『十一人の賊軍』白石和彌監督×『侍タイムスリッパー』安田淳一監督、時代劇には「まだまだチャンスがある」
ORICON NEWS / 2024年11月23日 12時37分
この秋、映画館を賑わせている“時代劇”の2作品、『十一人の賊軍』(配給:東映)と『侍タイムスリッパー』(配給:ギャガ 未来映画社)が、配給会社の垣根を越え、両作品の監督(白石和彌監督と安田淳一監督)によるスペシャルトークショーが22日、都内で開催された。
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映画『十一人の賊軍』は、明治維新の中で起きた“戊辰戦争”の最中、新発田(しばた)藩(現在の新潟県新発田市)で繰り広げられた歴史的事件・奥羽越列藩同盟軍への裏切り=旧幕府軍への裏切りのエピソードをもとに、捕らえられていた凶悪な罪人たちが「決死隊」として砦を守る任に就く物語。
映画『侍タイムスリッパー』は、幕末から現代の時代劇撮影所へタイムスリップをした会津藩士・高坂新左衛門が一度は死を覚悟したものの、やがて「我が身を立てられるのはこれのみ」と磨き上げた剣の腕だけを頼りに撮影所の門を叩き、「斬られ役」として生きていくという物語。
スペシャルトークショーの冒頭、白石監督は「『侍タイムスリッパー』の安田監督とお話できることを楽しみにしていました!」とあいさつ。安田監督は「京都でお米を作っています、安田です」と自己紹介し、会場の笑いを誘いながら、「いつもテレビで拝見していて尊敬する白石監督とまさかお会いできるなんて…」と緊張した面持ちで喜びを伝えた。
安田監督は『十一人の賊軍』について、「とにかく迫力がすごかった。山田孝之さんと仲野太賀さんのお芝居もすごかった」と興奮気味に話し、「仲野さんの構え(円を描くようなポーズ)は何度もマネしました。砦の攻防戦も『マカロニ・ウェスタン』のようでドキドキしました」とスケールの大きさへの驚きを語った。これを受け、白石監督は「橋が爆発した瞬間に山田さんと仲野さんが現代にタイムスリップするもう一つの世界線をぜひ安田監督に…」と会場を盛り上げた。
『侍タイムスリッパー』について白石監督は「僕らには出来ない贅沢な撮影。時代劇への愛を感じました」と絶賛。また両作品とも東映京都撮影所が大きく関わっているということもあり、「『碁盤切り』、『十一人の賊軍』で大好きになった京都撮影所の俳優たちがたくさん出演していたのでうれしかったです」と時代劇の本場への想いも語った。
俳優の真田広之がプロデュースと主演を務め、日本の時代劇専門スタッフが参加した『SHOGUN 将軍』が米国のエミー賞で最多の受賞記録を打ち立て、世界的にも注目を浴びている“時代劇”について、白石監督は「日本映画の発展は時代劇とともにありましたし、もともとある日本の美しさや生き方のヒントも表現できる。日本のオリジナルの世界観も出せるので、まだまだチャンスがあると思います」と希望も語っていた。
そして、話題は東映剣会(つるぎかい)の話に。両作品の殺陣・アクションを支えた東映剣会だが、両監督ともに剣会の技術の高さには驚いたという。そして、剣会から両作品ともに出演しているのが、『十一人の賊軍』では爺っつぁん役を務めた本山力。ところが安田監督は『侍タイムスリッパー』に一瞬出ていたシーンをMCから尋ねられ、「僕もどこに出ていたかわからない」と返して、会場を大いに沸かせた。
事前にSNSで募集した質問で、時代劇を作る上でのこだわりを聞かれた白石監督は「俳優が『真剣でやりたい!』」と言われたらどうしようと昔から思っていましたが、『侍タイムスリッパー』を観たらそのまんまでした」と冗談交じりに答え、またも場内は笑いに包まれた。安田監督も「時代劇を撮る時には真剣は使わない」ときっぱり。そんな中、白石監督は「『侍タイムスリッパー』のラストの殺陣のシーンは圧巻だった」と大絶賛すると、安田監督は声を震わせ感激していた。
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