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「ぴあフィルムフェスティバル」全プログラム発表 中村靖日さん追悼企画に犬童監督「彼が横にいてくれると癒される」

ORICON NEWS / 2024年8月9日 15時33分

『第46回ぴあフィルムフェスティバル2024』ラインナップ発表会より(左から)荒木啓子D、吉田恵輔監督、犬童一心監督

 9月7日より国立映画アーカイブにて開催される「第46回ぴあフィルムフェスティバル2024」について8日、東京・LOFT9 Shibuyaにてラインナップ発表会が実施され、全プログラムが発表された。

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 同フェスティバルは、第1回から続く自主映画を対象とした日本初の本格的なコンペティション「PFF アワード」をメインプログラムとし、招待作品は6企画を展開。映画祭でしか観ることのできない特集上映企画を実現する。発表会には、「PFFアワード2024」最終審査員を務める吉田恵輔監督、8ミリフィルムで撮る自主映画熱が日本中を沸かしていた時代を体験する「自由だぜ!80~90年代自主映画」(招待作品部門)で監督作が上映される犬童一心監督、PFFディレクターの荒木啓子氏が登場した。



 今年のPFFアワード2024は、前年から135本増となる692本の応募作品の中から19作品が入選。今年は、最年少14歳を含む、18歳以下の監督による作品が3作品入選し、新世代を感じさせる作品群となった。上映後は監督を迎えてのトークを行い、「DOKUSO映画館」「U-NEXT」でもオンライン配信をする。

 今年の傾向について荒木ディレクターは、「近年、スマートフォンだけで映画を作ることが普通になった。10代に向けてのキャンペーンも積極的にはじめ、実際、入選作品に14歳の中学生、18歳の高校生と10代の作品、3作品が入選し、嬉しい年となった」と報告。また、中国、韓国からの留学生が増えていることでの応募者の増加や、3分の2が女性と女性の比率が高くなっていることなど今回の特徴を挙げた。

 最終審査員である吉田監督は「PFFには何回か応募していますが、一次を通ったことがないんです(笑)」と話すと、「個人的には、上手くて即戦力として使える監督よりも、不器用でもいいからカラーが出ていて、個性が爆発している監督を見つけたい」と語り、「自主映画は独り善がりになってもいいと思う。『こいつ、俺が失ったものを持っているな』と思えるような作品、『俺が良ければこれで良いんだ』と引き寄せる力のある、ある種のカリスマ性を観たいですね」と力強く入選作への期待を寄せた。

 また、招待作品部門では、今年で生誕100年を迎える増村保造監督の特集を開催。ラインナップ全13作品中8作品が未配信の作品で、なかでも江戸川乱歩原作、緑魔子出演の『盲獣』は4Kデジタルリマスター版日本初上映となる。会期中は緑魔子をはじめ、『曽根崎心中』『動脈列島』に出演した梶芽衣子、『大地の子守歌』出演の原田美枝子の来場も予定している。

 特集について、犬童監督は「(今回上映される)『曽根崎心中』と『大地の子守歌』を観て、このやり方で大阪を舞台にして作れないかと思って出来たのが(長編デビュー作となった)『二人が喋ってる。』なんです」と知られざるエピソードを披露。荒木ディレクターは「今観ても新しすぎる映画が揃った」と見どころを語った。連動企画としてU-NEXTでも増村監督作品を特集。永遠のミューズ・若尾文子の主演作など全13作品が配信される。

 さらに全国の映画研究会での8ミリフィルム映画制作熱のピーク時代につくられた傑作選をお届けする本企画について、荒木ディレクターは「PFFが始まったのが1977年。80年~90年代は、日本中が8ミリ熱が燃え盛っていたピークの時代と言っても良い。膨大な数の作品があり選ぶのは大変だったが、今見ても驚きしかない、という、傑作ばかりを選んだ」と解説。

 この時代を体験している犬童監督は「僕が高校生の頃、8ミリ映画を作りたくて偶然行った大学の自主上映会で、黒沢清監督の8ミリ映画『SCHOOL DAYS』(78)を見て、その圧倒的な面白さに影響を受けて作ったのが、『気分を変えて?』(79)という映画。学校の文化祭で上映したのですが誰も見てくれなくて(笑)。だから、PFFに入選した時は、まず、僕の作品を観てくれた!とものすごく嬉しかった。しかも、その時の審査員が、大島渚さん、大林宣彦さん、松本俊夫さんなどで、『この人たちが僕の映画を観たぞ』という喜びも。また、PFFを通して、黒沢(清)さんや今関(あきよし)さん、手塚(眞)君、利重(剛)君と知り合うことが出来た。いろんな人と映画を作ることになって、映画を作ることが当たり前の日常になった。気がついたら、この時に知り合ったメンバーが映画界に居て、40年経った今でも付き合いがある」と当時を懐かしみ、PFFで出会った仲間との交流が今でも続いていることを明かした。

 最後に荒木ディレクターは、「一巻3分しか撮れない8ミリフィルムで2時間の映画を作ろう!という情熱、熱度が今とは違います。ぜひ今こそ皆さんに見て頂きたい」と結んだ。

 また、今年7月10日に急逝した中村靖日さんの追悼企画として、2005年に第58回カンヌ映画祭批評家週間で4賞を受賞し話題となった、第14回PFFスカラシップ作品『運命じゃない人』(内田けんじ監督)をはじめ、『キングダム』シリーズの佐藤信介監督による武蔵野美術大学時代の作品で、中村さんがスタッフ・俳優として参加した『寮内厳粛』(94年・「PFF アワード 1994」グランプリ受賞作)、『月島狂奏』(94年)、『正門前行』(97年)の計4本が上映される。

 その特集上映のトークゲストとして登壇する犬童監督は、自身の監督作5作品で中村さんを起用。「僕の映画に一番多く出演している俳優。僕の歳だと周りで亡くなる方も多くなってくるのですが、中村さんの訃報を聞いた時は、本当に厳しいな、もう頼めないのか、という気持ちになりました。中村さんに来てもらう時は、俳優として役を演じてもらう一方で『会いたい』という気持ちがあって。映画監督って寂しさを感じることが多いのですが、彼が横にいてくれると癒される。俳優さんはカメラの向こう側にいる存在なのですが、彼はカメラのこちら側に来てくれて、仲間として横にいてくれる人なんです。普段彼がやるような役柄ではないものもお願いして、『のぼうの城』では、スナイパーの役を演じてもらったこともありましたね」と中村さんを偲んだ。

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