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『突然ですが占ってもいいですか?』が貫くフラットな距離感、占いを妄信せず「聞き出す”きっかけ”にする」

ORICON NEWS / 2024年7月10日 8時40分

「突然ですが占ってもいいですか?」(C)フジテレビ

 2000年代前半は細木数子の『ズバリ言うわよ!』、スピリチュアルなトーク番組『オーラの泉』などがあり、占い系番組はヒットする鉄板コンテンツとして君臨。一方でその人気を持続的に保つのは難しく、多くの番組が始まっては終わっていく現状があった。そんななか2020年スタートの『突然ですが占ってもいいですか?』(フジテレビ系)は、妄信的になりがちな占いとの距離感をフラットに保ち、出演者の過去を詳細に掘り下げることで、従来の構成とは異なる占いコンテンツとして発展。コロナ禍に起こった占いブームと適合し、令和のいま人々が占いに求めることを体現している。現在の“占いブーム”を牽引する存在となった同番組の担当者に、占いコンテンツの現在の立ち位置を聞いた。



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■占いは“きっかけ”でしかない、信じていないからこそできた番組作り

 『突然ですが占ってもいいですか?』がスタートしたのは、新型コロナウイルス感染症が急速に蔓延しはじめた2020年4月。コロナ禍という未曽有の事態に、先行きの見えない将来への不安を誰もが抱えるなか、人気を博していったが、実は番組を誕生させたのは、占いを経験したことがなく、むしろ「あまり信じていない」総合演出担当者の言葉がきっかけだった。その言葉をヒントに企画を立案した番組プロデューサーの坪井理紗氏はこう振り返る。

「総合演出が占い師の木下レオンさんとたまたま出会い、知人が占ってもらう様子を初めて見たそうです。そうしたら、その知人が『占い師の言葉をきっかけに、そんなことまで話せるの? というようなプライベートな過去の話を語り始めて驚いた』と。それを聞いて、占い師が初めて会う街中の人に、これまでの人生であったあれこれを引き出す番組ができたら面白いのではないかと考えました」

 占いというと、現在や未来に焦点を当てるのが鉄板ななか、過去にとことんフォーカスするのはこれまでに無かった発想。果たして視聴者に受け入れられるのか。その不安は、レギュラー放送の前段として放送したパイロット版の『突然ですが占ってもいいですか?in赤羽』のロケで一気に解消された。

「『占い師が街で一般人に突然声をかけて占う』という構成で、台本もないまま、街に出ました。もしかしたら使える映像が何も撮れないまま終わるのではないかと不安が募るなか、木下レオンさんが、この人がいいと居酒屋で飲んでいる女性2人組に声をかけたんです。会社の先輩後輩でとても仲良しという2人のうちの後輩の方を占ったところ、実は、お兄さんを前の月に亡くされたと。レオンさんが占いをきっかけに紐解いていくことによって、先輩にも話せなかった辛い思いを打ち明け、先輩の前で泣くこともできた。その様子を見て、誰でも人生に悩みや葛藤があって、その人なりに乗り越えて生きている。そんな一人ひとりの人生ドラマをみていく番組として成り立つだろうと確信しました」(坪井氏)

 フジテレビ企画担当の前田泰成氏も言う。

「占いをいろいろな話を聞き出す“きっかけ”にする。そのことで、占いに興味のない人も楽しめるバラエティになりました。おそらく占いに傾倒している人たちが立ち上げたのであれば、こういう形の番組にはなっていなかったし、こんなに長く番組は続かなかったかもしれません」

■「当たりはずれを含めた占いそのものをエンタメのひとつ」ととらえる

 それは、コロナ禍によりロケができない状況に追い込まれ、占う対象をタレントにして以降も変わらぬ番組のコンセプトとなっている。

「占いによって過去や現在を言い当て、説得力を持たせたうえで、その人の本質や悩みに迫っていく。占い師がインタビュアーとなり、普通のバラエティ番組では聞けないことまで“一歩踏み込んで”話を聞けるのが番組の魅力になっていると思います」(坪井氏)

 占い師の問いによって、普段タレントが見せない一瞬の“戸惑い”や“驚き”の表情が写り込むリアル感もある。5月21日放送の2時間SPでは、ものまねタレントのほいけんたが、シウマから過去を指摘され、アクション俳優からスタートし、プリンセス天功のアシスタントをしていたことなど、他では話したことのない過去を告白。その姿からは、これまでテレビでは映し出されなかった人となりも垣間見ることができた。

 もちろん、タレントを起用しても台本はなし。事前に情報を収集し、占い師に告げることもしていない。これは、番組誕生のきっかけとなった総合演出、「基本的に占い信奉者ではない」ところが要因になっているようだ。

「占いの結果が当たるかどうかは問題ではありません。もちろんはずれている場合もありますが、それもそのまま放送しています。番組としては当たるところをフィーチャーしたほうが面白く広がっていくのかもしれませんが、あくまで地上波のテレビ番組なので、当たりはずれを含めた占いそのものをエンタメのひとつとして捉えています」(前田氏)

■人生を転換するツールとして利用できる占い、番組の幅を広げるコミュニティの使い方

 さらに、番組では、先の木下レオンをはじめ、星ひとみ、シウマなど、人気占い師を誕生させているが、昭和の時代に人気を博した細木数子氏のように「強烈な物言い、毒舌」とは反対の、寄り添うキャラクターであることが令和という時代を感じさせる。

「皆さん、その人のためを思って、誰もが共感でき、この先の人生をプラスの方向に導くような言葉を投げかけてくれるのがこの番組の占い師の特徴だと思います。星さんがよく『占いを利用したほうがいい』と言っていますが、良いことが出たらそのまま実行すればいいし、悪い事は事前に知っておけば回避できますからね」(坪井氏)

 その考えの浸透を表すように、今、ネットやアプリでは気軽に占えるサービスが増加中。番組でも、占いがエンタメとして楽しまれ、広がりをみせていることを受け、バラエティ豊かにコンテンツを展開している。XやInstagramなどSNSも活用する一方で、書籍やカレンダー、アプリも生まれた。『とにかく「運がいい日」がわかるカレンダー』は発売から3年、毎年ベストセラーとなっているほどだ。

 さらに番組開始から4年が経過した今年、同番組は「突然ですが占ってもいいですか? オンラインサロン」を開設している。

「地上波ではできないことができるのがオンラインサロンの魅力だと思っています。番組出演中の占い師たちによる個別鑑定も抽選で行ないますし、ここでしか見ることができない限定コンテンツをはじめ、番組の中では紹介しきれなかった開運スポットや神社などの開運情報を用意しています。人を集めることが先決ではなく、番組としての面白さや幅を広げるために活用していきたい」(前田氏)

 占いを、ドキュメンタリー番組のようなエンタメにまで昇華させ、人生を転換させる“ツール”としてとらえることを発信する同番組は、今後はさらなる構想を立てている。

「まだ世の中にはすごい占い師がいるかもしれませんし、お話を聞けていないタレントさんもたくさんいらっしゃるので、そういう方々には引き続き出演依頼をしていきたいと考えています。あと、先日、何年か前に出演して下さった一般の方々を追跡した様子を放送しましたが、占いをきっかけに行動したところ、好転したなど非常に興味深いお話を聞けました。それを追跡するのも意味のあることだと思いますので、これからは出演してくださった方々を長期的に取材していくことにも取り組みたいと思っています」

 戦争や災害、物価高などなど、今、“不確実な時代”を生きる人々に寄り添う存在として必要とされている占い。占い番組はそんな時代の“依り代”として機能しているのかもしれない。

取材・文/河上いつ子

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