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テレビ東京の歌番組には「テレ東らしさ」がある! 世代を超えた視聴者に愛される歌番組の秘密【インタビュー】

ORICON NEWS / 2024年11月20日 11時0分

11月20日には『テレ東音楽祭スペシャル1964→2024~60年分の名曲!実は“歌の衝撃映像”ベスト100~』を生放送(C)テレビ東京

 <「あたりまえ」に挑み、まだ見ぬ「おもしろい」を共に創る。>を企業ミッションに、独自の路線でヒットコンテンツを世に送り出しているテレビ東京。歌番組においても、11月20日には、今年で10年目となる『テレ東音楽祭』を『テレ東音楽祭スペシャル1964→2024~60年分の名曲!実は“歌の衝撃映像”ベスト100~』として4時間半にわたり放送する。同時に、今年で57回目を迎える『年忘れにっぽんの歌』や『日本作詩大賞』など演歌・歌謡曲に特化した特番にも長年注力。BSテレ東では12月2日からは1週間にわたり、演歌と歌謡曲で綴る大型歌番組『BSテレ東歌謡ナイト!2024』も放送する。SNSやYouTube、サブスク配信などにより音楽との接し方が多様化している今、テレ東が目指す演歌・歌謡曲の歌番組とは?



【写真】“テレ東ならでは!”の歌番組

■長年培ってきた演歌・歌謡曲界の知見と、テレ東ならではのDNAを受け継いだ歌番組作り

 12月2日から8日までの7日間にわたり、BSテレ東のゴールデンタイムに放送される『BSテレ東歌謡ナイト!2024』。『プレミアム・ソング~名歌手が歌う名曲~』から始まり、今年10月に開催された日本歌手協会主催の『日本歌手協会歌謡祭』や『武田鉄矢の昭和は輝いていた 生誕100年 鶴田浩二2時間スペシャル』『第57回日本作詩大賞』『歌怪獣! 島津亜矢 心に響く歌声』など、連日、演歌と懐かしの歌謡曲にどっぷり浸れるラインナップとなっている。

 初日の『プレミアム・ソング~名歌手が歌う名曲~』を担当するテレビ東京 制作局 クリエイティブ制作チームの大山比桃美氏は言う。

 「実力派の歌手に名曲を特別な場所とサウンドで歌唱していただこうという内容で、野口五郎さんと渡辺真知子さん、平原綾香さんにご出演いただき、名曲にまつわるエピソードや思い入れを語りつつ、歌っていただいています。それぞれの名曲、そして歌い手に対する思いやリスペクトが感じられ、私自身圧倒されるほどでした」(大山氏)

 実は、今回が初のプロデュース番組となる大山氏は、これまで約20年にわたり、歌番組を中心に、アシスタントプロデューサーを務めてきた。そんな大山氏の仕事ぶりを、長年タッグを組んできたチーフプロデューサーの星俊一氏はこんなふうに評価する。

 「テレビ東京は他局と比べてスタッフの人数が少ないので、音楽番組の制作チームといえど、皆、他ジャンルの番組にも携わっているのが特徴です。大山さんも『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』(テレビ東京 毎週土曜 後7:54~)などバラエティーにも携わってきましたので、テレビ東京の “バラエティー脳”のDNAも受け継いでいます。それが音楽番組制作にも息づいていると思います」(星氏)

 さらに大山氏ならではの武器といえるのが、長年、BSテレ東の『徳光和夫の名曲にっぽん』(BSテレ東 毎週金曜 後7:00~)などのレギュラー番組からテレビ東京の『年忘れにっぽんの歌』といった音楽特番など、演歌・歌謡曲に特化した番組のアシスタントプロデューサーとして、事務所と番組制作サイドの橋渡し役を担ってきたことだ。星氏は続ける。

 「僕らプロデューサーや演出はやはり数字にしばられがちで、視聴率が取れる歌手を起用したがりますし、この歌手ならこの代表曲を歌ってほしいと考えがちです。そんな中、大山さんは、足しげくいろいろなコンサートに通い、プロダクションやメーカーの方々と関係を築き、広い知見の中で、我々に、歌手や楽曲を提案してくる。もちろん、歌手の人がやりたいことを尊重しても、番組を観てくれる人がいなければ仕方ありませんから、事務所の意向と制作サイドの意向の調整は大変だったと思います。でもそれによって培った人脈や信頼、知見は今後も大山さんの手がける歌番組に生きてくると思います」(星氏)

■若手を紹介し、ヒットを生めるレギュラーの歌番組を作りたい

 大山氏が現在の演歌・歌謡曲界で感じているのが、若手の台頭だ。

 「今、演歌・歌謡曲界の若手は本当に努力しているし、個性的で面白いアーティストが多いんです。しかも、コンサートに行くと、高齢者に加え、下の年齢層のファンも確実に増えていて、盛り上がりを実感しています」(大山氏)

 その傾向は、12月7日に『BSテレ東歌謡ナイト!2024』内で放送される『第57回日本作詩大賞』のノミネート作品を見てもわかる。演歌・歌謡曲を対象に、1968年に日本作詩家協会主催で始まったこの音楽祭を、テレ東は1994年から放送してきた(2018年からはBSテレ東で放送)。57回目となる今年ノミネートされた15作品を見てみると、五木ひろし、伍代夏子といった大御所や、水森かおり、山内惠介、あさみちゆき、丘みどり、三山ひろし、純烈、福田こうへい、といった紅白出場歌手や実力派中堅歌手に加え、東京力車、辰巳ゆうと、彩青、青山新、田中あいみ、木村徹二ら若手がずらりと名を連ねているのだ。

 こういった令和の演歌・歌謡曲界を牽引する若手の台頭を肌で感じている大山氏は、「演歌・歌謡曲界において、テレビだからこそできることを考えたい」と目を輝かす。

 「今、テレビの歌番組には、ヒット曲がある大御所の方は出られるけれど、若手はなかなか出られないという現状があります。昔はヒット曲を生むのが“テレビの力”でしたが、今は、自分たちで努力してなんとかするしかありません。その状況を打破して、勢いのある歌手を紹介できる番組を作り、その中でヒット曲が生まれたら、今は試行錯誤を続けています」(大山氏)

 そのためにも「まずはレギュラーの歌番組を作りたいです。番組がなければ発信できませんから」と大山氏。さらにその胸のうちには、「若い人たちに名曲を歌い継いでいってもらいたい」という思いもある。

 そんな思いを実現させたのが、昨年12月に放送10周年を迎えたBSテレ東の『徳光和夫の名曲にっぽん』の特別企画として放送した『熱演・熱唱! 長編ドラマチック歌謡~三波春夫・生誕100年~』だ。テレ東でも若手による名曲のカバーは、これまでさまざまな歌番組で企画してきたが、特に印象深かったのは、この番組で、椎名佐千子、三山ひろし、大滝ひかるら中堅どころに加え、辰巳ゆうとや羽山みずき、二見颯一、彩青ら若手が、三波春夫の長編歌謡浪曲を披露したことだったという。

 「三波春夫先生のご長女の美夕紀先生にお稽古をつけていただいたのですが、新しいことへのチャレンジを番組から投げかけて、若手がそれに一生懸命取り組んで、披露してくれたときには、本当に感動しましたし、チャレンジを成功させた歌手の皆さんと一緒に喜べたことがとてもうれしかったです」(大山氏)

■「テレ東の歌番組はおもしろい」と言われたい!

 もちろん、その目は、中堅や大御所にも向いている。

 「テレ東は『演歌の花道』はじめ演歌・歌謡曲番組を長年作り続け、BSにおいても、他局より早く歌番組を始めてきました。それだけに、歌を求めてくださるファンの方々の声が多数届いています。さらに、『青春時代のあの歌が聴けてうれしかった』とか、『あの人が今も頑張って歌っているのを見て、自分も頑張ろうと思えた』という声を聞いたり、年末恒例の『年忘れにっぽんの歌』の会場で、観客が涙しながら歌唱を聴いている姿を目にしたりするたびに、歌番組をなくしてはいけないし、大事にしなければという思いを強くしています」(大山氏)

 それらの思いをもとに、今後は、「ジャンルや年代を問わない歌番組を作りたい」と大山氏。その言葉を受けて、星氏も続ける。

 「昔の音楽番組はジャンルレスでしたが、僕らが会社に入った25年くらい前からはジャンル分けがしっかりされるようになってしまいました。テレビの歌番組には、今、ミュージック・ビデオでは見られない他のグループや歌手同士のコラボなど、“テレビならでは”の企画が増えていますが、同じような視点で、J-POPと演歌・歌謡曲の自然な混じり合いとか、ジャンルも世代も超えて、“ここでしか観られない”ものをお届けできたらといいなと考えています。今、テレビ局は配信を見越してコンテンツを制作するようになっていますが、“テレビ”という電波でしかできないものがあると思うので、その視点も大切にしたいです」(星氏)

 そして、その目は世界も視野にとらえている。

 「テレ東はグローバル戦略を掲げていて、海外への発信を意識したYouTubeチャンネルなどの試みもしているので、権利の問題もありますけど、日本ならではの文化として、演歌・歌謡曲を紹介するということも考えられたらと思っています」(星氏)

 それら今後の展望の根底にあるのは、テレ東のリクルート向けキャッチフレーズにもある「真似ない、テレ東」。“テレ東らしさ”を全面に出した番組作りだ。

 「他局にも出ているアーティストで同じような構成の番組をテレ東が放送しても、視聴者が見てくれるかというと、結果は他局とは違ってくると思います。視聴者にテレ東らしく、どう見せるか、何を見せるかを常に考えなければいけないと思っています」(星氏)

 その言葉を受けて、大山氏も「『テレ東の歌番組は面白いよね』って言われたい!」とキッパリ。

 そんな大山氏に、最後に「推したい歌手は?」と尋ねてみると、「すごいストイックにやっている人たち」との返答が。

 「歌に対してストイックに自分のこだわりを持って真面目にやっている人ですね。ひとりのボーカリストとして自分の歌を、自分の歌声をどこまで追求しているか。そういった話を伺えるような番組も作りたいなと思っています」(大山氏)

 演歌や歌謡曲に元気がないと言われて久しいが、若い世代のSNSを覗けば、80年代ポップスや昭和歌謡を歌い、踊る動画があふれている。幅広い視聴者に日本の歌の魅力を訴求させるこのチャンスに、〈「あたりまえ」に挑み、まだ見ぬ「おもしろい」を共に創る。〉を企業ミッションとするテレ東が、どんな斬新なアイデアで歌番組を見せてくれるか、楽しみにしたい。

文・河上いつ子

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