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山田涼介の“愛嬌”演技が冴える『ビリオン×スクール』 歴代学園ドラマとは異なる「令和時代感じさせる構成」識者が解説

ORICON NEWS / 2024年7月19日 8時40分

山田涼介の“愛嬌”演技が冴える『ビリオン×スクール』

 Hey! Say! JUMPの山田涼介が主演を務めるフジテレビ系連続ドラマ『ビリオン×スクール』(毎週金曜 後9:00)は、財閥系企業のトップであり“億万長者=ビリオネア”である主人公・加賀美零が、身分を隠して学校の教師となり、さまざまな問題に直面しながらも生徒とともに成長していく姿を描く学園コメディー。クセの強い主人公のキャラクターを山田がコミカルに演じている。定番に見える学園ドラマだが「令和らしさ」も盛り込まれているという同作について、ポップカルチャー研究者の柿谷浩一氏(早稲田大学招聘研究員)に解説してもらった。

【写真】キラキラ笑顔で手を振る山田涼介

■「斬新な“S教師”×コミカル」見事な調和を見せる山田涼介の演技



 愛くるしいキュートな言動、ユーモアの瞬発力にも長けた山田涼介。そんな役者力を発揮した今作。大企業のCEOという素性を隠し、問題クラスの担任教師となる加賀美。スーツをビシッと決め、手をポケットに入れ、座るときはスラリとした脚を組む。アイドルの威光をたっぷり滲ませた、端麗な立ち振る舞いが冴えわたる。

 相手を「お前」呼びする、上から目線の“ドS”ぶりもサマになっている。設定的にはキザやナルシストになるところだが、不思議と彼には変な“尖り”がない。トレードマークの相手へ向ける指差しもなぜか憎めない。身勝手で傲慢だけど、妙にスマートな心地よさをまとう斬新な“S”な教師。それを〈存在から清廉で上品なオーラを強烈に放つ〉持ち前の個性で好演して見事だ。

 そんなスタイリッシュな彼が、随所でみせるコミカルなギャップも見所。自分のカリスマ性を表現して、頭を手でカポっと掴みかかる仕草。満点合格と言って、頭上で大きな丸を両手で作る。折々のポーズが超絶にダサく、でも愛嬌たっぷりで、やみつきの笑いを誘う。

 他にもガッツポーズや高笑いをした両腕開き、相手を煽る指立て…どの身ぶりも本気でやって全力感にあふれる。恥や外聞もなく、声を張って身体全体を使った真剣な素のボケ具合。それが「無邪気な少年」のようで愛おしく、同時に子どものまま大きくなった「お坊ちゃん」感も醸してうまい。単に笑えるのでなく、バカバカしい一面も許して見守りたくなる“愛されキャラ”がしっかり感じられて魅力的だ。

 この大人げないボケに、秘書兼ボディーガード/副担任の一花(木南晴夏)がツッコミを入れる。そのコントさながらの光景もじつに愉快。毎度、加賀美の奇抜な言動にクスりともせず、すまし顔で冷ややかな指摘をなげる。それに彼がムキになる。周囲を置き去りにヒートアップする「素のボケ⇔冷静なツッコミ⇔意地のはり」。この応酬が痴話喧嘩っぽくて仲むつまじく、ほっこりする。彼女が「両頬をムニっ」と掴んだり、「頭をグリグリ」したり、直にじゃれ合うのもいい。

 彼の暴走発言を制止するときも、彼女は手で口を無理やり塞ぐ。その話せなくなってモニョモニョする姿も可愛くおかしい。いつも偉ぶる主を、目下の使いが暴れ馬をなだめ、飼いならすような逆転ぶり。そして彼女に反抗したり怒ったりすることなく「かないません」感満載の従順な姿が、何とも滑稽。質感のよい“S”ぶり×コント顔負けのコミカルさが、うまくブレンドされた仕上がりだ。

■『GTO』『ごくせん』とも異なる構成

 『GTO』や『ドラゴン桜』のように、主人公教師にパートナーを添わせた学園作品は珍しくない。でも今作は「学校で出逢い、次第に距離を深める教師仲」とは違った深みがある。

 加賀美と一花の関係性は、よりダイレクトで親密。長く加賀美家に仕える彼女は、幼少期から彼をみてきて長所も短所も熟知している。だからこそ、ツッコミも的を射たキレ味で、息の合ったテンポも生まれる。長い芸歴の漫才コンビを観るような、自然な味わいの掛け合いとムード。そのテイストがほっこりした笑いを作って飽きさせない。

 この長年の信頼と絆でつながる2人は、姉弟のようで、くされ縁の親友のよう。学園ドラマ鉄板の“パワフルに独り立ち”した教師像もいいが、どこか「2人で1つ」な感じを持ったバディ色の強いヒーロー劇も、そこに漂うアットホーム感ともども新鮮なものだ。

 ハードアクションでピンチの生徒を救うあたりは『ごくせん』にも似ているが、ワンクッションあるのが肝。秘書が問題解決のきっかけを与える。母をめぐる過去の記憶からヒントを引きだし、主人公に差し出す。誰かの存在、身近な人間の助けがあってヒーローたりうる。学園コメディーの基本形を継承しつつ、人生の理解者、脇での見守りと愛情の重要性を差し挟む構成は、じつに令和の現代らしくリアルだ。

 山田と木南は『セミオトコ』(2019年/テレビ朝日系)でも共演歴がある。蝉から人間に変身したセミオと、命の恩人の冴えないアラサー女子の1週間の儚く切ない日々。そこで抜群だったのが「繊細で温もりある人間愛」。ヒューマンな演技でも好相性な2人なだけに、見え隠れする「2人のドラマ」の展開にも期待が高まる。

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