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「糞便のような体臭」「酸っぱいにおい」の正体は? “男女の体臭”に違いも…皮膚科医が解説

ORICON NEWS / 2024年8月27日 9時10分

男女の体臭の違いとは?

 先日、「夏場の男性のにおい」に対するフリーアナウンサーの投稿が炎上し、多くの批判が寄せられた。男性だけに言及されていることで、「ジェンダーハラスメントでは?」「女性だってくさい」などの声も上がり、体臭問題がいかにナイーブなことであるかが示された形に。本当に男性のほうがにおいが強いのか? 男女の体臭に違いはあるのか? ナチュラルスキンクリニック院長兼クリニックフォア監修医の皮膚科専門医・圓山尚先生に聞いた。

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■糞便のにおいや酸っぱいにおい…、不快な体臭を放ちやすいのは男性? 女性?

――フリーアナウンサーによる《夏場の男性の匂いや不摂生してる方特有の体臭が苦手すぎる》という投稿が大炎上しました。SNSでは「男性だけじゃなく女性だってにおう」などの声もありましたが、皮膚科医としてどう思われますか?



 「まず、においには個人差があり、一概に男性だけというわけではありません。体臭の原因は主に体から分泌される汗と皮脂です。汗と皮脂が混ざり合ったり、それにより皮膚の細菌が増えることによりにおい物質が発生します。ただ、人体の仕組みとして医学的に述べるなら、一般的に男性の方がアポクリン腺や皮脂腺が活発であることは確かです。皮脂腺からは体臭の原因となる“スカトール”“インドール”という成分が分泌されるので、皮脂腺が活発な男性の方がにおいやすいと言えるでしょう」

――“スカトール”“インドール”とはどんなにおいですか?

 「濃度が高いと、微量でも強烈な糞便のようなにおいになります。どちらも動物の糞に含まれる物質で、ヒトにおいても腸内細菌の代謝過程(特に悪玉菌)で産生されます。皮脂と混じり合うことでより強い体臭を発生されるため、皮脂腺が発達していると、そのようなにおいを発してしまう可能性がありますね。ただ低濃度な場合はジャスミンのような香りがして、香水でジャスミンの香りを作るときにも必要な成分です。男性でも皮脂腺が活発でない方なら、不快なにおいが出にくいということは言えます」

――強烈な糞便のにおいというのは恐ろしいですね…。ほかに、夏の暑い時期には酸っぱいにおいを発している人もいますが、これは?

 「皮膚表面にいる細菌が汗や皮脂中を分解して酸っぱいにおいの酸(酢酸、プロピオン酸など)を産生します。また、運動によって体内に乳酸がたまると、汗に一部排泄されますが、これも酸っぱいにおいの原因のひとつとなります。夏場は汗をかくことが多いので、酸っぱいにおいは汗の影響が大きいと思われますが、汗に関しても一般に男性の方がかきやすいため男性のほうがにおいやすいです」

――ほかに、男性の体臭が強くなる原因はありますか?

 「皮膚のPh値も関係しますね。男性は女性より皮膚表面の酸性度合いが若干高く、これによりにおいの強い菌が増加する可能性はあるようです」

――ほかにも、副次的なことで体臭の原因になることは?

 「体毛もにおいの元になります。たとえば脇毛にしても、毛が多ければ多いほど汗を吸収しやくなって、蒸れたり雑菌が増殖しやすくなったりします。雑菌の温床になるということは、その分においが発生しやすいということです。男性の方が体毛が濃い傾向にあり、女性は脱毛などで体毛が少ないことが多い。必然的に、においを発生させるのは男性が多くなるのだと思います」

――食べ物も影響しますか?

 「肉や脂質の多い食事が、体臭につながることもあります。やはり、ラーメン店の行列に男性が多いように、においの原因になりやすい食事は男性のほうがしがちです」

――医学的に見ても、女性より男性のほうが体臭が強いというのは事実なのですね。

 「傾向でいえば、その通りです。でも、例えば女性が男性ホルモンの注射を打つと、おそらくアポクリン腺や皮脂腺が活発化して体臭は強くなると思われます。また女性でも、汗をかいたあと放置して汗が酸化したり、衣服に雑菌が増殖すれば、同じようににおいを発します。そこに性差はありません。また、アポクリン腺や皮脂腺が活発な女性もいるので、やはり『人による』と言わざるを得ないかと」

■男性だけじゃない、閉経後は女性も加齢臭に注意を

――個人差はあるにせよ、男性の体臭が強くなりやすいというのはわかりました。ただ、今回の投稿に対する反響には「女性だってにおう」という意見も。香水等の人工的な香りはさておき、女性ならではの体臭というものもあるのでしょうか?

 「一般的に、加齢臭も男性の方が強いと思われていますが、女性でも発生します。これにはホルモンバランスが関係していて、男性ホルモンが皮脂腺の活動を刺激し、そこから分泌される脂肪酸が酸化することで“ノネナール”という加齢臭の元となるにおいが生まれるのです」

――そう聞くと、やっぱり男性の方が加齢臭も強そうと思ってしまいますが?

 「実は男性だけではないのです。大雑把に言えば、男性ホルモン・テストステロンと、女性ホルモン・エストロゲンは互いに拮抗しあう関係にあります。女性はこのエストロゲンが働くことで閉経するまではあまり加齢臭はないようですが、閉経後はエストロゲンが減り、相対的に男性ホルモンの影響を強く受ける。そうすると、男性同様に女性にも加齢臭が発生するということです。加齢臭は男性は35歳ぐらいから、女性だと女性ホルモンが減り始める40歳ぐらいから発生するといわれていますね」

――女性もその点では気を付けておいたほうがいいですね。

 「女性特有のことでいうと、生理の経血が酸化したり皮膚の雑菌が混ざると、においが出る場合もありますが、これは適切にケアすれば周囲の人にわかるようなものではありません」

――ほかに、臨床の現場で感じる、体臭にまつわるトピックはありますか?

 「性差に関係のない体臭の悩みといえば、やはりワキガでしょうか。ボトックスを打って脇の汗を止めたり、ミラドライという機械でアポクリン腺を破壊するなどの治療があります。ただ、稀ですが脇を処置すると、今度は体の別の部位から汗やにおいが出てしまう『代償性発汗』という例があるのは事実。通常、背中や胸腹部などの体幹部に生じやすいです」

――そうなんですね。体臭について相談や受診をする人は、男女どちらが多いのですか?

 「これは女性が多いですね。女性の方が自分のにおいに敏感な分、治療を考えたり、しっかり対策する方が多いのでしょう。一方で男性は汗や体臭など自分のにおい自体に気付いていない方もいます。体臭に対する気づかいという点においても、性差はあると言えるのではないでしょうか」

――最後に、どのようなことに気を付けるべきか、皮膚科医としてのアドバイスをお願いします。

 「体の仕組みとして、どうしても男性のほうがにおいやすいのは仕方ないことです。とはいえ、なんらかの対策をすることはできます。制汗シートや制汗剤、シャワーなどで清潔に保ち、食生活では脂肪が少ないものを選ぶ。体毛の処理も考えてみてもいいかもしれません。多汗症に悩んでいる方が、対面診療・オンライン診療で受診されるケースも増えてきています。とはいえ、一番大事なのはまず自分の体臭を意識し、気を付けることが何より大事。こうしたエチケットについては、男女問わず気にかけるのが良いと私は考えます」

(文:衣輪晋一)

【監修】
圓山 尚(えんやまたかし)
ナチュラルスキンクリニック院長兼クリニックフォア監修医。金沢医科大学医学部卒業後、日本医科大学附属病院皮膚科に入局し皮膚科・皮膚外科・レーザーを中心とした診療を行う。その後、湘南美容クリニックでの勤務を経て、2019年にクリニックフォア新橋院を開院。その後、2022年に永福スキンクリニック(現ナチュラルスキンクリニック)を開院。

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