鼻が腐りかけたことも…母の反対を押し切り、2000万でフル整形したトランスジェンダーモデルの矢神サラ「明確な目標と強い意志が必要」
ORICON NEWS / 2024年10月28日 11時30分
日本人で初めてトランスジェンダーのモデルとして世界的なコレクション『LAファッション・ウィーク』に出演したモデルで実業家の矢神サラ。10代から総額2000万ほどかけ整形手術を繰り返し、23歳で性転換手術に踏み切り、そこには明確な目標と強い意思があった。アイドルになりたくて上京した彼女が、コンプレックスから開放され、自分らしく生きるために決断した整形手術について語った。
【全身写真】 さすが世界で活躍するモデル…175センチ抜群のスタイルの矢神サラ
◆18歳で最初の整形手術、総額2000万円以上費やした
――整形についてYouTubeでは、「ダウンタイムの腫れや失敗の恐怖より、自分の顔を人に揶揄されて生きる方が怖かった」「若い頃は無鉄砲で失敗を考えなかった」と発信されています。子どもの頃はアイドルになることが夢で、少女時代に憧れていたそうですが、容姿に対してどのようなコンプレックスがあったのでしょうか?
【矢神サラ】 年齢を重ねるに連れて、「私は可愛くないかもしれない」という気づきが生まれてから、二重にしたい、鼻はこういう形が可愛いなどと、いろいろ調べました。18~19歳の頃、韓国の三大芸能事務所のオーディションも受けましたが全部落ちて、やっぱり見た目という結論に至りました。外見至上主義の世界で戦う時に、「私に足りない部分をすべて整形で補っていこう」と決心しました。
当時、沢尻エリカさんの顔を参考にしていたのですが、自分の顔と照らし合わせて、黄金比を整えるために、顎とエラの骨のほか、中顔面を短縮するために大きな骨も削りました。それから、アイライナーが映える目頭や、アイシャドウがキレイに見える二重幅などひとつずつ研究して、すべてを整えていった感じです。
――ご家族からの反対はありましたか?
【矢神サラ】 母は反対でしたが、自分の意思で跳ね除けて突き進みました。今思えば若かったです(笑)。18歳で最初に二重手術をしました。いま母は、当時私が言っていたことが何年越しかで理解できたと言ってくれていますが、当時はぶつかりましたね。
◆整形の“光と影”を理解し、明確な目標と強い意志が必要
――当時の整形費用はどうされたんですか?
【矢神サラ】 骨を削ったりしていくと300~500万円かかります。当時はアパレル会社に勤務していたことで、融資をしてくれた地方銀行がありまして…(笑)。手術費用の名目で350万円を年利8%ローンで借りて整形しました。その後は、明確に計算していませんが、骨を4箇所ほど削ったり、豊胸したり、額の植毛や脱毛など、全身いろいろいなところを施術したので、総額2000万円くらいかかっています。
――矢神さんは「目的やビジョンがある整形ならをしたほうが良い。でもそうでなければ後悔するので整形はやめた方が良い」と発信しています。
【矢神サラ】 整形は、手術を受けてから回復する間のダウンタイムが辛いんです。メンタルが弱いと痛みに耐えられず、一生心に傷が残るようなダメージがある。もちろん整形そのものが失敗するリスクもあります。私はアイドルになりたくて上京しましたが、明確な目標がありました。私は性転換手術も受けましたが、手術費用を捻出するためにショーパブやキャバクラで働くにしても、キレイな方が稼げます。「何が何でも売れてやろう」と肝っ玉が座っていて。整形の光と影を理解した上で、軽い気持ちではなく、明確な目標と強い意志があって、その痛みに耐えられるなら、お勧めしたいという気持ちです。
――整形して後悔したことはありますか?
【矢神サラ】 基本的にはありません。ただ手術の失敗に関しては、鼻が腐りかけたことがあります。営業案件で無料で鼻を高くしてもらったのですが、ピノキオみたいになって、鼻先が右に曲がってしまって。何回か鼻を開けて削っていく中で、細菌が入ってしまって。けっこうあることみたいなのですが、鼻先の骨が溶けて豚鼻になってしまうんです。結局、別の病院で手術して腐る直前に保持できました。私はその一度だけですが、やっぱりリスクはそれなりにあると思います。それでも私の人生にとって整形は、ひとつの武器だと捉えています。
◆SNSの誹謗中傷にも対峙、自身の見解を発信していくことが大事
――整形手術や性転換手術の経験を始め、トランスジェンダーとしての生き方や置かれている状況など、SNSでは自身の意見をしっかりと発言しています。それに対して誹謗中傷を発信する人もいますが、SNSとどのように向き合っていますか?
【矢神サラ】 私のSNSの向き合い方でいうと、何かの発言に対して反対意見があるのは良いことなんですよ。それは人それぞれの価値観なので、傷つけられているとは思わないのですが、日常の憂さ晴らしに第三者を攻撃している人達からの悪口や中傷は別です。それを見ている第三者まで傷つく内容も多く、そういう場合は長文で自分の考えを送り返す時もあります(笑)。匿名の悪意は無視するのが正解だとは思うのですが、「あなたの言葉で私が自殺したら責任はとってください。開示請求手続きしますので」と酷い時には戦っています。世の中には、SNSの誹謗中傷に苦しみ命を落とす人も多くいます。こういうことを発信していくのも大事だと、私は感じています。
――整形手術や性転換手術などを経験し、今年3月には日本人で初めてトランスジェンダーのモデルとして世界的なコレクション『LAファッション・ウィーク』に出演しました。これまでの人生を振り返り、いま思うことはありますか?
【矢神サラ】 いま振り返ると「命を燃やして走ってきた」と感じています。現代のLGBTQとして生きるには、どうしても社会に対しての怒りが生まれます。例えば、LGBTQパレードにしても、もともと自分たちの存在を社会にアピールするための“怒り”から生まれていて、その感情をハッピーでポジティブに表現しようとしています。
私も同じような怒りからスタートして、それをどう社会に表現すれば、誰に対しても攻撃的にならず、対立を生まずに伝わるかを考えてきました。その上で、自分という存在を楽しみながら社会と向き合っていくことが大事だと感じています。それを若い世代に伝えたいです。自分自身が楽しく、美しく、かっこよく生きることで、社会から注目してもらえるきっかけになる。「この人のことを知りたい」と思ってもらえるようになって、いま悩んでいる若い世代が目指すその先にいる存在になりたいです。
(文/武井保之)
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