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年々進む「お中元離れ」に変化? 急成長するソーシャルギフト、夏季流通額で35%増を記録

ORICON NEWS / 2024年7月12日 9時10分

若年層を中心に進む「お中元離れ」。今後はどうなる…!?

 近年、縮小傾向にあるフォーマルギフト市場。中でも顕著なのが「お中元離れ」だ。各家庭だけでなく、ビジネス現場でも企業間の贈答を取りやめると言った動きもみられる。そんな中、ソーシャルギフトの最大手、LINEギフトでは昨年、お中元を中心とした夏季流通額で前年比約35%増を達成した。廃れつつある夏の贈り物習慣をいかにして復活させたのか。担当者に話を聞いた。

【画像】「お中元を贈ることに意味ある?」2000人調査の結果は?

■20代「お中元贈らない」79% 価値観やコミュニケーションの変化が背景に

 古くは室町時代に始まり、江戸時代以降、日頃の感謝を伝える「夏のご挨拶」として親しまれてきたお中元。子ども時代、夏休みに届くジュースの詰め合わせやゼリーを楽しみにしていた人も多いのではないだろうか。ところが近年、その市場は縮小傾向が続いている。背景には、人間関係における価値観の変化が挙げられるという。



「お中元は、もともと職場の上司や義実家などに贈ることが多かったと思います。昔は『贈らないと失礼に当たる』雰囲気がありましたが、今は『別に贈らなくても失礼ではない』と意識が変わってきています。これは、人間関係が希薄になったということではなく、人間関係における“価値観”や“距離感”が変わってきたのだと思います」(LINEギフト事業責任者・嘉戸彩乃さん/以下同)

 これは、「年賀状離れ」と同様のケースと言えるだろう。昔は「出さないと失礼」という雰囲気があったが、今は「もう年賀状をやめます。出しません」と宣言する人もいて、もらえないことに対して不快感を抱く人も少なくなっている。

 また、SNSの普及によるコミュニケーションの変化もお中元離れの一因ではないかと話す。

「昔はお中元を贈って、日頃の感謝を伝え、それをきっかけに手紙や電話で『私は元気です。あなたはどうですか?』といったやり取りをしていたと思います。フォーマルギフトのお中元は、そうしたコミュニケーションツールとしての役割も担っていました。しかしSNSが普及したことによって、今は相手の近況を気軽に知ることができますし、普段からコミュニケーションも取れています。そういった観点からも、お中元の必要性が薄れていったのではないでしょうか」

 昨年、LINEギフトが行った「お中元に関する調査」においても、若者を中心としたお中元離れの実態と、意識の変化が浮き彫りになっている。「今年お中元を贈る予定か?」との質問に、20代の79%が「贈らない」と回答。さらに40代以上は8割以上が「お中元を贈った・もらった」経験がありながら、「今年お中元を贈る」と回答した人は45%にとどまった。お中元を贈らない理由としては、1位が「贈る習慣がない」(57%)、2位は「贈る必要性を感じない」(34%)、3位が「マナーなどが分からず、儀礼的で堅苦しい」(16%)となっている。

■「お中元」の新しい形として提案した「サマーギフト」

 では一体、LINEギフトではいかにして「お中元」需要を取り込んだのか。

「ソーシャルギフト」はSNS上でURLを共有するだけでギフトを贈れるサービスだ。送り相手の住所も電話番号も不要で、あらゆるものが今すぐ贈れるとあって、若年層を中心に支持を集めている。

 LINEギフトは、2015年にサービスを開始。2020年からのコロナ禍には「アイス1個でも気軽に贈れる」「相手の住所を知らなくても贈れる」という利便さが受けてユーザー数を飛躍的に伸ばし、2023年5月時点で累計ユーザー数3000万人を突破している。出店ショップは約1500店舗。取り扱い商品は40万点を超える。

「年代は20~30代がメインですが、50~60代の方もいらっしゃいます。代表的なスターバックスさんのドリンクチケットなども人気ですが、昨今は相手の自宅に届ける『配送ギフト』と呼ばれる、単価3,000~5,000円の少し高価格帯の商品もよく贈られています。売れ筋は、コスメやケアグッズなどの『ビューティー』、次いでスイーツ、お酒、肉加工品など『食』のジャンルになります」

 同社では、「お中元市場が伸び悩んでいることは認識しているが、とはいえ、(人々が)お世話になった方にギフトを贈る気持ちはきっとあるはず」と判断し、昨年から「サマーギフト特集」をスタートさせた。「お中元」ではなく「サマーギフト」と表現し、20~30代を中心に幅広い層をターゲットにしたところ、昨年の夏季流通額は前年比で約35%増加をマークした。

 今年のサマーギフト特集は贈る相手に合わせた価格帯によって3つのカテゴリーに大別されている。お世話になった人に贈る最もフォーマルな「お中元」は5,000円超えも含む価格帯、家族や友だちに贈るもう少し気軽な「夏ギフト」は2,000~3,000円がメイン。さらに「カジュアル」では1000円以下のeギフト商品も提案する。フォーマルギフトの「お中元」を、別名称と低予算カテゴリーで“カジュアルギフト”化させ、幅広い層にリーチする戦略だ。

「昨年、特に人気を集めたのはフルーツです。フルーツはお中元の定番商品ですが、気軽に贈れる手頃な価格帯、少量の食べ比べができるセット、華やかなラッピングの商品に拡充したことで、若年層の支持を得ました」

 また、同社サービスには贈られる側に寄り添った“パーソナルユース”の機能がある。たとえば口紅だったら、ギフトを受け取る側が自分の好みの色を選ぶことができ、香水だったら好みの香りが選べる。この“もらった人が色や香りを選べる機能”はビューティー商品をメインに活用されているが、「たとえばゼリーのセットだったら好きな味を選べるとか、ビールのセットだったら好きな銘柄を選べるなど、そんなことも機能上はやろうと思えばできます」とのことなので、今後、幅広い商品で取り入れられる可能性は大きいだろう。

 お中元に限らず、フォーマルギフトが縮小傾向にあるのは「いらないギフト」の贈答になりがちな面も挙げられるだろう。パーソナルユース機能のほか、AmazonやZOZO、コンビニの電子チケットがそろうソーシャルギフトは、そういった側面からも今後ますますお中元需要を見込めるのではないだろうか。

■お中元がソーシャルギフトで贈られても、79%が「マナー違反だと感じない」

 しかしながら、儀礼的な意味合いの強い「お中元」をソーシャルギフトで贈ることに違和感を持つ人も少なからずいそうだ。

「今年、弊社が15歳以上の男女2307人に行った調査では、『お中元がLINEギフトで贈られてきたら“マナー違反”だと感じるか?』との質問に対しては、79%が『マナー違反だと感じない』と回答しています」

 また、お中元離れが進んでいるものの、85%の人が「お中元やサマーギフトは感謝の気持ちを伝える方法として意味がある」と回答したという。

「人が誰かに喜んでもらいたい、ギフトを贈りたいという気持ちは普遍的に変わらないと思います。ただ、半年ぶりに『お中元』と書かれた大きな箱でドンと贈られたら、多分ギョッとして『どうした!?』と思うかもしれない。それよりも、普段から会話しているような流れで『最近暑いね~』ってカジュアルなギフトが贈られてくる方が、受け取る側も自然に感じられるのかなと思います」

 お中元は、人々の関係性を築いてきた日本古来の文化でもある。LINEギフトでは、その大切な文化を『サマーギフト』という新しい形で継承していきたいとしている。

「お中元なんて古い文化はいらない、と否定するのではなく、サマーギフトという新しい形で取り組んでいきたい。今後もぜひ多くのブランドさんにも協力していただき、盛り上げていきたいと思っています」 

(取材・文/水野幸則)

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