写真家・篠山紀信さん「偲ぶ会」しめやかに 野田秀樹&市川團十郎&コシノジュンコら思い出語る
ORICON NEWS / 2024年12月3日 19時28分
今年1月4日に83歳で亡くなった写真家・篠山紀信さんを偲ぶ会が、篠山さんの誕生日にあたる3日に東京・オークラ東京 オークラプレステージタワー2階のオーチャードにて執り行われ、約400人が集まった。
【写真】柔和な笑みを浮かべ…篠山紀信さん「偲ぶ会」でスピーチした市川團十郎
株式会社篠山紀信主催、講談社、集英社、小学館、世界文化ホールディングス、文藝春秋、マガジンハウスの出版社6社社長を発起人とした。
受付を抜けると、オノ・ヨーコとショーン・レノン、松田聖子、宮沢りえをはじめ、ともに時代を作ってきた多くの人たちの名前が並んだ芳名版が。篠山さんの経歴に続き、ジョン・レノンとオノ・ヨーコの写真とともに篠山さんの若かりし頃の写真に迎えられた。正面を見据えた若かりし頃の篠山さんが、愛用していた8×10のカメラとともに写っている写真の前には、本物の8×10のカメラが鎮座していた。会場に入るとそこに広がるのは、篠山さんが手がけた写真集や表紙を飾った雑誌。1970年代から2024年まで「撮り続けた」歴史を感じさせられる。
プロローグは、篠山さんの従弟である円照寺の住職と副住職による読経。続いて篠山さんの幼少期から生い立ちをまとめたスライドが上映され、有働由美子の司会により会が始まった。
弔辞を贈ったのは野田秀樹。篠山さんは歌舞伎から現代劇、バレエやコンテンポラリーダンスなど、多くの「舞台」を撮り続けてきた。なかでも野田の舞台の多くを撮影、時に稽古場にも足を運び、多くの作品が残されている。野田がカフェで弔辞を書こうと思ってパソコンを開いたところ、「パソコン禁止」と言われたために手書きで一発で書いたという弔辞は、大笑いあり涙ありのものとなった。
弔辞が終わると、篠山さんがよく車の中で聞いていたという曲を集めたBGMが流れ始めた。その曲の中、遺影がバラの花に囲まれている祭壇に出席者から献花をしていく。献花を終えた出席者が、会場に飾られた篠山さんの作品を前に思い出を語り合うシーンも多く見られた。
出席者全員の献花が終わると、発起人を代表して小学館の代表取締役社長・相賀信宏氏が献杯のあいさつ。そして「篠山さんとのとっておきのエピソード」を披露した。
最初にスピーチをしたのは市川團十郎。新之助時代からずっと撮り続けてきた篠山さんとは、時に酒を飲みかわす仲だった。続いて、同年代でともに時代を築いていてきたコシノジュンコ。コシノのブティックが、アーティストたちのたまり場になっていたという。さらに篠山さんの人気連載「激写」シリーズに1975年に初登場してグラビア界を席巻、2020年には1975年から45年の軌跡をまとめた写真集も刊行した水沢アキが思い出を語った。最後に司会の有働が自身のエピソードを語り、スピーチを締めくくった。
会の終わりには、篠山さん自身の貴重なインタビュー映像が流された。「写真を撮りに行くときに僕の気持ちはいつも晴れてるんですよ。その対象に向かって、それが人であろうと風景であろうか事件であろうと、なんでもそういうものに向かっていく気持ちはエネルギーに満ちて、それに向かってよし、撮ってやるぞ!というそういう気持ちをもっていく。それが僕にとっては写真家として晴れた日の気持ちなんですね」。
最後は遺族代表として長男の篠山有紀氏があいさつ。常に忙しかった篠山さんを父に持つ率直な気持ちを言葉にした。
そのほか、歌舞伎界からは松本白鸚夫妻、中村勘九郎・七之助、芸能界からは真琴つばさや真矢みき、西田ひかる、長塚圭史など多くの人が訪れた。一般献花にも入れ代わり立ち代わり多くの人が作品を眺めた。
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