高野寛、尾崎亜美ら豪華アーティスト集結 加藤和彦追ったドキュメンタリー映画でイベント
ORICON NEWS / 2024年6月1日 14時34分
音楽ドキュメンタリー映画 『トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代』が5月31日より公開。同日、東京・TOHOシネマズ シャンテにて、満員の観客が見守る中、舞台あいさつが行われ、ザ・フォーク・クルセダーズ「帰って来たヨッパライ」などの作詞を手掛けた松山猛(作詞家、編集者)のほか、同作に出演する小原礼(ベーシスト、作曲家、音楽プロデューサー)、高野寛(ミュージシャン、音楽プロデューサー)、高田漣(音楽家)、石川紅奈(ベーシスト、ヴォーカリスト)、加藤と親交の深かった尾崎亜美(シンガーソングライター)、そして相原裕美監督が登場した。
【写真】ファンと一緒に笑顔で盛り上げ…超満員の会場の様子
同作は、日本のロック・ポップス黎明期から時代を先取りし、今なお世代を超えて多くの人々に影響を与える音楽家・加藤和彦の軌跡を追った内容。高橋幸宏が相原監督にかけた「トノバン(加藤和彦)って、もう少し評価されても良いのじゃないかな? 今だったら、僕も話すことが出来るけど」という何気ない言葉がきっかけとなり始動した。
日本初のミリオンヒットを生んだザ・フォーク・クルセダーズの結成秘話、サディスティック・ミカ・バンドの海外公演や、レコーディング風景などを交えた映像、さらに日本のポップスの金字塔とも言える“ヨーロッパ三部作”に隠された逸話などを、関係者インタビューと貴重なアーカイブ映像で綴り、彼の音楽家としての功績を紐解く。
舞台あいさつで相原監督は、「前作『音響ハウス Melody-Go-Round』で高橋幸宏さんに出演いただいています。その初号試写の後の打ち上げの時、“トノバンはもうちょっと評価されてもいいんじゃないかな…”とポツリと言ったことが最初のきっかけなんです」とコメント。その後、約50人へのインタビューを敢行し、アーカイブを含め100時間にも及ぶ膨大な映像を構成し、本作を完成させた。
それを振り返り「本当に大変でしたね。インタビューの内容も本当に多岐に渡って本当に面白くて、自分ではとてもカットできないと思いました。最初に上がった荒編集が6時間半ぐらいで、“ここはやっぱり切ってはだめだろう”とかいうところがたくさんありすぎて、若いスタッフに編集で入ってもらいました。そしたらバッサバッサと切っていって(笑) “え!ここ切っちゃうの?”とかどうしても僕は思ってしまうんですが、そのスタッフのおかげでこの尺に収まりました」と制作時の苦労を振り返った。
登壇者の中では加藤と最も付き合いが古い松山猛は、「こないだまで半世紀の仲か…と思っていたら、それも過ぎて60年に近い付き合いになってしまいました」としみじみ。「この映画では、僕の知らない彼のことを語る人がたくさんいて、皆さんにとっても興味深いものになっていると思います」と語った。
また小原礼は、「常にニコニコしていて、誰かにこうしてほしいというよりは、好きなことをやってほしいという感じでしたね。僕はトノバンが怒っている顔をほとんど見たことがないんです」と振り返った。
尾崎は、「美味しいお店を本当にたくさん紹介していただいて、食事をご一緒して、ライブでも共演することができました。私にとって本当に印象に強い方で、トノバンに会っていなかった人生は、実際に色々なことを経験した今とは全く違うものだったんだろうなと思います」と語った。
加藤に触れることになるきっかけはYMOだったという高野は、「加藤さんが美輪明宏さんの『メケメケ』を歌っているカバーのバージョンがあって、それが自覚をした最初かもしれません。子どもの頃、『帰って来たヨッパライ』はレコードを持ってないのに無意識に歌っていたんですよ」とコメントした。
さらに高野は同作のエンディング曲「あの素晴しい愛をもう一度~2024Ver.」のアレンジを担当しらことについて、「打ち合わせも含めると延べ1年ぐらいやってたのかな。僕が今まで関わったレコーディングの中で参加人数が多くて、世代的にも10代の学生から70代の方まで関わっていて、こんな曲はないですね。幸宏さんの想いが映画の根本にあるので、自分もそれを歌に込められるといいなと思いました」と振り返った。
石川は同エンディング曲の歌とウッドベースを担当。「『あの素晴しい愛をもう一度』は昔から知っていましたが、加藤和彦さんが作っているというのを知ったのは意外と最近です。そういう若い方はけっこういるんじゃないかということも、今回参加させていただいた理由です。初めて聞いてもスッと心に入ってくるのがこの曲の特徴で、シンプルゆえ世代を超えて響く曲なんだと改めて気づかされました」と語った。
同エンディング曲に参加した高田は「『あの素晴しい愛をもう一度』は毎年演奏しているけど、この曲に限らず、加藤さんの曲は知っているつもりでも、演奏したり譜面に起こしたりすると毎回発見があるんですよ。こんなコードだったんだ…とか、こんなエッセンスがあるんだとか。それは演奏家として幸せな気分で、日本の作曲家でこんな人は少ない気がするんです。今回、そんな加藤さんのパワーを感じることができました」と実感したという。
最後に相原監督は、「今回、加藤和彦さんの再評価にもつながればいいなと思うんです。書籍が出たり、CD集が出たり、ライブもあります。加藤さんに関するものがたくさん出ていきますので、ぜひ体験していただきたいです。映画は2時間ぐらいしか長さがないから、曲も全部はかけられないんです。だから、CDを買ってみたりしてほしい」と締めくくった。
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