“風呂キャンセル”は冬でもNG、界隈の人々に皮膚科医が忠告、「乾燥で体臭は拡がりやすくなる」
ORICON NEWS / 2024年11月29日 11時30分
今年、話題となった “風呂キャンセル界隈”。「面倒くさい」という理由から“入浴をキャンセル=入らない”人たちにとって、冬は「汗もかかないし、ラッキー!」な季節なのではないだろうか? しかし、「冬は意外に汗をかく」と明かすのは、クリニックフォア監修医兼ナチュラルスキンクリニック院長の皮膚科専門医・圓山尚(えんやまたかし)先生。しかも、夏以上に嫌なにおいを発する危険があるという。冬の汗や体臭について聞いた。
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■衣服の中で皮脂や細菌が繁殖する冬、蒸れだけでなく乾燥でもにおいが拡散?
――気温が低い冬でも意外に汗をかきやすいと言われますが、なぜですか?
「基本的には、気温が下がればかく汗の量は減ります。でも、冬は厚着をしていることが多く、そのまま暖房の効いた室内や電車にいることで、意外と汗をかいています。しかも、夏のように半袖、半ズボンといった通気性が良い軽装ではなく、保温性に優れた服を重ね着していることが多いために、かいた汗が蒸発せずにこもってしまって、嫌なにおいを発しやすくなります」
――冬の汗は、夏よりもにおいを発してしまうのですか!?
「においは、汗と皮脂が混ざり合ったり、汗によって皮膚の細菌が増えることで発生します。冬場は衣服に包まれて汗が蒸発しないために、皮脂や細菌が繁殖してにおいを発しやすくなってしまうんです。夏よりかく汗の量は少なくても、皮脂の量は汗ほど変わりませんからね。とくに頭皮は皮脂量が多いので、帽子をかぶったりすると、においが強くなる可能性が高いです。さらに冬は空気が乾燥していることも、においにつながる可能性があります」
――においというと蒸れのイメージですが、乾燥も体臭の原因になる?
「乾燥した環境では、体臭が周囲に広がりやすくなることがあります。これは、湿度が低いとにおい分子が空気中で長く留まることができず、風や気流によって早く運ばれるからです。そのため、発生したにおいが周囲の人に強く感じられる可能性があります」
――なるほど。それでは夏に話題になった“風呂キャンセル”は、やっぱり冬もしないほうがいいですかね?「汗をかかないから大丈夫!」と思っている人もいそうで…。
「もちろん“風呂キャンセル”はNGです。前述のように冬でも汗はかきますし、数時間放っておくと酸化して雑菌が増殖することでにおいの原因になります。冬は寒いためにお風呂に入ることがなおさら億劫になると思いますが、シャワーだけでもしっかり浴びて、体を清潔に保ってください。ただ、ゴシゴシ洗い過ぎると肌の乾燥につながるので、洗い流し過ぎないなど注意も必要です」
――ほかに、冬ならではのにおいの注意点はありますか?
「冬場は汗をかいているという自覚がない分、水分の摂取量が減って、脱水状態になりがち。口の中が乾燥すると細菌が増殖しやすくなり、口臭の原因にもつながります。乾燥はさまざまなにおいの原因になってしまうんです」
――体臭のみならず口臭も出やすいんですね…。
「ほかに汗をかきやすい部位としては、やはり脇ですね。あと、冬場はとくに女性はブーツを履かれる方が多いと思うのですが、足の裏は意外と汗をかきやすい。靴下とブーツで蒸れると、においを発しやすくなります。お店などブーツを脱ぐシチュエーションでは気をつけたほうがいいでしょう」
――ブーツのにおいは、毎冬、話題になりますよね。
「ブーツに限らず、セーターやコート、帽子など、冬場に身に付けるものは頻繁に洗濯をしないものが多いと思いますので、消臭スプレーなどデオドラント効果のあるものを使うといいと思います」
――そもそも、冬に汗をかいても嫌なにおいを発しないためにはどうしたらいいのでしょう?
「まず、着こんだまま暑いところにいないことが必要です。室内や車内など暖房のきいた場所では1枚脱げるような服装でいるといいでしょう」
――食事等で気をつけることはありますか?
「冬は、温かい鍋や香辛料が効いた料理など、体が温まる料理を食べる機会が多いと思います。それも汗をかきやすい状態になりますので、汗がこもらないよう、服装に気をつけたほうがいいかもしれません。また、先ほど乾燥は口臭につながると言いましたが、お酒を飲むとトイレが近くなり、脱水症状になりやすいので、こまめに水分補給をすることも口臭を発しないためには大切です」
【監修者】
圓山 尚(えんやまたかし)
ナチュラルスキンクリニック院長兼クリニックフォア監修医。金沢医科大学医学部卒業後、日本医科大学附属病院皮膚科に入局し皮膚科・皮膚外科・レーザーを中心とした診療を行う。その後、湘南美容クリニックでの勤務を経て、2019年にクリニックフォア新橋院を開院。現在はクリニックフォア監修医と永福スキンクリニック(現ナチュラルスキンクリニック)の院長を務め、”美のかかりつけ医”として活動している。
(文:河上いつ子)
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