「皮膚の知識が少ない」美容皮膚科に注意、ニキビやシミ、イボも「病気か否か」判断できる専門医へ
ORICON NEWS / 2024年6月14日 7時30分
ニキビやニキビ跡、日焼け、虫刺され、シミなど、肌にトラブルが生じたとき、皮膚科と美容皮膚科のどちらに行くべきか、理解しているでしょうか。イボをレーザーで焼けばよいと思いきや、実は皮膚がんだった…なんていうケースも。そもそも皮膚科と美容皮膚科は何が違うのか? 皮膚・美容皮膚領域に詳しい皮膚科専門医の圓山尚先生(クリニックフォア新橋院院長)に聞きました。
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■「美容皮膚の領域かな」と思っても、まずは皮膚疾患の専門医のいる皮膚科へ
ニキビやシミ、過度の日焼け、かゆみやかさつき、イボ等できものなどなど、外的・内的要因から様々なトラブルが生じやすい肌。気になる症状が現れた時、皮膚科と美容皮膚科のどちらを受診したらいいかについて、圓山先生は「日常生活に支障が出る状態であれば、皮膚科を受診してください。また、美容皮膚の領域かなと思っても、まず皮膚科を先に受診することをお勧めします」と語ります。
「美容皮膚科は、シミやシワなど病気ではない状態の肌を診る先生がほとんど。美容皮膚クリニックと謳っていても、実はもともとが異なる領域を専門としていた医師だったり、皮膚の知識が少ない先生がいることもあります。ですから、例えばニキビやできもの、かゆみ等があった場合、単に肌表面のものなのか、何らかの病気なのか、その判断をしてもらうためには皮膚疾患の専門医のいる皮膚科に行ったほうが確実です」
たとえばかゆみ一つをとっても、原因は乾燥ばかりではありません。アレルギー性皮膚炎や感染症などの皮膚の病気や、腎臓や肝臓など身体の病気が潜んでいる可能性もあります。美容皮膚科は、“容姿を美しくすること”の意味を持つ“美容”がその名についている通り、美しい肌を作ることが目的の診療分野。そのため、薬剤を使用したイオン導入などによる乾燥肌治療は得意としていますが、そのかゆみの原因は何なのか?という診断や治療は、皮膚の疾患を扱う皮膚科でなければ行えないことがほとんどです。
それは、イボなどのできものに関しても同じです。美容皮膚科は、シミだけでなく、ほくろやイボなどの除去も行っていますが、「そのできものに重大な病が潜んでいる場合もある」と先生は注意を促します。
「美容皮膚科では、イボはレーザーで取り除くことができます。しかし、万が一、そのイボが皮膚がんなど悪性のものだったとき、レーザーでは取り残してしまう危険があるため、切除による手術が必要となる場合があります。やはり、皮膚科での医師の診断とその腫瘍の種類に応じた検査、治療が重要です」
美容皮膚科は美肌やアンチエイジングのための診療科と考え、気になる症状があるときは、まずは皮膚科に行って診断してもらうのがいいということです。その使い分けのわかりやすい例は、ニキビです。炎症を起こしている場合は皮膚科で治療。炎症がおさまった後にニキビ跡を目立たないようにする治療や、ニキビを繰り返さない肌に改善する再発予防の治療は、美容皮膚科で受けるという具合です。もちろん、皮膚科と美容皮膚科の両方の看板を掲げているクリニックであれば、どちらにも対応できます。
もう1点、治療内容に違いがあるように、料金にも違いがあることも知っておかなければなりません。
「美容皮膚科は基本的には保険適用外の自由診療となり、公的医療保険は適用されません。自由診療は各クリニックが個別に料金を設定できるので、料金はクリニックによって異なります。ホームページなどで確認するといいでしょう」
強い紫外線や汗、エアコンによる乾燥や冷え、虫刺されにかぶれなど、肌トラブルを生じやすい夏がいよいよ始まります。皮膚科と美容皮膚科を上手に選択して、肌悩みを解決しましょう。
【監修】
圓山 尚(えんやまたかし)
クリニックフォア新橋院院長。金沢医科大学医学部卒業後、日本医科大学附属病院皮膚科に入局し皮膚科・皮膚外科・レーザーを中心とした診療を行う。その後、湘南美容クリニックでの勤務を経て、2019年にクリニックフォア新橋院を開院。
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