尾野真千子、「30歳になった有名になれるぞ」信じてきたと明かす

『DitO』公開記念舞台挨拶に登場した（左から）結城貴史、田辺桃子、尾野真千子

　日本とフィリピンの合作映画『DitO』(ディト)が26日に公開。その記念舞台挨拶が27日、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷にて実施され、プロデューサー・監督・主演の結城貴史、共演の田辺桃子、尾野真千子が参加した。

【画像】映画『DitO』ポスタービジュアル

　フィリピンで撮影した本作の感想を聞かれた田辺は「この作品で初めてフィリピンに行けたのがすごく嬉しかったです。今まではテレビやSNSでの情報でしか知らなかったのですが今回のロケ地はローカルな場所だったので、生身で現地の方の温かさ、文化、家族愛を身をもって知ることができました」とコメント。続けて「フィリピンのスタッフは朝から『桃子おはよう！』って声掛けてくれてめちゃめちゃ元気なんです！現場で皆の顔を見ることで『今日も一日頑張るぞ！』ってスイッチが入っていましたね」と現場での充実ぶりを振り返った。

　尾野は「皆さんフィリピンは暖かい場所だと思っているでしょうが、寒かったんです」と意外な感想。「ロケ地に向かう途中のサービスエリアのトイレの便座がなかったり、扉が閉まらなかったことも。そういう経験があるから、映画の現場は面白い」と笑いながら振り返った。

　田辺と結城監督がタガログ語を話すシーンについて話が及ぶと「桃子のタガログ語が上達しすぎて、僕より上手くなってしまって（笑）。役柄からずれてしまうので、わざと下手にしてもらった」と、その上達ぶりに驚いたという。それに対して田辺は「私は負けず嫌いというか、凝り性なところがあって。完璧を求めすぎて『フィリピンの人にも流暢に聞こえてほしいな』とやったら、やりすぎてしまって(笑)。指導が入りました」と撮影時のエピソードを披露した。

　また、本作は『超RIZIN.3』出場のため来日中のボクシング元世界6階級王者マニー・パッキャオと結城のスパーリングシーンがあることでも話題。パッキャオについて話が及ぶと「なかなか会える人ではないですが、ご縁が奇跡を生みました」と結城監督。「ボクシングシーンも、リングの上は選手とレフェリー以外上がってはいけない、という思いがあって、カメラもリングには入れなかったんです。通常のボクシング映画にはないアプローチを追求しました」とこだわりを明かした。

　長年の友人関係である結城監督の熱い思いに触れた尾野は「熱意は伝わりました。でも、心のなかではすごく伝えたいことがあるんですが、目の前にいると恥ずかしくて伝えたくない（笑）。（結城監督とは）芝居を一緒にするのも、演出する姿を見るのも初めて。真面目にボクシング、家族、作品と向き合っている姿は感慨深くて。友達とはまた違う一面、仕事の仲間としても姿を見られて得をしたな、という気分になりました」と述懐した。

　最後にMCより、映画のタイトル『DitO』(ディト)が、フィリピンのタガログ語で「ここ＝here」の意味であることから、ゲストそれぞれの「居場所」について質問が投げかけられた。

　結城監督は「いまはこの映画です」と即答。「2011年に映像制作会社KURUWA.LLC（曲輪合同会社）を立ち上げ、やっと初長編映画として完成させたのがこの映画。本当に今はこの映画が僕の居場所、と言えます」と説明。

　田辺は「私は、お芝居の世界です。人生の半分以上続けていて、これ以外は考えられない。新しい自分を発見したり、失敗することもあるけれど、一番楽しくて、落ち着く場所ですね」と仕事への想いを打ち明けた。

　尾野は「難しい質問ですね。でも、自分が素直になれる場所としては、18歳から上京した東京、それまで育ってきた奈良、移住した現在の住まいがある沖縄。全部それぞれ役割があって、私にとって大切な居場所です。なので、私には3ヶ所あるんです」と述べ、三者三様の「居場所」についての思いを語った。

　さらに、映画には力強いセリフが登場することから、人生において心に残る言葉、格言はあるか？と問われると、尾野は「『30歳になった有名になれるぞ』です。知り合いの方に『30になったら仕事が来るからそれまで頑張れ』と言われたのですが、この言葉を胸にずっと頑張っていたら朝ドラが決まった。諦めないで良かったなと思います」と嬉しそうに語った。

　田辺は「『やらないで後悔するより、やって失敗して後悔しない』です。誰かにもらった言葉でもなく、ふとした時に思った言葉で、究極の選択を迫られた時にはこの言葉を思い起こしています」。最後に、結城監督は「映画のセリフとしても使わせてもらったのですが、マニー・バッキャオの『年齢はただの数字に過ぎない』という言葉。彼が常に言っている事なのですが、自分自身を振りかえると、この言葉に何度も助けられた。一生大事にしていきたいです」と熱い思いを込めて紹介した。