ペネロペ・クルス、息子を亡くした悲しみ、夫の裏切りへの怒り…複雑な胸中を熱演 映画『フェラーリ』特別映像
ORICON NEWS / 2024年6月21日 18時0分
自動車史上最高のブランドであるフェラーリ。その創設者エンツォ・フェラーリの知られざる肖像と激動の1年を描いた映画『フェラーリ』(マイケル・マン監督)が7月5日より公開される。フェラーリ黎明期を語る上で欠くことができない存在が、エンツォの妻、ラウラ・フェラーリ。本作では、主人公エンツォをアダム・ドライバー、ラウラ夫人をペネロペ・クルスが演じている。このたび、ペネロペのインタビューを含む特別映像が解禁となった。
【動画】ペネロペ・クルスのインタビューを含む特別映像
イタリアのモデナに生まれたエンツォは、レースドライバー、チームマネージャーを経て、1947年、妻のラウラと共にフェラーリ社を設立。乏しい資金で製造した最初のマシーンは、6戦目のローマ・グランプリで優勝し、世界のレーサーたちがシートを争う名チームに成長していく。しかし、1956年。一人息子のディーノが、難病によって24歳の若さで亡くなる悲劇が夫婦を襲う。
将来の希望だったディーノを失い、それぞれに喪失感にさいなまれる日々を送る2人は、顔を合わせれば、辛辣(しんらつ)な言葉の応酬を繰り返していた。しかも、エンツォには秘かに愛し合っていた女性リナ・ラルディ(シャイリーン・ウッドリー)がいて、12歳になる息子ピエロがいることをラウラは知ってしまう。
エンツォがリナと出会ったのは、第二次世界大戦中で、フェラーリ社を設立するより前の1945年にピエロが生まれていた。リナはエンツォからの援助を受けながら息子と共にカステルヴェトロで暮らしていた(イタリアでは1970年になるまで法制度としての離婚はなかった)。
息子を亡くした深い悲しみ、それよりも前からずっと二重生活をしていた夫への怒りをたぎらせながらも、会社の未来を思う気持ちは変わらずにあり(ラウラは出資比率50%の共同経営者)、ラウラの胸中は複雑だった。
ペネロペは「彼女の人物描写を読んで大きな不安を抱いたの。役に真実味を与えられるか自信がなかった」と、息子の墓の前では涙を見せる母であり、夫エンツォには迷うことなく発砲する衝動的で不安定なラウラを演じるにあたり不安があったことを明かしている。
役づくりのリサーチのため、フェラーリ夫妻が住んだアパートを監督と訪問したペネロペは、「壁紙を見て、私たちは感じるものがあった。彼女を理解し、愛情を感じた」と、怒りや喪失に埋もれた彼女の心を理解することができたといい、「愛情が芽生えた」と振り返っている。
マン監督は、「壁紙に彼女の心を映し出すようにした。陽気で衝動的なラウラのね」と、アパートで見た壁紙を忠実に再現した。また、マン監督は「早い段階でペネロペに決めていた。人の目を気にせず手厳しいところは、まさにラウラそのものだ」と満足げに語っていた。
スペインからハリウッドに進出し、映画『それでも恋するバルセロナ』(2009年)でアカデミー賞助演女優賞を受賞し一躍人気女優となったペネロペ・クルス。私生活で、ハビエル・バルデムと結婚し、2児の母となった近年も、『パラレル・マザーズ』(21年)でベネチア国際映画祭最優秀女優賞をはじめ多くの映画賞に輝くなど、キャリアを着実に重ねている。
本作でも、疲れた険しい表情でラウラを演じきったペネロペは、23年度の全米俳優組合賞など13もの賞を受賞及びノミネートを果たした。自動車史上最高のブランドであるフェラーリを陰で支え続けたラウラの視点で、絡みつく愛憎と、ままならない運命、栄光と悲劇が内包されたオペラのごときドラマを楽しむのも一興だ。
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