『BLEACH』原作にないシーン増加へ 某作品に匹敵するクオリティ目指し制作「費用は嵩むしスケジュールは長期(笑)」
ORICON NEWS / 2024年11月1日 18時0分
テレビアニメ『BLEACH』の最終章『BLEACH 千年血戦篇』の第3クール『BLEACH 千年血戦篇-相剋譚-』の田口智久総監督×村田光監督による対談インタビューが公開された。
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――『BLEACH 千年血戦篇』制作中に起きた、印象的なエピソードを教えてください。
田口:「千年血戦篇」では、作画の資料作りのために実際に自分たちで写真撮影をしました。難しいアングルのレイアウトは、想像だけではなかなか描きづらいんです。たとえばTVアニメ『BLEACH』20th PVの“ルキアが押し入れの中に隠れていて、遊子たちが外にいる”というレイアウトは、制作さん、演出さん、アニメーターさんと相談してアングルを決め、写真を撮りました。
――資料作りのための撮影をはじめたのは、第1クールのときからですか?
田口:最初の頃はやっていなかったかな? たしか総作画監督の長谷川さんが「描けないんだからしょうがない!写真に撮ろう」と言い出したのがはじまりです(笑)。
村田:第2クールのユーハバッハと雨竜が血の盃を交わすシーンは、写真だけでなくムービーも撮りましたよね。
――「相剋譚」で、初めてトライしたことはありますか?
村田:初の大きいチャレンジのひとつは、“真世界城”をオープンワールドのゲームのように思い切って作ったことです。通常、アニメだと建物の中だけとか、局所的に作ることはあるのですが。
田口:カメラワークの自在とか、演出上は特に“絵に描いた2次元の世界”からは、制約はどんどん少なくなっている感じがあります。でも現実問題として、費用は嵩むしスケジュールは長期になります(笑)。「千年血戦篇」のように3~4年という長期プロジェクトだからこそ、トライすることができました。効果はこれから出てくるのかな、という感じです。
村田:あとLive2Dという絵を動かす技術も、今回新たに取り入れました。
――おふたりの一番好きなキャラクターを教えてくだい。
田口:固定の推しは、プレミア上映会でも言った鵯州です。あの大柄で丸い体型……あのビジュアルが好きです(笑)。
あと、意外と口調が強いんですよね、彼。そういうギャップも非常にいい。
村田:ホラー感と可愛さが同居している感じですよね。
田口:技術開発局のシーン自体は少ないので、出番があまりないのが残念です。隙あらば、ちょこちょこと画面の端とかに出していきたいな(笑)。
村田:僕は更木剣八です。剣八と卯ノ花による戦いの決着がつく第1クールの第10話でコンテを担当させていただいたのですが、ただひたすらに強さを追い求める彼の姿は、シンプルにかっこよかったです。最終的には、想い人のような相手であり、師匠ともいえる存在の卯ノ花を斬って、さらに高みに上がることもできたので。
――「千年血戦篇」問わず、『BLEACH』で好きなセリフやシーンはありますか?
田口:72巻の巻頭歌です。「言葉に姿があったなら 暗闇に立つきみに届きはしないだろう」ってすごくないですか! “言葉に姿がないからこそ、闇の中でもきみに届くんだ”という、逆説的な感じがすごく好きなんです。いったいどういう経験をすれば、久保先生はこんなすごいフレーズが思い浮かぶんだろう、と思いますね。
――村田監督の好きなセリフやシーンは?
村田:僕は一護がユーハバッハに言った「俺以外の誰かにできたとしても 俺がやらずに逃げていい理由にはならねえんだよ!」(コミックス68巻618話)というセリフです。“一護ってこういう人”というのを端的に表していて、すごく印象に残りました。
――過去の2クールを経て、久保先生との関係や、やりとりの仕方などに変化はありましたか?
田口:距離感が近くなったというか、関係性は深まっていると思います。オリジナルシーンをご提案・ご相談するハードルも下がった気がします(笑)。とはいえもちろんそれに甘えることなく、アニメサイドみんなで練りに練ってから監修をご依頼しています!
村田:たしかに、ネームでお戻しいただけるときは、こちらのテンションも上がってしまいますよね!
田口:第1クール、第2クールを経て、“原作者”という立場から一段寄り添ってくださっているのかなと感じています。久保先生の中で、アニメ『BLEACH』をより良い作品にするために、より一層力添えしてくださっている印象です。
村田:我々“アニメ制作側の目線”で受け止めてくださっているという感覚がすごくあります。
――総監督、監督として、お互いに訊きたいこと・言いたいことはありますか?
田口:まだ終わったわけではないですが、監督をやってみてどうですか(笑)?
村田:「第2クールまで、本当によくやれていましたよね!」と言いたいです(笑)。田口さんは『BLEACH』以外の作品にも携わっていますし、特に第2クールのときは他作品の進行と重なる時期もありましたから。ほかのスタジオとやり取りしながら、さらにクオ
リティを上げて制作できるなんて、本当にすごいことだと思います。僕は『BLEACH』だけに集中できる環境でやらせてもらっているのに、てんやわんやですから(笑)。
田口:これは本当に、村田さんをはじめスタッフの皆さんのおかげです。「自分の話数は自分で面倒を見るよ!」という、非常に優秀な方々がそろっていたからこそ可能でした。自分はポイントポイントで顔を出せば良かったので(笑)。
村田:では訊きたいこととして。ボクシングでは、“世界チャンピオンを獲るよりも、防衛するほうが難しい”と言われています。今回、僕は初めて監督の座に就かせていただきましたが、それを防衛する秘訣、監督を続けていく秘訣を教えていただきたいです(笑)。
田口:監督を続けていく秘訣?監督として大事なこととか……?全然わからない(笑)。ただ自分は、性格は適当だけど「スケジュール通りに進めるぞ!」というムードだけはしっかり出しているつもりです。制作サイドの敵にならないよう、しっかりスケジュールを意識して「きっちり協力します!」という態度ですね。
村田:大事ですよね。
田口:でも、最初に設けるハードルは高めに設定することはあるかもしれません。「千年血戦篇」は、最初に「某作品に匹敵するクオリティを目指すと約束してくれ!」とプロデューサーに伝えて制作がスタートしたんです。まずは目標を設定し、それを目指すことが
何事にも重要だと思っているので。それができなかったときに、“じゃあ、どうやってクオリティを上げるか?”とか“どういうスタッフを入れればいいのか?”ということを、きちんと制作サイドと話し合い、コミュニケーションを取ることが大切だと思っています。「できないからダメじゃん」になるのは絶対に避ける。
――最後に『BLEACH』の見所と、ファンに向けてのメッセージをお願いします。
田口:スタッフ一同、第3クールの「相剋譚」も非常に頑張って手を動かし、情熱の限りの絵を作っております。今後の放送もぜひご期待ください!
村田:第3クールは、これまで以上にアニメのオリジナルシーンが増えています。第30話の雨竜が纏った翼の霊子のように、原作にないシーンが随所に盛り込まれています。それらがオリジナルとしてどう描かれていて、どう原作の物語と繋がっているのか。久保先生監修のもとで、原作の物語にどのように戻っていくのか。ぜひ期待して観ていただければと思います。
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