米倉涼子×岸部一徳『ドクターX』12年の絆「最後まで筋を通すことができた」
ORICON NEWS / 2024年12月12日 8時30分
国民的医療ドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』の集大成、『劇場版ドクターX』が公開中だ。主人公・大門未知子と、フリーランスの外科医である彼女の医師としての師匠であり、マネジメントをしてきた神原晶を演じてきた米倉涼子と岸部一徳。「今や本当に公私ともに父娘と思うような関係性」という二人に、シリーズ完結を迎えた『ドクターX』への思いを語ってもらった。
【画像】そのほかの写真や『劇場版ドクターX』場面写真
2012年10月より7シリーズにわたりテレビ朝日系列で放送されてきた連続ドラマ『ドクターX』。専門医のライセンスと叩き上げのスキルだけを武器に、難易度の高い手術にも果敢に挑んで命を救い続ける、孤高のフリーランスの外科医・大門未知子の活躍を描いてきた。
劇場版で初めて明かされるのは、大門未知子の誕生の秘密。”失敗しない”大門未知子はどのようにして生まれたのか。ダークでミステリアスな孤高の未知子の壮絶な半生とは。『ドクターX』のエピソードゼロでもあり、未知子がシリーズ史上最大の危機に挑む。とある手術にこめられた、未知子の覚悟と決意とは。
――お二人は『ドクターX』が初共演だったんですね。
【米倉】一徳さんとは『ドクターX』で初めてお会いしました。何を考えているのかわからないような威厳をもつ俳優さんでした。最初は師弟関係ができるか不安もありましたが、今や本当に公私ともに父親と思うような関係性を築かせていただいて感謝しています。晶さんもそうですけど、一徳さんにはいつまでも元気でいてもらいたいということが、米倉涼子と大門未知子の思いです。
【岸部】僕はどちらかというとすぐに打ち解ける方ではないんです。でも、米倉さんは撮影がない時も未知子と晶として接してくれたので、長年の二人の関係性が築けたのだと思います。麻雀もそうですが、二人で銭湯に行ったり、焼肉を食べたり、卓球もしたし(笑)。一緒に何かをするシーンが多かったですし、楽しかったですね。
【米倉】未知子と晶さんがたい焼きを取り合うシーンでは、台本には「取り合う」としか書いてません。どう取り合うかは自分たちで考えなければならないので、それを毎回違うようにと思うと、お互いに新しいアイデアを出し合うようになって。そうやって第1シリーズから二人でつくるシーンがたくさんあって、すごく面白かったんですよね。
【岸部】面白かったね。晶の台詞は最初からおねえっぽいところもあったのですが、脚本に書かれている通りに演(や)っていました。そのうちに、叫んだり、怒ったり、びっくりするような掛け合いになっていきましたね。
【米倉】未知子と晶さんがふざければふざけるほど、一徳さんとの絆が深まっていった気がします。
――大門未知子の「私、失敗しないので」というせりふは、多くの視聴者の心をつかみましたね。
【米倉】せりふそのものは同じでも、その意味やニュアンスは状況や相手によっても変わるので、設定された状況やその瞬間の空気感に合わせて、いろいろな「私、失敗しないので」があったと思います。
【岸部】確かに、全部違いますね。優しい意味の「私、失敗しないので」もあれば、戦いを挑むような「私、失敗しないので」もあって。
――晶さんにも決まり文句がありますね、「メロンです」「請求書です」が。
【岸部】僕はだいたい一緒なんだけど。
【米倉】一緒じゃないです(笑)。晶さんが高額を吹っ掛ける時のすごみは、怖いと思います。
【岸部】第1シリーズの伊東四朗さん(毒島隆之介役)の方が怖かったですよ。第2シリーズからの西田敏行さん(蛭間重勝役)も最初は怖かったんですけど、だんだん面白い人になっていきました(笑)。
【米倉】外国人にとってもわかりやすいみたいで、決まり文句で笑ってくれるのを見た時はうれしかったですね。晶さんの「いただきました~」のスキップも、見てすぐマネする人がいました。
【岸部】『ドクターX』が始まったころはリハーサルから本番まで何度でもスキップできたけど、12年も経っていますからね。最近は本番だけにしてもらっています(笑)。
――岸部さんがおっしゃる通り、『ドクターX』が始まってから12年。ついに映画化です。
【米倉】こんなに長い付き合いになるとは私自身も思っていませんでした。
【岸部】僕もです。
【米倉】ドラマはドラマで観てもらいたいという気持ちもあったので、映画になるなんて考えていなかったのですが、これで最後にするということであれば、大きな形で区切りをつけたいと思いました。映画化が発表されてから、たくさんのファンの皆様に本当に支えられていたんだな、と改めて実感しました。
■本当は、ずっと大門未知子を演じていたい
――連続ドラマの7シリーズやスペシャルドラマには、大地真央さん、市村正親さん、野村萬斎さん、吉田鋼太郎さん、三田佳子さん、北大路欣也さん、岩下志麻さん、草刈正雄さん、泉ピン子さん、ビートたけしさん(順不同)ら、出演者もずっと豪華でしたよね。
【岸部】本当にすてきな方々がたくさん出てくださいました。
【米倉】第1シリーズで終わりだと思っていたけど、第2シリーズを「やりましょう!」となり、第2シリーズが終わるときも「これが最後だ」という気持ちで終わった後、しばらくして第3シリーズをやることになって…、というのをずっと繰り返してきたんですよね。しかも、新シリーズが決まるたびに「えー!この方が出て下さるの!」と驚くことばかりで。
【岸部】皆さん、全力でしたよね。
【米倉】私たち、かなり威圧感があったみたいです(笑)。緊張して手が震えている新キャストの方を見たこともあります。こちらも同じくらい緊張していたんですけどね。シリーズものだけど、中だるみすることなく、続けることができたのは、新キャラクターを演じてくださった方々のおかげです。皆さんが“大門未知子”をつくってくださったんだと思います。すてきな方々と共演できたことは、私にとっても宝物です。
――『ドクターX』は専門的な医療シーンと人間ドラマのバランスが絶妙で、劇場版ではそれが際立っていたように思います。
【米倉】未知子が心臓マッサージをずっとやり続けるシーンがあるのですが、周りから止められても、「まだ、生きている!」とやり続ける、そこに未知子の医師としてのプライド、医師としてやらなければならないことを表現できたと思います。最後まで未知子として筋を通せたことは良かったと思います。
【岸部】いつの時代にも医療の限界はありますよね。晶は師匠として、不可能とされている難問を解決して新たな道を切り拓いてほしいと、自分が知る限りのあらゆる医療技術を未知子に教えたんですよね。医療の未来を託したんだと思います。未知子もまた、将来の医療技術の進歩に希望をつなげる。『ドクターX』は楽しいところもたくさんありますが、医療の一番大事なところもしっかり描いていたと思います。
――”失敗しない”大門未知子はどのようにして生まれたのか、そのルーツにせまるところも見どころですね。
【米倉】私は小さい頃からバレエを習っていたのですが、思うように成果を出せず、モデルの道に進みました。でも、モデルもこれで良いのかと思うところがあって、今度は役者の道に進みました。振り返って思うのは、練習するとか、耐えるとか、続けるとか、あきらめないとか、目標を持つとか、そういったことが自分自身を成長させ、充実感を得るために欠かせないものだということです。
今回の作品を私の甥っ子が「見に行きたい」と言ってくれました。子どもでも楽しめる内容だと思いますし、若い頃の未知子と今の未知子を見て、「努力して、成長すれば、すごい医者になれる可能性があるんだ」と感じてもらえる、前向きなストーリーになっていると思います。
――本作を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。
【米倉】Yo Nunca Fallo(スペイン語で「私、失敗しないので」)。
【岸部】とにかく見てもらいたいです。
【米倉】西田敏行さんの最後の作品でもあります。一徳さんも“未知子”のために撮影でいろいろ頑張ってくださり、晶さんが画面に出てくるだけで一人泣きしちゃいます。
――最後に一つ、米倉さんにとって「大門未知子」とは?
【米倉】大門未知子は切っても切り離せない米倉涼子の一部です。本当は、ずっと演じていたいです。大門未知子という名前が自分の人生から外れてほしくないという思いがあります。
撮影:山崎美津留(※崎=たつさき)
米倉涼子
ヘアメイク:奥原清一、スタイリスト:栗田泰臣
岸部一徳
ヘアメイク:内野晶子、スタイリスト:竹川隆
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