「AGA治療で体毛が濃くなる！？」脱毛と同時進行したらどうなる？ 薬の副作用と対処法、ウワサの真相は

頭髪だけじゃなくて体毛にも効いちゃう！？

　多くの男性、女性を悩ませてきた薄毛や抜け毛などの原因、AGA。現在では、薬などで治療できることも広く知られるようになってきた。だが、治療で薄毛の症状が緩和される一方で、「薬の副作用で他の体毛まで濃くなった」という声も。これは本当なのか？ クリニックフォア監修医の圓山尚先生に、噂の真相について直撃した。

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■脇、胸毛、すね毛、VIOも…全身に効いてしまうAGA飲み薬、どうしたら？

――巷では、「AGAの薬を服用すると、頭髪以外の体毛が濃くなってしまう」という声がよく聞かれます。これは本当なのでしょうか？

　「本当です。AGA治療には、“抜け毛を防ぐ予防の薬”と“発毛を促進させる薬”と主に2種類を使うのですが、発毛を促進させるミノキシジルという飲み薬は全身に効いてしまいます。程度の差こそあれ、これはほとんどの方に起こりますね。脇はもちろん、胸毛、すね毛、VIOもです」

――現在は男女ともに脱毛する人が多いですが、飲み薬でのAGA治療と脱毛を同時に行ったら？

　「同時に行うことは可能ですが、AGA治療を行っていないときに脱毛するよりは、効果が感じられなくなる場合もあります。」

――体毛が増える副作用は、男女を問わずですか？

　「はい。ミノキシジルは男性ホルモン、女性ホルモンに関わる薬ではないので、性別関係なく全身の発毛が促進されてしまいます。昨今は毛深いことを気にする男性もいますが、『たとえ体毛が濃くなっても薄毛を治したい』という方のほうが多いですね。一方で、女性の患者さんはやはり抵抗がある方も多い。その場合は、多毛の副作用のない塗り薬のミノキシジルを処方しています」

――塗り薬ならば、塗った部分以外では発毛しないのでしょうか？

　「そうなります。塗り薬の副作用というと、塗ったところがかぶれるかどうか程度です。ただ、塗り薬は体の内側から発毛を促す飲み薬よりも効果が緩やかです。内服の場合3ヵ月程度で発毛実感する方が多いですが、外用薬は6ヵ月程度効果が実感できるのにかかることもあります。どちらを重視するかは患者さんによりますので、相談しながら処方しています」

――塗り薬は市販薬も多いですが。

　「ドラッグストアでもミノキシジル成分が入った塗り薬は買えますが、配合されているのは女性の場合高くても1％くらいまで。ネットでも購入できますが、男性の場合も5％くらいまでとなります。医療機関では、12％、15%など濃度が高いものを処方してもらうことができます」

――では、やはり医療機関に行った方が確実というわけですね。

　「そうですね。副作用もシンプルではないので、きちんと医師に相談したほうが良いと思います」

――個人輸入やネットで入手する人もいますが、下手に自分だけで判断をするのも怖いですね。

　「副作用で何かが起きた時にも、医師ならば対応ができますから。医療機関で治療する場合は、まずは患者さんに既往歴や健康状態で不安な点がないかを確認します。治療が始まってから肝臓の数値が悪くなるなどの症状があった場合、もともと肝臓に問題があったかどうかがわからないと、薬の副作用なのかどうかも判断がつきません。もともと飲んでいる薬やどんな治療をしているか、どんな病気があるか。それらを勘案して、薬を処方してもらった方が良いと思っています」

――ちなみに体毛が濃くなるという副作用は、薬を飲み終わればおさまるんでしょうか。

　「半年くらいで徐々に元に戻ると言われています。基本的に、1日1回飲むことでミノキシジルの血中濃度を維持していくという薬ですから、24時間で血液からミノキシジルは減ってしまう。薬自体はすぐ抜けるのですが、効果としては数ヵ月続くということです。目に見えて体毛が減って元に戻ったと実感するのが、だいたい半年後くらいですね」

――なるほど。

　「もう一つ付け加えるとすれば、ミノキシジルはもともと血圧を下げる薬として開発された背景があります。とても稀ですが、血圧が下がったり、動悸がしたりといった副作用が出ることもあります。

　治療薬には用量依存性があり、薬の量を増やせば増やすほど効果は強くなりますが、副作用も増えます。副作用を抑えたいのであれば、毛髪への効果も落ちますが、減薬すれば副作用を少なくすることも可能。こうしたさまざまなケースや希望にも対応できるので、一人で悩まず、医療機関にかかってみてはいかがでしょうか」

【監修】
圓山 尚（えんやまたかし）
クリニックフォア監修医。金沢医科大学医学部卒業後、日本医科大学附属病院皮膚科に入局し皮膚科・皮膚外科・レーザーを中心とした診療を行う。その後、湘南美容クリニックでの勤務を経て、2019年にクリニックフォア新橋院を開院。

（文：衣輪晋一）