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“60億円の設備投資” ウイスキーの原酒不足に向き合うアサヒビール、洋酒事業強化に「腹を括って、覚悟を決める」

ORICON NEWS / 2024年6月6日 15時23分

左からアサヒビール社長・松山一雄氏、ニッカウヰスキー社長・爲定一智氏、ニッカウヰスキーチーフブレンダー尾崎裕実氏

 ニッカウヰスキーが今年7月2日に創業90周年を迎えるにあたり、アサヒビール株式会社とニッカウヰスキー株式会社が今後の取り組みに関する方針説明会を行った。洋酒事業を強化し、プレミアムウイスキーカテゴリーでグローバルトップ10以内に相当する販売量を目指すとして、樽貯蔵庫の新設など新たに60億円もの設備投資を実施することを発表した。

【写真】90周年記念商品に30万円のウイスキー『ザ・ニッカ ナイン ディケイズ』

 今、全世界でウイスキー市場は拡大傾向にあり、特に高価格帯の商品が大きく伸長。ジャパニーズウイスキーは、スコッチ、アメリカン、アイリッシュ、カナディアンとともに「世界五大ウイスキー」として認知され、今後の拡大も見込まれている。



 そのような背景から、アサヒビール社長・松山一雄氏は、ニッカウヰスキーの志(こころざし)として「プレミアムウイスキーカテゴリーで、グローバルトップ10を目指す」と宣言。「プレミアム」とは、日本国内では平均店頭価格2,000円(700ml)以上のウイスキーのこと。ニッカウヰスキーは現状40~50位相当だが、将来的に売上(国内+海外)を約4倍に伸ばし、10位内相当に押し上げる計画だという。

「売上4倍でグローバルトップ10というのは、現状とは非常に大きなギャップがあると思います。でもギャップが大きいからこそ、挑戦し甲斐があると考えています。一気にできることではなく、紆余曲折あると思いますが、市場動向をしっかり見極めながら一つ一つ取り組んでいきたいです」(ニッカウヰスキー社長・爲定一智氏)

 その目標達成のための大きな課題となっているのは、ウイスキーの原酒不足だ。そもそもウイスキーは1980年代をピークに25年ほど需要の低迷が続き、各メーカーとも原酒の生産量を減らしていた。2010年頃からウイスキーの需要が順調に伸びてきたが、すぐに原酒の生産量を増やすことができず、”原酒不足”が表面化してきたわけだ。

 そこでニッカウヰスキーでは、原酒を増産するために製造設備の増強に取り組んでいる。2019~2021年に余市・宮城峡の樽貯蔵庫新設、蒸留設備増強で約65億円を、また2024年に栃木工場の樽貯蔵庫新設、余市・宮城峡の貯蔵庫設計、樽購入などで新たに約65億円を投資。2025年以降も投資を継続することで、グローバルトップ10につなげていくという。

「原酒不足の解消については、正直まだメドがついていません。ただ、この問題を乗り越えない限り、我々が示す志に向かって大きく成長することは不可能です。アサヒグループとして腹を括って、覚悟を決めて、製造設備の増強を今後も継続していく方針を明確に打ち出したいと思います」(松山氏)

 7月2日には、創業90周年記念商品「ザ・ニッカ ナイン ディケイズ」を限定2,000本(国内1,000本、海外1,000本)発売。10月にさらに2,000本(国内1,000本、海外1,000本)、計4,000本の発売を予定している。参考小売価格は30万円(税別)。1940年代から2020年代までの9つの年代にわたる、150種類以上の原酒をブレンドすることで、ニッカウヰスキーの90年の歩みを体現した一品となっている。

「90年の歩みをストーリーとしてお客様にも感じていただきたい。味だけでなく、バックグラウンドにあるストーリーもウイスキーの価値の一部だと考えていますので」(爲定氏)

 さらに、国内スペシャルアンバサダーとしてシンガーソングライター・俳優の福山雅治の起用や、国内向け新ブランド発売なども発表された。それぞれ詳細は未定だが、「90周年の現在から10年後の100周年に向けて、カウントダウン的にさまざまな試みを行いたい」(松山氏)とのこと。今後のニッカウヰスキーの動向に注目したい。

取材・文/水野幸則

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