「綺麗になっていく友人と自分を比べ、悔しかった」骨形成不全症の女性、障害と正面から向き合うきっかけとなった言葉
ORICON NEWS / 2024年8月12日 11時30分
2〜3万人に一人が発症する骨形成不全症を患いながらも、「やりたいことは全力で挑戦する」をモットーに発信を続けているインフルエンサーの咲さん。ちょっとした外傷で簡単に骨折してしまうほど、全身の骨が脆弱している症状に、物心ついた頃には「みんなと違うのか!まぁいっか!!」と気楽に構えていたものの、成長するにつれ、周囲の人に対する羨ましさが強くなっていったといいます。多感な時期の病気への葛藤、そんな自分を受け入れ、SNSで発信していく現在までを聞きました。
【写真】約80回骨折を経験も…少しの間であれば立つこと・歩くことができる咲さん、長期入院とリハビリを頑張った賜物
■「“障害だから”は使わない。当たり前にならない。謙虚でいること」厳しくも温かい両親の言葉
――咲さんのTikTok投稿には「かわいいし、明るいし、元気もらってる」「めちゃめちゃかっこいい」「素敵な方」などのコメントが寄せられています。
「SNSをやると、嬉しいコメントもあれば悲しいコメントもあり、私の中では悲しいコメントの方が多いかな.と思っていましたが、ほとんどあたたかいコメントで溢れていて嬉しかったです。
『可愛い』や『明るい』も嬉しかったですが、『元気をもらってる』というコメントは、誰かの役に立っていると感じることができ、SNSをやっていて良かったなと思いました。いつも助けてもらっているからこそ、誰かの役に立ちたいと思っていたので、とても嬉しかったです」
――ご自身が、明確に骨形成不全症を患っていることを認識したのはいつ頃でしょうか?
「4、5歳くらいの頃には、自分が人とは違って、何かをすると骨折すると感じ始めていたと思います。それでも子どもの頃の方が気楽に考えていたかもしれないです。“みんなと違うのか!まぁいっか!!”って。大人になるにつれ、いろんな人と関わっていくなかで、人と違うということを改めて感じて、羨ましいと思うようになりました」
――親御さんは咲さんに対してどのように接していましたか。
「特別優しくはなかったです(笑)。みんなと同じように接してくれて、障害関係なく、よく怒られていましたし、『可哀想に。ごめんね』というような声かけはなかったと思います。
印象に残っている言葉で今も大事にしているのは、『“障害だから”という言葉は使わない。当たり前にならない。謙虚でいること』です。もちろん障害上できないこともありますが、障害だから仕方ないと思ってしまうと、少しずつやらないことを選んだり、やってもらうことが当たり前になってしまいがちなので、よくそういった言葉をかけてくれました。そのおかげで今もその言葉を心に刻んでいます」
■友人と比べて自身の姿に悩んだ高校時代「自分をちゃんと知った上で楽しそうに過ごしている」養護学校の生徒に驚き
――骨形成不全症であるがゆえに、日常生活でどんなことが不便だなと感じますか。
「今セルフレジが増えてきましたが、台に届かなかったり、一人でやるのに時間がかかってしまったりするのは少し大変です。よく行くお店では、覚えてくださっててすぐに助けてくださるのですが、その優しさに嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちが混ざってしまいます。
あとは小さいので、よく子どもと間違えられてしまうこと。その時の反応に相手を傷つけずに、どう答えるかで悩んでしまうことです」
――咲さんが自身の持病のことで悩んだり、葛藤した時期はありますか?
「葛藤していたのは、高校生の時です。女の子から女性へと変わっていき、スタイルだったり顔が綺麗になっていく友人を見て、自分にはそれはないと思った時は、悔しくて鏡を見たり、自分を出すことが嫌にもなりました。友人とのお出かけをしてSNSに投稿もなるべく車椅子を隠して、顔だけだったりしていました。恋愛に関しても自分は無理なことだと思っていましたし、自信がなかったです」
――そういった葛藤の中でご自身が骨形成不全症であることを受け止めることができたのはどういったことがきっかけでしたか?
「高校で養護学校に行くようになり、少しずつ自分を受け止め始めたと思います。私よりも重い方や私と同じ障害の方が、自分をちゃんと知った上で楽しそうに過ごしている姿を目にし、私は自分と向き合ってないし、自分の障害をちゃんと説明できない…と驚きました。養護学校では自分と向き合う時間がたくさんありました。
その中で一番向き合えるきっかけができたのは、自分と同じ障害の方を持つカウンセラーの存在です。たまに学校に来ていたので、その際にお話を聞いたり、大人になって大変なことや辛かったこと、楽しかったこと、恋愛についてもかなり質問しました。その方とお話していくうちに、辛いことばかりじゃないんだな、自分を少し受け止めてもいいかもと思えるようになりました」
■「『こういう人もいるのか』と少しでも頭の隅に置いてくれたら嬉しい」
以前は障害があること、身体が不自由なことにより、恋愛をしたら「相手に嫌な思いをさせるのでは」「迷惑をかけるのでは」と思い悩んだ時期もあったと言いますが、今のパートナーさんとの出会いがそんな咲さんの気持ちを180度変えてくれたと言います。
――一番近くで支えてくれるパートナーさんは、咲さんにとってどんな人ですか?
「私の考え方を変えてくれた人です。障害をSNSに出すのは恥ずかしい。と思っていたり人に馬鹿にされるのでは。と思っていた部分もありましたが、彼は『頑張ってる人を馬鹿になんかしないよ。車椅子かっこいいじゃん!』といつも肯定してくれて、少しずつ自分を出せるようになりました。そんなふうに私をポジティブに変えてくれます」
――最近では、体にハンディキャップを持つ人によるSNS発信が多く見られ、病気や障害を知る機会の場ともなっています。咲さんがSNSを発信することでよかったと感じたことがあるならば、それはどんなときですか。
「私自身、高校生の時に恋愛のこと、これから先のことでかなり悩みました。てもそれを相談できる相手はなかなかいませんでしたし、本にはみんなが知ってるような初歩的なことばかりが書いてあるだけで、すごく不安でした。知る機会って本当に少ないなと思いました。
私と同じような悩みを抱えてる人もいたりするのかもしれないと思っていたので、発信することで少しでも解決できるのであればSNSをして良かったと思います」
――ご自身の発信を通して、社会や周りがどうなっていくことを望みますか?
「『こういう障がいの方もいるのか』と少しでも頭の隅に置いてくれたら嬉しいです。また、優しい世界がこれからも続いてくれたらなと思います」
――今後どんなことに挑戦していきたいですか?
「SNS発信の展望とはずれるのですが、スキューバダイビングをやってみたいです!」
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