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北野武監督、新作映画『Broken Rage』は「インターネットの<間>になった」 ベネチアで会見

ORICON NEWS / 2024年9月8日 7時26分

「第81回ベネチア国際映画祭」に参加した(左から)大森南朋、北野武監督、浅野忠信

 北野武監督がイタリアで開催中の「第81回ベネチア国際映画祭」で現地時間6日、新作映画『Broken Rage(読み:ブロークンレイジ)』の公式上映(アウト・オブ・コンペティション部門※特別招待作品)に先立ち、記者会見に臨んだ。

Amazon Original映画『 Broken Rage』場面写真

 世界中から100人以上の報道関係者が詰めかけ満員となった公式記者会見で北野監督は、「劇場の人向けではなく、TV画面で観る人に向けて、今までやってみたかったことをテストでやってみた。気楽に撮ってみたら、まさかこんな(ベネチアに来る)ことになるとは。もっと真剣にやるべきだったな」と作品が生まれた経緯を“北野節”交じりに語り、会場を沸かせた。



 62分の尺の中で2部構成となっている本作について、「実際にインターネットをみたりして、意外に規制が外れて『よくこんな悪口が言えるな』と楽しくみているが、スピード感に飲まれているのか、(本作の編集にあたり)映画の<間>じゃなくてインターネットの<間>になった」と、実験的な作品になったと語った。

 北野監督の新たな挑戦を感じられる中でも、本作の<暴力におけるお笑い>というテーマについて、「暴力もお笑いも感情を揺さぶるもの。人に対する衝撃という意味では、お笑いも暴力である。暴力的なものなのか、愛なのか、日常的なものなのか、観る人によって違うのは映画や絵画などのアート。人が気付いていないことを、これが暴力だ、これが愛だとピックアップするのが大事なんだと思う」と説明。

 スタンダップコメディアンからキャリアを始め、お笑いの頂点に立ちながら、世界有数の映画監督として今なお活躍する北野監督にしか撮れない作品であることを印象付けた。

 出演者の浅野忠信は、北野監督との仕事について「武さんのような、違うところで活躍されていた方が映画に来て、まっすぐな目で我々に向き合ってくださるっている気がするんですよね。そうするとほかの映画監督とは全然違う要求をされるので、役に対して応えていく作業を現場でしていかないと北野監督が認めてくれないということがわかったので、役に対する取り組み方が変わったなと。前作の『首』にしても今回の『Broken Rage』にしても常に新しいことにチャレンジしている姿勢も含めて俳優として学ぶことが多かった」 とコメント。

 大森南朋は北野組の撮影現場について、「武さんの横にずっといることが出来て、浅野君と一緒にお芝居できて、撮影の日々は本当に毎日楽しかったです。(後半のパロディパートの撮影では)生意気ながらも『武さんにもちょっと笑ってほしい』という気持ちで撮影に挑んだんですけど、なかなかできなくて苦労しました」と振り返った。

 北野監督の新たな挑戦に応えた浅野・大森について北野監督は、「この二人は、おれが将来すごく期待している人たちなんで、すごく一生懸命にやっていただいて、いずれは映画界を引っ張っていく日本の役者さんだと思ってますんで、皆さんも心に留めておいてください」と海外メディアに向けてアピールし、会場からは拍手が起こった。

 記者会見終了後には、北野監督が記者たちからサイン攻めにあうシーンもあり、その後行われたレッドカーペットでは記者たちから熱烈なキタノコールに迎えられた。公式上映が行われたメイン会場のSALA GRANDEには、北野監督の新作を待ちわびたファンで1032席が埋め尽くされた。

 上映中は笑いと拍手の渦が起き、上映後は熱狂に包まれた観客からは惜しみない拍手と歓声が送られた。スタンディングオベーションが6分を過ぎたところで北野監督は照れくさそうにそれを制止する一幕も。

 北野監督は「ベネチア国際映画祭には何度も来ているけど、今回は、その中でもトップ3に入るほど反応が良かった。『HANA-BI』の時よりもスタンディングオベーションはこっちのほうが長くて、面積とか体積で言えば、今回のが一番良かったなと思います。『Broken Rage』はあまりにも映画らしくない、冒険した作品なので『大丈夫かな?』と思ったけど、反応がすごく良かった」と安堵した様子だった。

 北野監督が脚本・主演を務め、「暴力映画におけるお笑い」をテーマに制作。前半では、警察とヤクザの間で板ばさみなった殺し屋が生き残りをかけて奮闘する、裏社会を舞台に繰り広げられる骨太のクライムアクションになっている。一方、後半は、同じ物語でありながら、前半と同じ物語をなぞるコメディタッチのセルフパロディになっている。主人公の殺し屋・ねずみをビートたけしが演じている。

 日本の配信動画作品として初のベネチア国際映画祭への正式出品となった『Broken Rage』は、動画配信サービス「Prime Video」にて2025年に世界配信予定。

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