チェンソーマン作者、奨学金の返済で漫画描く 『ルックバック』実体験反映で構想は「たまたま読んだ本から」
ORICON NEWS / 2024年6月24日 18時0分
アニメ映画『ルックバック』が28日に公開されることを記念して、原作者・藤本タツキのオフィシャルインタビューが到着した。
【画像】すげぇ…!神作画の『ルックバック』アニメ新場面カット
『チェンソーマン』作者・藤本タツキ氏が描く『ルックバック』は、小学4年生の藤野と不登校の同級生・京本2人の漫画を通した成長ストーリーで、ある日、すべてを打ち砕く出来事が起きる。2人が描いた4コマ漫画が学年新聞に掲載されてから始まる青春物語で、中学生、高校生…と2人の人生を描いている。
『少年ジャンプ+』にて2021年7月19日に全143ページからなる長編読切作品として掲載されると、「天才だわ」「衝撃すぎて何も言えない…」などと大きな反響を呼び、初日で閲覧数250万以上を記録。『このマンガがすごい!2022』オトコ編1位、『マンガ大賞2022』ノミネート作品にも選ばれた。
今回のアニメ化では『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』、『借りぐらしのアリエッティ』、『風立ちぬ』など数多くの劇場作品に主要スタッフとして携わってきた、押山清高が監督、脚本、キャラクターデザインを務め、アニメーション制作はスタジオドリアンが担当する。
――原作はどのような構想を経て描かれたのでしょうか?
もともと読切をたくさん描きたいと思っていて、普段から「こういうのを描きたい」というアイデアを貯めていて、『ルックバック』はそのひとつでした。『さよなら絵梨』などもありましたが、具体的な内容が決まっていたのが『ルックバック』だったので、『チェンソーマン』第一部のあとに描く優先順位は1位にしていました。
内容に関しては、たまたま読んだ本から、『死と和解できるのは創造の中だけだ』というようなセリフがあって、すごくいいセリフだと思ったんですよね。原本だと、単なる皮肉なのか、さらっと流されるようなセリフだったんですけど、自分にはすごく刺さって。『チェンソーマン』や『ファイアパンチ』も含めて、自分の作品全部に一貫していることだなと思いました。なので、それを軸にしようというイメージがありましたね。
――本作は、藤本先生の実体験が反映されているとのことですが、具体的にどういった部分でしょうか?
すごく絵の上手い同い年の相手がいると、すごく気にしてしまうんですよ。僕は中学生の頃、イラスト投稿サイトに年齢が記入されている欄があったので、同年代で上手い人のリストを作っていました。「この人、同い年なのに、どうやってここまで上手くなったんだろう?」と。
そのサイトで見つけた作家さんにコンタクトを取って、「どんな参考書を使っているんですか?」とか聞いたりしていました。なかにはすごく丁寧に教えてくださる方もいて、美術高校の話も聞きましたね。「うちの近所にはそんな学校ないよ!ずるい!」と思ったりして(笑)。自分も美術高校に通いたかったと、すごく嫉妬していました。
――押山監督の描くアニメーションの世界は藤本先生の目にどう映りましたか?
押山監督のすさまじい熱量に「この人は命を懸けて描いているんだ!」と感じました。そして、自分が原作を描いたのに、自分の絵より上手いのが悔しかった(笑)。
それ以外にも「自分にはこんなことできなかった」という仕掛けがいっぱいありました。例えば藤野が京本の部屋の前に来たとき、4コマを落とした床のタイルの色が、一枚一枚きちんと違うんですよ。そこに「うわぁ!」と。街へのお出かけで、藤野に引っ張られる京本の腕の勢いのあるパースもそうです。他にも田舎の雰囲気が僕の地元の情景そのままだったり、細かいディテールまですごい。こういう「ここは自分しか気づかないだろう」みたいな部分まで作り込まれていて感動しました。
――河合優実さん、吉田美月喜さんお二人の声を聞いていかがでしたか?
二人ともすごく良かったです!ジブリ作品みたいな抑え目な雰囲気で、落ち着きがありつつアニメらしさもあって、世間に広く受け入れられるんじゃないかと思います。
――「藤野ちゃんは何で描いてるの?」というセリフがありますが、先生が描いている理由はありますか?
20代前半は奨学金を返すため、以降は楽しいから描いています!
――楽しみにしている観客の皆様へ
監督の才能と熱意が伝わってくれれば幸いです!僕も一観客として楽しみです!
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