ライブ中にいじめ告発から5年…元アイドル・小野寺ポプコの今 米大学院卒、バズり続ける無敵の存在へ「成功って一つじゃない」
ORICON NEWS / 2024年7月31日 8時40分
いじめをステージ上で告発し、グループを脱退した元アイドルの驚くべき転身がSNSやネットニュースで話題を呼んでいる。脱退騒動から5年経った今年5月、アメリカの有名大学院の卒業生代表としてスピーチをしたことをXで報告した小野寺ポプコさん。幼い頃からアイドルに憧れ、ようやく掴んだ夢に挫折したものの、新たな目標に向かって突き進む彼女に多くの賞賛が集まっている。「一度の失敗で人生詰む」といった諦めの風潮を吹き飛ばす、彼女の壮大なストーリーを聞いた。
【ビフォーアフター】激変!? アイドル時代の小野寺ポプコさん、今とはイメージ違う姿
■ステージ上で中指立てていじめ告発、物議呼んだ脱退後はマンガのような逆転劇
小野寺ポプコさんが、アイドルグループに加入したのは2019年6月のこと。ところが同年7月、東京都内で行われたライブに参加しないとされていた彼女が、飛び入りでステージに登場。メンバーと運営から「いじめられていた」と中指を立てて告発。客席に一礼し、グループからの脱退を宣言した。事の顛末を映した動画がSNSで拡散されて物議を醸したが、あれから5年経った今、彼女の環境は大きく変わっている。
2022年9月に早稲田大学を卒業し、翌3月にアメリカトップ校の1つ、カリフォルニア大学バークレー校HaaSビジネススクールに進学。勉学に勤しみながらDJ活動もするなど、その学校生活をたびたびX (旧Twitter)で公開していた彼女だが、今年5月には同校を卒業。卒業生代表としてスピーチをしたことを明かし、「お世話になりました。また上を目指して精進します」と報告した。
まるでマンガの主人公のようなサクセスストーリーに、ネット上では「想像できないくらいに努力をしたんだろうな」「小野寺ポプコみたいな生き方してみたい人生だった」「小野寺ポプコさんみたいな強い賢い人間になりたいです」など、驚きと称賛の声が上がっている。 そもそも彼女の存在がネットで知られるようになった5年前の“あの出来事”を、今どう思っているのか。率直な思いを聞いた。
■5年前の“自分なりのケジメ”に今、思うこと 「ネットで元メンバーにひどいことを言う人も」
──グループを脱退した時になぜあのような行動を取ったのか、改めて聞かせていただけますか?
「小学校の時からずっとアイドルになりたくて、決して有名なグループではないけれどやっと叶った夢でした。だから何もしないまま辞めてしまうのは不完全燃焼というか、心の中に穴が空いたような気持ちでした。あの行動が最善策だとは思いませんでしたが、自分なりにケジメをつけた形だったんです。ただ5年経った今では、いろんな人に申し訳ないことをしたと思っています」
──いろんな人とは?
「主に元メンバーと当時の事務所です。いじめられていたのは事実ですし、あの時は『いじめをする人が悪い、自分は正しい』と思っていました。ただ世の中は悪い/正しいだけで語りきれないことも、少し大人になって理解できるようになりました。特にあの動画が拡散されてからは、彼女たちに対してネットでひどいことを言う人もたくさんいて──。あの時、自分の行動がどんな結果を生むか考えられなかったことに申し訳ないと思っています」
■「どうすればうまく生きられるか?」、生きづらい環境を変えてゼロからアメリカで奮闘
──グループ脱退後は、どのようにご自身の人生を設計されてきましたか?
「アイドルに加入したのは大学2年の時だったんですが、もともとアイドルがダメだったら金融工学の方面に進みたいという夢がありました。結果、アイドルはああいう形でダメになってしまったので、脱退後すぐにシアトルに交換留学をしたんです。それが私にとってはものすごく大きな成功体験になりました」
──環境を変えたことが、小野寺さんにいい影響を与えたのでしょうか?
「はい。あの頃は『この世界でどうすればうまく生きられるか?』を必死で考えていました。アイドル時代も辛いことはたくさんありましたが、アメリカでゼロから生活を立ち上げるのも違う意味でものすごく大変で。だけどそれを乗り越えた結果、めちゃくちゃ楽しい日々を送ることができたんです。シアトルで過ごした1年間は私の人生にとっての宝物です」
──大学卒業後はアメリカの大学院に進学されています。アメリカでの生活が肌に合っていたのでしょうか。
「私の場合はそうでした。自分はやっていたことの割に、人の目にストレスを感じやすいタイプだと思います。アメリカでは基本、他人のことを気にしないので、見た目とか性格とか、世間で言われている“平均基準”みたいなものがすごくゆるいです。ただそういった個人主義スタイルが苦手という方もいると思います。単純にアメリカがいい/日本が悪いというわけじゃないです」
──今いる場所が生きづらかったら場所を変えてみる。そうした小野寺さんの行動力は、いじめに苦しんでいる人にも大きな勇気を与えてくれると思います。
「ありがとうございます。ただこれもすごく難しいところで、環境や条件的にそういう行動ができる方ばかりではないということもわかります。そういう方の場合では、どうしたらいじめをなくせるか? ということもずっと考えてきましたが、答えが出ない問題ってたくさんあるなと感じています」
■アイドルの夢潰えても…、「世間で言われる“成功”って一つじゃないんだな」
──脱退騒動から5年経った今、小野寺さんの転身ぶりが改めてSNSでバズっていることについてどう感じていますか?
「2年くらい前に(小野寺ポプコ名義の)SNSをやめようと思っていたんです。もうアイドルでもないし、人を楽しませるような投稿もしてないしなって。そのタイミングであの動画がまたバズったんですね。たぶん誰かが転載したからだと思うんですが。それでまだ私のことを見たいと思っている人がいるなら、続けようかなと思ってSNSを続けています。
『出る杭は打たれる』のような感じで、小さい頃から“変わり者”って言われてきたのがストレスでしたので、“普通”になりたいと思った時も多くありました。この事件で『変わっている』と言われ悲しい思い出が蘇ることもあれば、肯定していただいて勇気になったこともそれ以上にあります」
──でも、少しは変わってないとアイドル=目立つ存在にはなれないですよね。
「そうですよね(苦笑)。ただ私は目立ちたくてアイドルになりたかったわけではなくて、誰かを楽しませられる人になりたかったんです。自分が憧れたアイドルさんがそういう方だったので」
──ネットでは“変わっている”というより“強い”“無敵”という評価のほうが多いですが、そうした反響をどう受け止めていますか?
「『ナルシストと自分大嫌いは紙一重』という言葉がありますが、私の中にも"自分をものすごく認めている自分"と"ものすごく認めてない自分"の両方が存在しています。その2つの自分が喧嘩するとすごく疲れるんですよね。相反する2つの自分を調和させるのが私の人生のテーマです」
──現在はアイドル時代とは比べ物にならないほど、多くのSNSフォロワーを掴んでいます。インフルエンサーとしてのお誘いもあるのでは?
「たまにSNS経由でお誘いはありますが、そういう仕事を受け、お金をいただいたことは一度もないです。お金が絡むと、本当に発信したいことがあった場合の信憑性を失うと思っています。フォロワーさんも『来る者は拒まず、去る者は追わず』をモットーに、自分が嫌にならない範囲でSNSを続けていければと思っています」
──ちなみにまたアイドルに挑戦してみたいとは思わないですか?
「またアイドルをやりたいなと思う時はあります(笑)。でも持っている武器で考えたら、今は機械学習をやる者としての成功を達成する確率が遥かに高いかなと思います。アイドルとしては失敗したけれど、今はこの仕事に邁進している毎日がとても楽しいですし、世間で言われる“成功”って一つじゃないんだなと実感しています」
(文:児玉澄子)
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