角田光代氏、インドでのトラブル明かす「お金払ってないと言われて…」
ORICON NEWS / 2024年9月26日 17時6分
作家の角田光代氏が25日、都内で開催された映画『花嫁はどこへ?』(10月4日公開)のトークイベントに登場。映画の魅力を語った。
【動画】前代未聞の“かん違い”からはじまる感動作『花嫁はどこへ?』
同作はインド映画で、『LOST LADIES』(英題)が『花嫁はどこへ?』の邦題として公開される。昨年の「第48回トロント国際映画祭」でお披露目され話題となり、第97回アカデミー賞の国際長編映画賞インド代表に選出されたことも話題を集めた。インド、大安の吉日。同じ赤いベールで顔が隠れた2人の花嫁が、花婿の家へ向かう満員列車の中で取り違えられたことを機に、育ちも性格も全く異なる2人の女性の想定外の人生が始まるという物語。
映画にちなんで赤いワンピースで登壇した角田氏は、映画について「すごく感動しました。話運びが上手く、いいセリフもいっぱいあり、うまいなぁと思うところがたくさん。素晴らしかったです!」と大絶賛。また、同じイベントに登場したライターのISO氏も「数ある作品の中で、インド代表に選ばれたのも納得。みんなに愛される作品だと思います」と断言した。
また、中心人物を演じた2人の花嫁について、角田氏は「顔つきとか容姿がそれぞれのキャラクターの個性にぴったり」とオーディションを経て抜擢されたプール役のニターンシー・ゴーエル、ジャヤ役プラティバー・ランターを絶賛。「特にプールは、保守的な女性に育てられたのだけれど、迷子になって色々な人と出会い、色々なことを教わっていく過程が面白かった」と魅力を語った。
さらに印象に残ったキャラクターとして、プールを手助けする駅の屋台の女主人マンジュおばさんを挙げ、「女性がひとりで暮らしていても充実していて楽しいんだということをさりげなく教えてあげるのがすごく良い」とコメント。また花嫁の捜索にかかわっていく曲者のマノハル警部補も印象深かったそうで、ISO氏も「いいですよね~」と同意した。
このほかにも角田氏は、劇中の印象的なシーンとして、「この国の女性はみな詐欺(フロード)にあっている」とマンジュおばさんがプールに語る場面や、花婿ディーパクに間違えて連れていかれたジャヤが花婿家族と過ごす中で思いもよらなかった気づきをディーパクのお母さんたちに与え、「家では姑とか嫁とか女は立場ばかり考えて友達になれなかった。お母さん、私たち友達になれる?」と姑と笑って話をする場面を挙げた。「ともすればフェミニズムの啓蒙的な感じにも捉えられかねないのですが、非常にさりげなくいいセリフをいうので、これが当たり前のことだと、逆に気づかされるんですよね」と声を大にして話すと、ISO氏も「この映画は女性のいろいろな生き方を肯定する作品」と語り、観客も同意するようにうなづく姿が多数みられた。
角田氏はバックパック一つで世界中を旅し、インドも2回訪れたことがある。インドの印象について「インドの人たちって本当におせっかいというか、いい意味でそういう人が多いなぁという印象で。例えば長距離バスの休憩所でカレー食べてお店を出ようとしたら、お店の人に“お金払ってない”と言われたことがあるんです。私は払っているから『払った、払ってない』と言い合いになったところ、周りからワッと人が集まってきて『この人は払ったよ』『払っているのを見たよ』と大騒ぎに。道に迷ったときもそうでしたが、人のいいおせっかいさがこの映画にも凝縮されていて、みんなが花嫁を助けてあげようというのがあって、それがまたインドらしいなぁと感じました」とエピソードを明かした。
さらに旅での忘れられない出会いを聞かれると、角田氏は「昨今スマートフォンとかネットが普及すればするほど出会いは減っていきますね、道に迷っても自分で解決できてしまいますし。この映画を観ていると、携帯をもっていないからこそ巡り合う人と人との出会いがあるのかなぁと思います」としみじみ。自身が支援しているプラン・インターナショナルの活動にも触れ「女の子の教育を応援していく一環で、まだまだ虐げられている国や地域を訪問し視察に行くということをやっています。2011年にインドのオンゴールを訪問し、人身売買から保護されたシェルターや売春婦のカーストにいる女性たちの自立を支援する活動を視察したりしました。この現状はこの映画にも通じるものがあって、例えば劇中警部補が『暴力をふるって従わせるのは犯罪だ』というセリフがありますが、そういうことって言われないと気づかない」と真摯に語り、「そういう面でもこの映画で描かれていることが色々な人の力になるのではないかなと思いました。多くの人に届くように応援します!」と力強くメッセージを語った。
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