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「お前顎でかいな」心ない言葉に約10年マスクが手放せなかった“顎変形症”の女性「最終目標は顔面に囚われなくなること」

ORICON NEWS / 2024年7月22日 11時30分

顎変形症の手術を経験したトカゲさん。顎手術のほか、目の二重埋没、目頭切開を実施している

 「本日で25歳になりました。私の生い立ちをどうぞ」と自身のこれまでの写真とともに投稿されたXに、「かわいすぎる」「成長の過程が素敵」などのコメントが寄せられているトカゲさん。中高時代はご自身の顎が原因で、クラスの男子から心ない言葉をなげかけられることもあったといいます。「顎変形症」と診断されてから手術にいたるまでの4年あまりの葛藤や術後のコンプレックスへの向き合い方について話を聞きました。

【写真】下顎前突に絶望も…術後は「美人確定」「とても短くなっている」変貌を遂げたトカゲさん

■術後の周囲の反応「1番仲良くしている友人は泣いていた」

――幼少期からの変化に驚きとともに「かわいい」と反響がありましたが、ご自身としてはどう感じていらっしゃいますか?



「率直に嬉しいです。人生で『可愛い』と言われることがなさすぎて、慣れていないため面と向かって言われると困惑もありますが、可愛いと言われること自体は率直に嬉しいです」

――術後、ご家族の反応はいかがですか?

「反応をもらえる身近な家族は姉だけなんですが、姉は私の今までのコンプレックスを知ってくれていたので手術を楽しみにしてくれていました。

 手術直前のLINEで『私は今までの顔も大好きだったよ。けどトカゲが幸せなのがいちばんだ』とメッセージをくれていました。術後も『別人だね~』や『可愛い』とは言ってもらえますが、家族だからか、術前術後で反応が変わることはなかったです。親戚には、手術のことは伝えていますが、術後誰とも会っておらず、年代も上の方ばかりなので反応が心配です」

――ご友人たちからは、どんな言葉をかけられましたか?

「高校時代の友人は、みんなびっくりしていました。異性の友人にも『変な意味ではなくて、可愛くなったね』と言ってもらえて普通に嬉しかったです。1番仲良くしている友人は術後初めて会ったとき泣いていました。私の顔が変わったということで泣いたというよりは、手術の痛みやDTの辛さを想像して泣いていたそうです」

――ご自身の顎変形症の手術の過程などを赤裸々にSNSで公開されていますが、どういったきっかけで投稿をはじめられたのですか。

「私が顎変形症を知ったのはXからでした。その方はもうアカウントがないのですが、当時術前術後のビフォーアフターのポストが拡散されていて、美容整形ではなく顎変形症の治療なのだと知りました。そしてその方の過去ポストを見て、同じコンプレックスを持ちながら『術後自信を持った』『人生が変わった』ような姿にとても感動しました。その方のツイートを見てからすぐに顎変形症の相談の予約を各地で入れ、診断を受けたと同時に今のアカウントを開設しました。

 私と同じように顎にコンプレックスを持っている方はたくさんいると思うし、まだそのコンプレックスが『顎変形症』という診断名がつく病気だということを知らない人もたくさんいると思います。そういった方に向けて発信を続けています」

■“顎変形症”知る前は美容整形へカウンセリングも「この顔でこの先何十年も生きていくなら…」と決断

――手術を決意されるまでに葛藤はありましたか?

「私は決断の早さと後先考えない悪い意味での行動力があるので、手術の決断を悩むことは全くありませんでした。むしろ顔面を理由に全ての事柄に足踏みしているこの人生が嫌で、顎変形症を知る前は美容整形で手術をしようとカウンセリングに行ったこともあります。

 『手術が失敗したらどうしよう』『医療事故で死んだらどうしよう』的な悩みがおそらく多いと思うのですが、私はこの顔でこの先何十年も生きていくなら死んだ方がマシだと本気で思っていました。なので『手術するか今死ぬか、医療事故で死ぬならそれは寿命』というスタンスでした。さすがに手術直前は『手術失敗したら死ぬの確定してるのか…』と恐怖はありましたが、それでもやらない選択肢はなかったので楽しみも大きかったです」

――術前までは、どのような気持ちを抱えていましたか?

「辛かったといより”虚無”でした。女性が楽しむメイクやファッションを楽しむ気は全く起きないですし、美容室も学生時代はショートカットだったので月1で行っていたけど期間を空けていました。人と会うのも消極的で、基本的に久しぶりに会うような人に誘われたら『2024年の春以降で!』と断っていました(笑)。何をするにもやる気が起きず、新しい職場に転職したいだとか、新しい環境に行きたいだとか、新しい友人と出会いたいだとかいうものは全部諦めていました」

――実際に手術されてみて、いかがでしたか?

「術前は、自分のことを最強クラスのブスだと思っていましたが、術後は普通になれているのかな~と感じることも多くなりました。可愛いと思えたらいいのに…とは思うのですが、基本的に一重で顎が大きかった自分が本当の自分だと思っていますし、仮に今可愛かったとしても何か違うような気がして可愛いとは思えません。

 可愛くなりたいとも思うことはもちろんありますが、術前はそれ以上に『普通になりたい』と思っていたので『普通』に近づけた気がして嬉しいです」

――顎変形症であるために、つらかった、悲しかったことはありますか?

「中学の頃は周囲と馴染めず、顔のコンプレックスが一番助長された時代でした。とくに中学生男子の威力はすごくて、下校時に顎の特徴のある有名人の真似を後ろからされたり、席替えで隣になった男子に『お前顎でかいな』と言われたり。

 幸い激しいいじめにあっていたわけでなかったですが、顔に関する陰口は絶対に言われていて、ちょっと浮いていました。グループから浮いていたりハブられていたり、今思えば人間関係の築き方がわからなくて、私のコミュ力も欠落していたと思うので、要因は一つではなかったかもしれませんが、すべて顔がブサイクだからなんだと思っていました。家から帰っては鏡を見て数時間泣いたりすることが多かったです」

――多感な時期はある種、残酷な部分がありますよね。

「高校の頃はそんな中学時代から自分を変えたい!という想いが強すぎて、同級生がひとりも進学していない、メイクが校則で縛られていない高校を選びました。顔で陰口を言われることはありませんでしたが、コンプレックスが強すぎて3年間必ず顎にマスクをかけていて、絶対に顎を見られないように意識していました」

■術後はやりたいことを達成していくことに喜びも「顔面に囚われなくなることは、まだまだ無理そう」

――手術をされたことで、これまでのコンプレックスへの向き合い方に変化はありましたか。

「なにより一番はマスクをせずに外に出れるようになったことです。中学の頃から約10年間、マスクをせずに外を歩くことができませんでした。術後したいことの中に『マスクをせずに渋谷や新宿に遊びに行く』というのがあって、それを術後に達成できたときはひとりで感動していました!」

――それはとても素敵なエピソードです!

「とはいえ、顔面に囚われなくなることは、まだまだ無理そうです。今もまだ自分のスマホの外カメを自分に向けて撮影をして、『他人から見たらこんな感じか…』とシャッターを止められなくなります。また、他の友人が写っている写真を見て、『友人の顎は短いのに、わたしは長いよな』と悩むこともあります。

 でも術前と比べて死にたいと思うことが各段に減りました。術前は、悩みが直接顔と関係ないことでも、『おまけに顔もブスだし死にたい』となんでもかんでも顔に結びつけて考えていましたが、今はそれがなくなって精神的にかなり楽になりました」

――今後、ご自身の投稿を通してどんなことを発信したい、伝えていきたいと考えますか?

「顎変形症は保険適用の手術で、美容整形のようにSNSに症例写真が出回ることはあまりありません。機能面を重視した手術ではありますが、顎の骨を動かす大掛かりな手術なので、顔の変貌もかなりあるのにも関わらず、ネット上では完全に顔出しをされた情報が少ないです。そういったわけで、顎変形症の治療を受けている患者のひとりとして、情報を発信出来たらいいなと考えています。

 そもそも『顎変形症』と診断がつき、保険適用の治療ができると知っている方も少ないです。私と同じようなコンプレックスや、機能面での障害を抱えて悩んでいる方にも、私のポストから『顎変形症』を知っていただきたいです」

――発信をしてみて、得られた気づきはありますか?

「Xを通じて私と同じようにコンプレックスを根強く持っている方は他にもたくさんいることを知れました。私もかつて同じ症状を持つ方のSNS投稿を見て、コンプレックスは改善できるかもしれない、改善したら希望があるかもしれないと勇気を貰った側の人間です。

 ありがたいことに術後は、リプライやDMで『手術が不安でしたが希望を持てました』と連絡くださる方が複数いて、私も勇気をもらってこの治療を乗り越えてきたが、今度は私がこれから手術をする方、コンプレックスを持っている方に勇気を与えることができているというのが本当に嬉しいんです。私は本当に微力ではありますが、こうしてバトンを繋げていけて、一人でも顔面に対する悩みが緩和されたらいいなと願っています。

 といっても私もまだまだ現在進行形でコンプレックスを解消できていません。もっと自分を肯定できるように、自分を好きなれるように、模索している最中です。同じようにコンプレックスを抱えている方とともに一緒に悩んでいきたいです。そして少しでも改善していって、最終的には顔面に囚われなくなることが目標ですかね。その過程を発信していけたらいいなと思っています」

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