吉本興業112年の歴史で初の「人間国宝」認定者 70歳・京山幸枝若、浪曲師でも初…“手のひら返し”祝福を喜ぶ
ORICON NEWS / 2024年12月2日 16時24分
浪曲師の京山幸枝若(きょうやま・こうしわか)(70)が重要無形文化財保持者「人間国宝」に認定され、2日、認定書が交付。京都市内で記者会見が行われた。吉本興行所属として初めての認定者。来年2月28日に大阪・なんばグランド花月で記念公演を開催する。
【写真】京山幸乃&京山幸太に囲まれ笑顔をみせる京山幸枝若
金屏風を前に会見した幸枝若は「久しぶりに緊張しました」と笑い、「うれしさの方が先に立ちました」としみじみ。「各大衆芸能で皆さん人間国宝がおられて、なんで浪曲だけないんやろな、不思議やなと思って、死ぬまでに人間国宝をとって後継者に残したいと思っていた」と語り、「まだまだ浪曲の後継者を育てる期間があると思います。今の元気さから見たら、あと10年は頑張ってやれるんちゃうかな」と意欲をみせた。
吉本興業初の人間国宝とあって、華々しい会見となった。幸枝若は「これを手のひら返し」とニコニコ。すかさず「でも、うれしいですよね。ほんとうれいしこと」と重ね、浪曲の魅力を「和製ミュージカル」「自分でできたらこんなおもろい芸はない」と、令和世代にアピールした。NGKで自身20年ぶりとなる単独公演とももに、本公演への出演も決まった。
いわゆる人間国宝、重要無形文化財各個認定保持者とは、国の重要無形文化財に指定されている伝統工芸や芸能の名人を指す。文部科学大臣が指定する。吉本興業の所属だけでなく、浪曲語りが人間国宝となるのは初めて。
浪曲は、落語(語る)、講談(読む)に対し、節(節)や啖呵(たんか)を聞かせる、物語り芸。浪花節(なにわぶし)ともいう。曲師の弾く三味線を伴奏として、心情・場面を際出せ、アドリブ的要素も交えながら、1人で語る。江戸末期に関西で興り、東京にも伝わった。
吉本興業は、1912(明治45)年創業。当時、大阪の芸能界で浪曲が人気となり、浪花節語りが1000人にも達し、道頓堀の劇場を席巻。新興の吉本興行部は、1915(大正4)年に「花月」の名を冠した寄席を始め、浪曲興行にも携わるようになり、専門の寄席も経営。その歴史が、現在のなんばグランド花月(NGK)にも受け継がれている。
「京山」は、明治初期のスター・初代京山恭安斎から連なる系譜。当代の幸枝若は、本名は福本一光。1954年4月1日生まれ、兵庫県姫路市出身。71年に初代京山幸枝若に入門、初舞台。2004年に二代目を襲名。堅苦しいイメージの浪曲を「わかりやすく」「面白く」をモットーに追求し、後進育成にも尽力してきた。16年に大阪市市民表彰、21年に文化庁芸術祭(大衆芸能部門)大賞、23年に芸術選奨(大衆芸能部門)大賞を受賞。浪曲親友協会会長。
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