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罹患者数1位『大腸がん』、専門医が最新事情を解説「肥満や運動不足のほか、加工肉や赤身の肉などがリスクを上げている」

ORICON NEWS / 2024年11月20日 9時10分

大腸がん治療のエキスパート、高橋慶一医師(グレースホームケアクリニック伊東 院長、元がん・感染症センター都立駒込病院外科部長)。

 先ごろ、がん経験者を対象にしたがん保険などを展開するMICIN(マイシン)少額短期保険が、がん患者やその家族に向けた“大腸がん”セミナーを開催。大腸がん治療のエキスパートとして知られる高橋慶一医師が、治療の最新情報や術後の悩みについて解説、聴講者の質問などに回答した。

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 国立がん研究センターの最新調査によると、大腸がんは、国内で年間約15万5,000人が診断されており、がんの部位別で罹患者数(男女総数)が1位と、多くの人が罹患しているがんだ(※)。1960年代は5000人ぐらいの患者数だったのが、2019年には7万人を超え、右肩上がりに増加している。



 その背景について、高橋医師は、WHOで報告されているデータから、過体重=肥満や運動不足、そして加工肉や赤身の肉などがリスクを上げているのではないかという説を紹介。また、リスクを下げるものとして野菜や果物の摂取を挙げた。アルコールはその他のがんでは、発症リスクが高くなるものとして指摘されているが、大腸がんにおいては、あまり強い相関にないと言う。

 罹患者数が多く、気を付けたいがんであることに違いない大腸がんだが、「日本の手術は技術が高く、そこはひとつ安心してほしい」と高橋医師。

「大腸がんの手術治療は開腹手術から腹腔鏡下手術に、さらにロボット支援手術へと変化しつつあり、低侵襲の手術に変わってきています。現在の手術による切除率はどのステージにおいても高く、平均97%。また、ステージ1~3全体の5年生存率に関しても86%と、その他のがんと比べると高い。ただし、治療による後遺症のほか、再発率が16.5%なので、それは念頭に置く必要があります」

【大腸がん手術治療の主な後遺症】
1 排尿障害
・直腸がん手術時の自律神経の損傷による障害
・残尿が増えたり尿が出しにくい症状

2 性機能障害(特に男性)
・直腸がん手術時の自律神経の損傷による障害
・男性の勃起障害や射精障害

3 排便障害
・直腸がん手術跡の排便回数の増加
・肛門付近で腸をつないだ場合に、便汁や粘液の染み出し、失禁

 再発率はステージで異なり、ステージ1~3全体として20%弱だが、術後の補助化学療法も進歩し、再発予防に寄与できているという。

「再発出現率は5年以内が97.3%で、5年を超えて出現する割合は0.43%です。つまり、術後、5年間の緊密な経過観察が重要で、再発時には、適切な治療を受けることが肝要となります。ただ、できれば7年から10年、見ていただければさらに安全か、と思われます。転移した場合の予後は、状況によって大きく変わりますが、他のがんに比べると、比較的“向き合いやすい”と感じています」

 大腸がんは、進行すると『便がでにくい』『血便がでる』などの症状がでるが、無症状でも進行がんになることも少なくないという。高橋医師がかつて、無症状の患者74例を調査したところ、61%(45例)が進行がんだったと明かす。

 さらに、この時の無症状患者74例のうち、大腸がん発見の動機となったのは、便の潜血反応による検診が78%、バリウム・内視鏡が22%とし、定期的な検診による早期発見と早期治療を呼び掛けた。

※がん情報サービス(国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター) がん種別統計情報

【高橋慶一医師】
グレースホームケアクリニック伊東 院長、元がん・感染症センター都立駒込病院外科部長。2005年より大腸がん治療ガイドライン作成委員会委員を務め、2013年からは大腸がん肝転移データベース合同委員会委員長を歴任。多くの大腸がんの患者と接し、治療を行っている。

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