笑福亭鶴光、ラジオに大切な“親密感”「座ってしゃべるだけはAIでも変わらん」 これからも「このスタイルでやります」【独占インタビューVol.5】
ORICON NEWS / 2024年10月18日 7時0分
「わんばんこ!」。1970年代~80年代にかけて『オールナイトニッポン』で全国のティーンエイジャーの夜をつややかに、そして刺激的に彩ってきた笑福亭鶴光(76)が、今年でニッポン放送パーソナリティ歴50年を迎えた。今は夕方を主戦場に、リスナーを楽しませている鶴光に独占インタビューを敢行。『オールナイトニッポン』デビューから今のラジオ界まで、縦横無尽に語ってもらった。Vol.5では、今のラジオ界について鶴光の思いに迫る。
【貴重ショット】鶴光でおま!『オールナイトニッポン』時代の写真
『オールナイトニッポン』が終わってからも、ニッポン放送で夕方の番組などをやり続けてきました。正直、よそからも引きはあったんですよ。ゲストでTBSラジオも文化放送も、FMにも行ったけどね、どうもね、やっぱここのスタジオが一番肌に合うというか、なんかこう、帰ってきたなっていう感じがする。当時やっていたディレクターとかがみんな偉くなっていって、リスナーも一緒に歳を取っているから、それが楽しくて…。だから、深夜ラジオって、心の奥底にいまだに残ってしまってるんやろうな。60歳の人でも、自分が聴いていた高校生の時代にタイムスリップするような感覚になる。なつかしさと「まだこのおっさんやっとるわ」というね(笑)。だから、僕達も頑張ろうという気持ちになる。
夕方にラジオをやるとなった時に、スタッフが1万円と地図をくれて「これで、東京の地下鉄に乗って、回ってみてください。そうするとわかるから」と言われたことがあって、やってみたわけや。そうしたらある時、戸越銀座の商店街の話題になったら「あそこのおばあちゃんの、元気?」って話すことができて、そうするとそこに親密感が生まれるわけよね。ラジオって、何も考えずただ座ってしゃべるだけやったら誰でもできる。AIにやらせても変わらんわ。今、自分がしゃべっている向こうに、どんな人が聴いているのかって、全部を想像するのは難しいけど、今日はこの人に話しかけてみようとか、頭の中で偶像を作ってやる。だから、ラジオってバカだとできないと思います。
時代の変化もあるんやろうけど、今は誰でもラジオに出ている感じがするかな(笑)。この間、聴いていたら「きのうの〇〇さ…」みたいに話していたんだけど、そのパーソナリティーのファンやったら、情報を補完してわかるやろうけど、その人のことを知らないリスナーもいると思う。どういう場所で何をやっていたのかって、前提を話さないとわからへんやろ?テレビやったら「メガネです」って言わんでも、画面越しに伝わるけど、ラジオは「今、ここにグレーのメガネがありまして、これを今かけています」って全部説明せなわからへん。その説明がうまいことできるかどうかっていうのが大切やな。
ニッポン放送が70年ですか?僕はもうブレないというか、変わらないですよ。リスナーが応援してくれる限りは、このスタイルでやります。リスナーから「ダメ」って言われたら、もうやめるしかない。ニッポン放送に期待することとしては、新人を抜てきするような冒険心がほしいね。昔は、伊奈かっぺいさんを引っ張ってきたりとか、北海道の日高晤郎さんとか、そんな人を抜てきしたりしていました。東京からだけ選ぶんやなしに、いろんなとこから選んできて、それでダメやったら、3ヶ月でさようならってすればええんやから(笑)。もともと、僕だって、あのねのねの代役やったわけやし(笑)。
今のラジオの人は、テレビにすぐ出たがるような気がするけど、僕は量より質やと思っていて。例えば1万人がテレビ見てんのと、1000人がラジオ聴いてんのと、どっちがええかと言われたら、オレはラジオの方が上やと思う。ラジオを聴いている人って、すごくマニアックで、1回ついたら離れへん。僕が東京の深川江戸資料館で落語会をやると、新潟からも番組のファン一同が来てくれるんです。新潟ピンク軍団ちゅう女性たちが(笑)。新潟から新幹線乗って、一泊して…って考えたら、すごいことやと思わへん?
だから、来た人には必ず声かけるっていうのは心がけています。「いつも来てくれてありがとうね」とか「また頼むね」って、なんや国会議員と同じ気持ちになってくる(笑)。そろそろ来週からのスペシャルウィークの告知ですか(笑)?半年ぶりで、みんな引き出しもいっぱいあるし、いろいろ勉強してきたこともあるから、それを全部出しますからね。みなさん、思いっきり楽しんでください!(了)
【笑福亭鶴光】
高校卒業後、1967年に6代目笑福亭松鶴に入門。1968年に初舞台を踏む。1974年にはニッポン放送の「オールナイトニッポン」、1987年から2003年までは「鶴光の噂のゴールデンアワー」でラジオパーソナリティとして人気を博す。上方落語協会・落語芸術協会の両方に籍を置き、上方落語協会に籍を置いて東京の寄席でトリを取れる唯一の落語家。10月1日からは『鶴光の噂のゴールデンリクエスト』(火~木 後6:00)を担当している。22日からは「ほっこり話満載!癒し癒されリクエスト~秋の味覚もプレゼント~」と題して、ほっこりしたエピソードと、癒されたい時に聴いている曲を募集。旬のフルーツギフトセットを毎日プレゼントする。
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