1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 映画

ちな監督×角野隼斗、「新しいことをやりたい」2人が初タッグ "音も楽しむ"新感覚アニメーション誕生

ORICON NEWS / 2024年6月29日 9時0分

角野隼斗、ちな監督(撮影:吉原朱美) (C)ORICON NewS inc.

 東宝の若手社員たちが立ち上げた、実験的で挑戦的な新しいエンターテインメントを創造していくコンテンツ制作レーベル「GEMSTONE Creative Label」から、初の劇場公開作品が誕生。4人の監督たちによってつくり出された短編オムニバス映画『GEMNIBUS vol.1』だ。6月28日より東京・TOHOシネマズ日比谷と大阪・TOHOシネマズ梅田で2週間限定上映される。

【画像】そのほかのインタビュー時の撮り下ろし写真

 『GEMNIBUS vol.1』のラインナップの中から、唯一のアニメーション作品となる『ファーストライン』のちな監督と音楽を担当したピアニストの角野隼斗に、初タッグで制作した面白さを語ってもらった。



■新しい挑戦ができる喜び「すごいチャンスをいただいた」

――「GEMSTONE Creative Label」は、フォーマット、メディア、そして実績の有無を問わず、クリエイターたちが自由に才能を発揮できる場を提供する才能支援プロジェクトとのことですが、今回参加に至った経緯は?ちな監督にとっては劇場上映される初監督作品になりますね。

【ちな】はい。東宝の今井プロデューサーから連絡があり、それも「白紙ベースで監督のやりたいことをやりましょう」というお誘いでした。アニメーターの大先輩である井上俊之さん(スタジオジブリ)の紹介だったと聞き、バトンを託してもらえたような、すごいチャンスをいただいたと思いました。フィクションですが、自分の体験や、アニメーターの人たちが抱える理想と現実の間の葛藤を表現しました。

――角野さんも劇場にかかる映画の劇伴は初挑戦となりました。

【角野】僕は今井プロデューサーとは長い付き合いの友人なんです。「劇伴をやってほしい」と連絡をもらい「ただの劇伴ではなく、実験的な要素が多分にある作品にしたいから、ぜひ角野の面白い部分を発揮してほしい」と言ってもらえたのがうれしかったです。

――角野さんは2023年4月から拠点をニューヨークに移され、ヨーロッパやアジアの各地で精力的に演奏活動も行われていますが、どのタイミングでオファーを受けたのでしょうか?

【角野】ニューヨークに行ってからです。それまで音楽以外はそんなに興味を持っていなかったんですけど、いろんなことをインプットして、新しいことをやっていきたいと思って。ダンスと音楽、アートと音楽など、芸術のジャンルを超越した表現に触れるならニューヨークが最適だと思って移住を決めたところもあったので、今回の依頼は僕としてもありがたかったです。

――初めてのタッグでどのようにつくっていったのですか?

【角野】日本にいないことも多く、リモートでやり取りしながら進めていきました。

【ちな】脚本をもとに絵コンテを描き、それをつなげたムービー(ビデオコンテ)を角野さんにお渡しして、それをもとに角野さんが何曲かデモを作ってくれたのですが、ラフの絵にデモ曲がついただけで、いいものができると確信しました。最終的にはフィルムスコアリング(できあがった映像に対して音楽をつけていくという手法)で収録しました。作画の作業は大変なところもあるのですが、角野さんが作ってくれた曲を聴くたびに、面白いことをやってくれる人がいてくれて心強いな、と励まされていました。

――絵コンテを見ながら作曲するのは初めてでしたか?

【角野】そうですね。曲を作ること自体はよくあって、ドラマのテーマ曲やCMに使う曲を作ったこともあったんですけど、今回ほど映像と密接につながった曲づくりは初めてでした。何かにインスパイアされて即興で作曲・演奏することはよくあるのですが、それとはちょっと違った面白さがありました。ヨーロッパで無声映画に生演奏の音楽をつけるシネマコンサートに参加した時の感覚に近かったです。

――出来上がった作品を見てどう思いましたか?

【角野】大体の流れは音楽を収録した際に見ていたのですが、最終的にすべてがつながった完成版を見て、自分がつくった音楽の表現が広がったと感じました。生き生きとしたアニメーションとともに、音も生きているように感じられて、うれしかったです。すごくわくわくしました。

――音楽が違っていたら、アニメーションの映像も違った仕上がりになっていたかもしれない、ということはあり得ますか?

【ちな】あり得ますね。今回は角野さんがまだ劇伴を数多く手がけているわけではないというところへの期待が最初からありました。常識や先入観にとらわれない、斬新なアイデアを持ち込んでくれるのではないか、と。角野さんのYouTubeを拝見して、音楽のジャンルを超えたユニークな選曲や演奏をされていたり、いろんな楽器で実験をしていたり、アイデアが面白いと思っていました。僕も自分なりにアニメーションの世界で今までにないつくり方とか、表現を模索して挑戦してきたので、角野さんと組めたことは僕にとってもすごく大きかったです。

■これまでの人生で影響を受けたかけがえのない映画は?

――お2人とも28歳。

【角野】誕生日はいつですか?

【ちな】1996年2月23日です。

【角野】僕は1995年7月14日生まれなので、もうすぐ29歳になります。

【ちな】学年が一緒ってことですね。

【角野】活躍している人が同い年だと知ると、ちょっと刺激になりますね。ただ、年齢はあまり関係ないかな。一緒に仕事やコラボをする相手が何歳の方であっても、僕は僕で、全力で頑張るだけです。

【ちな】今回、短編ではありますが監督した作品が劇場で上映されて、一度その土俵に上がったら、年齢に関係なく出したものがすべてだと思っています。同時に、28歳になってそろそろ横並びから抜け出して、自分の表現で勝負していかないといけない、それができるくらい経験を積んできたと思えるようにもなってきたので、どんどん新しい挑戦をしていきたいと思っています。

――今回の取り組みはご自身のキャリアにとって…

【ちな】やっぱり「ファーストライン」かな。

【角野】かっこいいですね。

【ちな】先に、使っちゃっていいですか(笑)。

【角野】近い意味合いにはなりますが、僕にとっての「ニュー・チャプター(新し
い章)」。新しいスタートになりました。

――ご自身にとってかけがえのない1本を教えてください。

【ちな】新海誠監督の『秒速5センチメートル』(2007年)です。中学生の頃にこの作品と出会い、こんなにも自分に寄り添ってくれる作品があるなんて、と思った作品です。それまでもアニメを楽しんできましたが、アニメでこんなことやっていいんだ、こんなことまで表現できるんだと、少年の内面の描き方に衝撃を受けました。今の自分につながった作品です。

【角野】僕は『戦場のピアニスト』(2002年)です。最初に観たのは中学生の頃。第二次世界大戦を生き抜いたユダヤ人ピアニストを描いた、実話をもとにした映画です。その当時のホロコーストの悲惨さが無残にリアルに描かれていく中で、ショパンの「バラード 第1番」を弾くシーンがあって。戦争という本当に悲惨な状況の中でも音楽がこれだけ潤すんだ、こんなにも絶望と希望が同時に表されることがあるんだ、という衝撃を受けたことを覚えています。それから何度も観ている大切な作品です。

■『ファーストライン』

 人気アニメシリーズ『平家物語』『薬屋のひとりごと』などで絵コンテ・演出を務め、「TOHO animation ミュージックフィルムズ」監督にも最年少で選出された、ちな監督(TOHO animation STUDIO所属)が紡ぐ、アニメーターを主人公にした物語。「アニメーション=生命を吹き込む事」の面白さと残酷さを、劇中劇として大胆に描いていく。音楽はピアニストでYouTube では“Cateen(かてぃん)”名義で活動する角野隼斗が担当し、フィルムスコアリングで作品の隅々まで音で物語を彩った。28歳、新進気鋭の2人による、"音も楽しむ"新感覚アニメーション。

■映画『GEMNIBUS vol.1』

 YouTubeで公開された『ゴジラVSガイガンレクス』が1000万回超え、続く『ゴジラVSメガロ』が470万回と驚異の再生数を記録して全世界からの注目を集めるCGクリエイター・上西琢也による、シネマティック・バージョン〉の映画『ゴジラVSメガロ』。全編スマホ内で完結する縦型ホラーという新領域で挑んだ映画『娯楽』で、「TikTok TOHO Film Festival 2022」にてサードアイ賞を受賞した平瀬遼太郎のサイコスリラー映画『knot』。ちな監督によるアニメーション映画『ファーストライン』、昨年の「第75回カンヌ国際映画祭」#TikTokShortFilm コンペティションでグランプリを受賞し、「TikTok TOHO Film Festival 2022」ではテクニカル賞を受賞した、縦型映画のパイオニアともいえる本木真武太のSF学園ゾンビ映画『フレイル』。ジャンルの垣根を超えた4作品からなるオムニバス映画。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください