですけど、これさえやればいい芝居ができるみたいな方程式はなくて。じゃあいい芝居をするには、とずっと考え続けるんですけど、 準備以外に頼れるのは根拠のない自信しかなくて。でも、この根拠のない自信が行きすぎてしまうと、たぶん過信になって、『芸能人である』という言われる声にあぐらをかいて、驕りが生まれ、そんな人間が市井の人を演じるなんてできない。日々、この根拠のない自信を持ちながら、また今後も地味な準備を怠らずに、いい映画の現場に戻ってこれたらなと思います」と思いを込めたスピーチを行った。
立て続けに社会派作品に出演し、役作りも評価が高い。東出は「僕自身はやっぱりのんびりほんわかしてるプライベートなんですけれども。もう1つ原動力として、自分のためにお芝居するっていうほど全然強くないし、それほど頑張れなかったんです。でも、誰かのため、家族のためとか、仕事関係者のために仕事をするんだって思ってたんですけれども、お芝居ってなんだろうとかって考えてて。今回は夭折した天才プログラマーの金子勇さんの周りに、生前いたご遺族や弁護団の方々がこの映画の完成を喜んでくださって『金子さんの人生が報われた』と舞台あいさつの初日の日に言ってくださった。『こんな直接的に人のためになる仕事なんてあるんだ』と、その時に役者やっててよかったと心から魂が震えました。本当にいい作品と出会いました」としみじみと語っていた。
同賞は、1991年に水野晴郎さん(故人)が発起人となり、淀川長治さん(故人)、小森和子さん(故人)といった当時第一線で活躍した映画批評家たちによって設立された、映画人が映画人に贈られる。2023年に公開した映画を対象としている。
■『第33回日本映画批評家大賞』結果
作品賞:『ほかげ』(塚本晋也監督)
監督賞:荻上直子監督『波紋』
主演男優賞:東出昌大『Winny』
主演女優賞:筒井真理子『波紋』
助演男優賞:磯村勇斗『月』
助演女優賞:新垣結衣『正欲』
ドキュメンタリー賞: 『ライフ・イズ・クライミング!』(中原想吉監督)
アニメーション作品賞:映画『窓ぎわのトットちゃん』(八鍬新之介監督)
新人監督賞:金子由里奈監督『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』
工藤将亮監督『遠いところ』
新人男優賞(南俊子賞):アフロ『さよなら ほやマン』
黒崎煌代『さよなら ほやマン』
新人女優賞(小森和子賞):花瀬琴音『遠いところ』
脚本賞:上田誠『リバー、流れないでよ』
編集賞(浦岡敬一賞):今井大介『#マンホール』
撮影賞:芦澤明子『スイート・マイホーム』
松永文庫賞(特別賞):八丁座
ゴールデン・グローリー賞(水野晴郎賞):木野花『バカ塗りの娘』
ダイヤモンド大賞(淀川長治賞):小林薫『バカ塗りの娘』
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