古川琴音、ドイツの映画祭に登壇 京本大我との役づくり語る「ピアノの練習が2人の距離感を補う良い助けになった」
ORICON NEWS / 2024年6月3日 13時0分
俳優の古川琴音が、ドイツで現地時間5月28日から6月2日まで開催された世界最大級の日本映画の祭典「第24回NIPPON CONNECTION」で「ニッポン・ライジングスター賞」を受賞。自身が出演する映画『言えない秘密』(6月28日公開)の特別上映も行われ、ヨーロッパの観客に向けた初披露の場となった。
【画像】古川琴音が登壇した舞台あいさつ、Q&Aの現地写真
「ニッポン・ライジングスター賞」は、昨年新設された日本映画界の優れた若い才能に捧げられる名誉ある賞。古川は、昨年の三浦透子に続く受賞となった。『言えない秘密』の特別上映では、320人の観客で満席となった会場で、古川は上映前の舞台あいさつと、上映後のQ&Aに登壇した。
同映画は、過去の出来事からトラウマを抱えた大学生・湊人(京本大我)が、どこか謎めいた雰囲気のある大学生・雪乃(古川)が奏でるピアノの音色に導かれ、運命的な出逢いを果たす。自然とひかれ合い、雪乃の明るく純粋なピアノの演奏は、湊人が抱えるトラウマを癒し、やがて2人で過ごす日々は愛おしくかけがえのないものへとなっていく。しかし、ある日、突然雪乃は湊人の前から姿を消してしまう。青春時代に誰もが経験する淡く切ない恋に胸高まり、「秘密」が明らかになった時、これまで見えてきたものが一変するラブストーリー。
上映前、古川は満席の会場を喜びつつ、流ちょうなドイツ語と英語を交えてあいさつ。日本でのお披露目となった完成披露試写会では女性客が多かったことに触れ、今回の上映では男性の観客からどんな反応があるのか楽しみだと語った。
上映中は、音楽大学での学生たちと教師との掛け合いに笑いが起きたり、中盤から後半にかけては湊人と雪乃のシーンで涙を流す人も見られ、エンドロールが終わると会場からは自然と拍手が沸き起こった。
そんな中、再び登場した古川は、司会者より「今作ではピアノ演奏がとても大事だったと思いますが、どのように取り組まれましたか?」という質問を受け、「ピアノは幼い頃からやっていたのですが、先生についていただいて撮影1ヶ月前からレッスンを始めました。主演の京本君は初めての本格的なピアノ演奏だったので、3ヶ月前からレッスンを始めて猛特訓されていました。私がこの物語を演じるにあたって大事にしようと思っていたのが、ピアノを弾く姿だったり、2人(雪乃と湊人)をつなぐものがピアノの音だったので、ピアノ演奏の際に音が自分の体からちゃんと出ているように、そう見えるように努力しました」と語った。
その後のQ&Aでは、観客からの「とても素晴らしい映画をありがとう!台湾のオリジナル版も観ていて好きだったので、比較してみることができました。撮影にあたりオリジナルを観ましたか?観ていたらそれをインスピレーションにして演じられましたか?」という質問には、「台本をいただく前にオリジナルを観ていました。ラブストーリーだけど、ただの美しいラブストーリーではなく、雪乃の湊人への強い想いがとても印象的で、そこにリアリティを感じ、ひかれました。そういう部分ではオリジナルを大切にしましたが、それ以外の部分ではあえて寄せようとしたり、あえて何かを変えようと意識したりはせず、今回の台本に忠実に演じようと考えました」と答えた。
次に「雪乃というキャラクターと古川さんとの共通点を教えてください」という質問には、「似ていると思うのは、“猪突猛進なところ”です。雪乃ほど大きな決心をしたことはないですが、私もこうと決めたらそれしか見えなくなるところがあるので、そこは似ているかなと思います」と語った。
さらに「ドイツに来てこうした機会を作ってくださってありがとうございます!上映前のあいさつで男性客が多いことを驚かれていましたが、私は男性ですが、この作品が大好きですよ!」というアピールに、古川は「ありがとうございます!」とはにかんだ笑顔を見せた。
また、「今作を観て2人の距離感がとても良いことが伝わってきました。ただ上手な演技だけではそれを出すのは難しいと思いますが、何か秘けつは?」という質問には、「ラブストーリーでは2人がどのくらいちゃんとカップルに見えるのかがとても重要だと感じています。脚本では心理的な距離の近さは書かれていますが、私自身と京本さんは歴史を積み重ねてきたような関係ではないので、そこの距離感が見えてしまったらどうしようという不安はありました。でも、今回はピアノの練習が2人の距離感を補う良い助けになってくれました。ピアノ練習を通して、リードしあったり、教え合ったりとコミュニケーションをとれたことで、関係性をうまく築くことができ、それを映画の中の2人にも反映することができたのかなと感じています」と答えた。
最後の質問で「エンディングについて、ハッピーエンド、バッドエンド、どんな風にとらえていますか?」には、「私自身はこのエンディングがとても好きです!湊人の雪乃への気持ちを強く感じることができるエンディングだと感じました」と語り、温かい拍手に包まれながらQ&Aは終了となった。
「NIPPON CONNECTION」は、約80人のボランティアを中心としたチームからなるNPO法人「ニッポン・コネクション」が運営し、ヘッセン州科学芸術大臣ティモン・グレメルス氏、フランクフルト市長のマイク・ヨーゼフ氏、及び在フランクフルト日本国総領事館の後援を受け開催されている。2000年の発足以後、日本映画に関する世界最大級のプラットフォームへと発展し、23年には1万8500人を超える来場者を迎えた。第24回となった今年は、8つの会場で約100本の短編・長編映画が上映された。約50人の映画製作者が作品の上映、観客との交流のために日本から渡独。また、日本の音楽、食文化、芸術の多様性を反映した幅広いカルチャープログラムを通じて、日本の文化の紹介の場となっている。
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