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小学校受験は「親の感情の極み」…元No.1キャバ嬢シンママが子どもの“お受験”でぶち当たった壁とは?

ORICON NEWS / 2024年6月18日 8時0分

LINEマンガ『受験狂騒は対岸の火事だと思っていました』(C)デジタル職人STUDIO・三田理恵子/CLLENN

 昨今、首都圏を中心に過熱している「小学校受験」。子どもの将来を見据えて、教育熱心になる親も増えているという。LINEマンガで配信中の『受験狂騒は対岸の火事だと思っていました』は、シングルマザーの元No.1キャバ嬢である主人公が、娘のために小学校受験に挑むドタバタコメディ。作者である三田理恵子さんに、現代の親たちが受験に“狂騒”する背景、そして作品への想いを聞いた。

【漫画】「片親だと受験は難しい」だと!? 元キャバ嬢シンママがお受験のためにとった作戦は?

■小学校受験は「親の感情の極み、その発露の一つ」、ママ友同士の恨みつらみで事件も…

 同作は、「この子のために全て捨てる!」と覚悟を決めた元No.1キャバ嬢でシングルマザーの綺羅が、あることをきっかけに「小学校受験」に挑み奮闘する姿を描く。



――ドラマや映画の脚本等も手掛けられている三田先生ですが、本作はどのようなところからアイデアを着想されましたか。

【三田理恵子さん】レディコミ向け企画の立案でお話をいただいて、あれこれ考えていた際に「玉の輿に乗ったor経済的に余裕がある元キャバ嬢は子どもにお受験(小学校受験)させることが多い」という噂を聞いたのが始まりです。あくまで噂でしたが、もし少なからず実例があるのなら、そこに秘められている想いや戦いぶりは人々の目を引くものがあるだろうなと感じました。

――昨今は小学校受験の人気が過熱しているようです。先生ご自身が「小学校受験」に持っている印象は?

【三田理恵子さん】小学校受験の印象は「親の感情の極み、その発露の一つ」です。企画が進んで色々調べ進めた頃、過去にお受験によるいざこざから殺人事件が起きていたことを知りました。様々な要素が混ざりあった果ての事件だとは思いますが、一つの世に存在する事実として「お受験は殺人までありえる」世界に我々は生きていたのかと衝撃を受けたのを今でも覚えています。

――本作ではそういったママ同士のドロドロした部分はそこまで描かれていない気がします。主人公がシングルマザーの元No.1キャバ嬢というのもストーリーにポップさを出している要素の一つになっているかと。

【三田理恵子さん】主人公の性格は“受験狂騒を勝ち抜ける胆力の強さ”、“スカッとした気持ちのいい明るさ”の2つを柱に据えました。ドロドロ・陰湿に描いていく選択肢も当初はありましたが、今回は前向きに希望を掴み取る系にしようと担当さんと決めたためです。

――ストーリーに関してはいかがですか?

【三田理恵子さん】「現実の辛さ・重さをただそのままは出さない」は意識していました。今回の描き方でさえもお受験のドロドロした場面が目につくならば、現実ではより一層…ということも多いと思います。だからこそ、お受験は考え方や動き方次第で人生の彩りを増やせるものなんだと思えるようにと、祈りにも似た気持ちがあります。

■シングルマザーだから入塾を断られる?「現実にあった出来事」

――1話では、綺羅がキャバ嬢時代に「派手なママ」と周りから偏見の目を向けられたことをきっかけに、書店員として地味に生きてきたことが描かれています。最近では、(過去も含め)親の職業で子どもが偏見を受けるという風潮も弱まってきたのでは、と思いますが…。

【三田理恵子さん】世の偏見に関しては減りつつある一方で(残念ながら表す手段が多様化しただけで)、存在そのものは今も「ある」と感じております。子どものためにそれまでの自分の生き方を断つ選択をした主人公は、この世のどこかにいる誰かです。だからこそ「自分の生き方」を断たずに「子どものため」を両立できる世が今も強く求められているのだと思います。

――同じく1話では綺羅がまずシングルマザーであるがゆえに、入塾を断られるシーンもありました。家庭環境が子どもの教育の壁になってしまうことについて先生はどう思われますか。

【三田理恵子さん】入塾が断られるシーンは、現実にあった出来事として得た情報を取り入れさせていただきました。この時代にまさかそんなと耳にした当初は当方も驚きました。子どもの教育に差があるのは資本主義社会に生きている以上、構造上ゼロにはならないのですが、その差は少しでも減り続けてほしいと願っております。それこそいつかこのマンガのお受験描写が「古っ! いつの時代のお受験なのありえないでしょ」と思われるくらいになれば一番嬉しいです。

――読者から寄せられた声のなかで、印象に残ったコメントはありましたか?

【三田理恵子さん】全体を通してになりますが、実際の出来事を調べて描いた部分が現実的にありえないと思われ、フィクションで描いた部分がありえると思われた時はちょっと面白かったです。

■小学校受験、親が「なにをしてあげたいか」と同様に「なにをさせたくないか」が如実に

――SNS等でも「小学校受験」は関心の高いテーマのひとつです。この作品をwebtoonで届けることについて、どう感じていますか?

【三田理恵子さん】小学校受験は、子どもの幼さから中学校受験以上に親の意志が反映されます。そのため、お受験により親が子どもに「なにをしてあげたいか」と同じくらい、子どもに「なにをさせたくないか」が如実に出ると感じました。それは純粋に子の未来を想った「苦労させたくない」かもしれないし、実は己のための「子どもを通して自分になにかしらの恥ずかしい思いをさせないでほしい」かもしれない。

 そういった子を通した自身の感情の正体に“気付く・気付かされる”経験は、子を別のなにかに置き換えてもありえます。読者がどのような立場の方であれ、なにかしらの経験から意識していなかった己の心の一側面と新たに出会えるきっかけに、本作がなっていれば幸いですし、本作のテーマがその一助になっていればなによりです。

――電子コミック、webtoonなどでは、不倫や恋愛、子育て、「お受験」もその中に入るかと思いますが、実体験に近いドキュメンタリー性の高いストーリーは人気作になる傾向があるように思います。なぜ、こういったテーマが、現在世に受け入れられていると思いますか?

【三田理恵子さん】個人的には現在「も」世に受け入れられているのだと考えております。実体験に近いドキュメンタリー性の高いストーリーは平安時代ごろには既に存在しておりますので、これらを「あくまでフィクションとして楽しむ心の姿勢」を取るまでに苦労しない文化的下地があるのかなと感じております。

――『受験狂騒は対岸の火事だと思っていました』というタイトルに先生が込めた想いは?

【三田理恵子さん】良くも悪くも己には想像もつかなかった世界・環境が案外身近な場所にある面白さと怖さ。その絶妙な距離感が出せればいいなと考えて決めました。対岸の火事を眺めている自分がいる場所も、他の誰かにとっての対岸かもね、みたいな。

――最後に読者へメッセージをお願いします。

【三田理恵子さん】思いもよらぬ人生の選択肢が出てきた時、それを選ばない勇気も選ぶ勇気も等しく大切だと思います。その上で「選ぶ勇気を出した場合」の本作が僅かでもどなたかの選ぶ勇気の足しになっていれば幸いです。

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