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ピクサーのトップ、ピート・ドクターが語る ダリィへのシンパイと世界的大ヒットのヨロコビと

ORICON NEWS / 2024年8月5日 8時0分

ピクサーのチーフ・クリエイティブ・オフィサーのピート・ドクター(C)ORICON NewS inc.

 『アナと雪の女王2』を超え、世界興収がアニメーション映画史上歴代No.1の大ヒット作となったディズニー&ピクサー映画『インサイド・ヘッド2』。誰の心の中にも広がる<感情たち>の世界を描き、アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した『インサイド・ヘッド』(2015年)を監督し、続編のエグゼクティブ・プロデューサーで、ピクサー・アニメーション・スタジオのクリエイティブを束ねるチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務める映画作家ピート・ドクターにインタビューした。

【動画】“シンパイ”役割がわかる本編映像

 『インサイド・ヘッド2』では、主人公ライリーの幸せを子どもの頃から見守ってきたヨロコビ、カナシミ、ムカムカ、ビビリ、イカリの5つの感情たち。ある日、高校入学という人生の転機を控えたライリーの中に、新たな4つの<大人の感情>たちが現れる。



 常に最悪の将来を想像して、あたふたと必要以上に準備してしまうシンパイ、小さな身体で背伸びして、いつでも周りの誰かを羨んでいるイイナー、どんなときも退屈&無気力で片時もスマホは手放さないダリィ、そして、いつもモジモジしていて、恥ずかしさがMAXになるとフードで顔を隠すハズカシ。

 <感情の嵐>が巻き起こる中で、自分らしさを失っていくライリー。成長して新たな壁に直面するライリーの姿を通して、より複雑化した心のうちをイマジネーション豊かに描く。これから思春期を迎えたり、まさに今、思春期真っただ中の子どもたちだけでなく、思春期を経験した大人たちの共感も呼んでいる。

――続編の監督をケルシー・マンに託したのはなぜですか?

【ピート】私は『ソウルフル・ワールド』の監督を務め、その仕上げで忙しかった時期に、ケルシー・マンに『インサイド・ヘッド』の続編ができそうか検討してみてほしいと頼んだんです。ケルシーは、『モンスターズ・ユニバーシティ』や『アーロと少年』、『2分の1の魔法』でストーリー・スーパーバイザーを務めてきました。とてもユーモアがあって、エネルギッシュで、プロジェクトに多くのことをもたらしてくれると思ったからです。その彼が、何も思いつかなかったら続編はやめようと思っていたのですが、彼はとてもいいアイデアを出してくれました。1作目のヨロコビやカナシミだけでなく、複雑な感情が増えていく変化の時を描くというのは、すごく良いアイデアだと思い、彼に任せることにしました。

――最近、2時間前後の映画を集中して見るのが「ダリィ」という人たちが増えていると言われています。映画をつくる側として、将来に「シンパイ」はありませんか?

【ピート・ドクター】映画に飽きてすぐスマホをポチポチしてしまう人たちのことですね。私たちは、普遍的に人々の心に訴えかける映画を作りたいと思って1秒間24コマ、全カット・全台詞に全精力を注いで映画を作り上げていくのですが、スマホを見ながら見ている人に思いは伝わるのだろうか、この先サバイブできるのだろうか、というシンパイはあります。

 『インサイド・ヘッド2』は映画館で公開できて幸いでした(『ソウルフル・ワールド』は配信リリースだった)。コロナ禍を経て、人々が映画館に戻ってきたことに興奮しています。友人や見知らぬ人たちと一緒に暗闇の中で映画を見る方がより集中できますし、大きなスクリーンで観る方がより印象に残ると思うんです。

 時間を割いて映画館に足を運ぶというのは、何かを感じたいから。多くの方が映画館でこの作品を見て、楽しんでくださっているのは本当にうれしいことです。この映画の成功は私たちにとっても大きなヨロコビで、1年前よりシンパイは減り、自信がつきました。

――サバイブしていくために、ピクサーが望んでいる変化や成長は何ですか?

【ピート・ドクター】私は不協和音や複雑なリズムが連続するストラヴィンスキーの楽曲を初めて聞いた時、音楽家の父に「この曲のどこがいいの?」って聞いたことがあったんです。そこで父は、「音楽は調和と驚きのバランスが大事なんだ」と言いました。調和のとれた展開が続くとストレスはないかもしれませんが、退屈に感じてしまうし、突飛すぎても共感できません。そのバランスが大切だということです。

 スタジオとしても皆さんが期待しているピクサーらしい、なじみがあって心地よいと感じてくれるものをつくりつつ、退屈させない何か新しくて驚くべきものをつくっていくことが課題です。映画を見て、「そうなんだ」という反応と、「私もそうだった」という反応、私たちが探しているのは後者のストーリーです。僕らは主人公の年齢や性別、職業、境遇は違っていても共感できる普遍的な物語つくっていきたいと思っているんです。

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