「子どもを救いたい」つらい経験から教師を志す高校生を美容師が応援、「前向きに人生を歩いていくお手伝い」

先生になりたいという高校生タクトさん（写真提供：渋谷でイメチェンさせる人）

　もともとは活発でリーダシップもある少年だったのに、ある時からいじめに遭ってしまった高校生のタクトさん。だが彼はそこでへこたれることなく、「自分と同じような子を救いたい」と教師を目指しているという。そんな彼の人生を「応援したい」と、ハサミを握ったのが人気美容師のカンタさんだ。外見を磨くことでさらに自己肯定感を上げ、「こんな先生の生徒になりたい」という声まで上がったスゴ技、そしてタクトさんの彼女の反応は？

【動画】「これは別人級！」「生徒になりたい…」、超絶イケメン化に彼女の反応は？

■いじめをなくすために先生に…、「美容師として、彼の人生を応援したい」

　男性たちを劇的に変貌させるのは、3000人の顧客を抱えるフリーランスの人気美容師・カンタさん（@ka.n_wl）。道行く人に声をかけてカッコよくイメチェンさせる「渋谷でイメチェンさせる人」として、YouTubeやTikTokなどで動画を配信している。

　今回紹介するのは、普段は家の近くの美容室で髪を切っているというタクトさん、17歳。彼女とデート中に秋葉原で声をかけられ、後日、日程調整をしてイメチェンに臨んだ高校生だ。

　サロンにて、まず髪を洗われ、前髪とメガネで覆われた顔があらわになると、「顔のパーツが100点！」と思わず声をもらすほどのイケメンの顔立ちがあらわに。小さい頃は水泳に熱中し、小中時代は生徒会活動もしていたと快活に語る一方で、「小中時代はいじめられ、学校に行くのが嫌になっていた時期もあった」という。

　それでも、つらい気持ちをこらえ、加害者を相手にしないくらいの強い気持ちで学校には通い続けたというタクトさん。そして、そんな経験をしたからこそ、「いじめをなくすために先生になりたい」と語るタクトさんに、カンタさんは深く感銘。「美容師として、彼の人生を応援したい」とハサミを握ったのだった。

　「いじめられてしんどかっただろうに、自分の中で加害者とは違う世界をしっかり持って、しっかり生きて、自分で解決して強かったな、すごい人だなと思いました。僕は、美容師として独り立ちしてから、『髪を切るだけの人になりたくない』とずっと思ってきました。美容師は接客業の中でも、お客様と関わる時間が長い職業です。顧客の中には髪を切る目的だけでなく、話をしに来てくれる方も多く、一緒に人生を歩んでいるような関係になる。憧れの先輩がそういう関係をお客様と築いているのを見て、僕もそうありたいと考えるようになりました。そして、僕の施術で見た目がカッコよく変わることで、前向きに人生を歩いていくお手伝いができればと考えてきました」（カンタさん／以下同）

　そんな思いを胸に、タクトさんを「男らしい印象にしたい」とカンタさん。

　「長さがあまりなかったので、できる髪型が限られてはいたのですが、肌の色が浅黒いのと、短髪にしたほうが男らしくなるので、アップバンクのスタイルにしました」

　カットが終了した後は、家に帰ってからも自分でアップバンクを上手に作れるよう、ブローの仕方やワックスの付け方、オススメのワックスなどをタクトさんに伝授。「タクトさんはハチ周りが浮きやすいので、ドライヤーで熱を当てて、温めたら冷やすといい」「ワックスはハード系とグリースを混ぜて、後ろから根本を起こすようにして、毛先に揉み込んで散らす」などのテクニックを、真剣なまなざしで見つめ、聞き入るタクトさん。施術が終わった後は、「すごい、自分じゃないみたい」と笑顔を弾けさせた。

　さらにカンタさんを喜ばせたのは、タクトさんの彼女の反応だった。施術前、「彼女に見せるのが楽しみ」と語っていたタクトさん。施術後にやって来た彼女は、イメチェンを果たしたタクトさんを見て、まぶしそうに、うれしそうに、笑みをこぼし続けた。その様子を映した動画には、「美容師すごい！」のコメントも多数。

　「彼女さんもめっちゃ喜んでくれて、美容師になって良かったって、改めて思いました」

（文：河上いつ子）