東野幸治、芸人発掘の真意 志より「得」 来年で20年目『マルコポロリ!』を語る【インタビュー】
ORICON NEWS / 2024年12月14日 8時30分
お笑い芸人・東野幸治(57)がMCを務める、カンテレのバラエティー番組『マルコポロリ!』(毎週日曜 後1:59 ※関西ローカル)が、2025年で20周年目を迎える。このほど、東野が大阪市内の同局でORICON NEWSの取材に応え、同番組のスタンスや、お笑いについて明かした。
【写真】東野幸治のいろんな撮り下ろしショット&「マルコポロリ‐1グランプリ」激戦の様子
『マルコポロリ!』は、2006年4月に放送開始。当初は“お笑いワイドショー”の冠がついていた通り、ワイドショーのノリで、芸人リポーターの体当たり取材や、ゲスト芸能人の「ポロリ」発言が人気となった。転機はコロナ禍。ロケが難しくなったのを逆手にとり、芸人トークを軸にマイナーチェンジ。ほんこん、月亭方正、メッセンジャー・あいはら、シャンプーハット(恋さん、てつじ)、月亭八光、ドーナツ・ピーナツを前に、ゲスト芸人たちが四苦八苦し、東野がニヤニヤとトークを回していく。
それはいつしか大阪だけでなく、全国の芸人にとって憧れであり、恐怖の“ステージ”となった。吉本興業所属だけでなく、ウエストランド(井口浩之、河本太)は『M‐1グランプリ2022』で優勝。お見送り芸人しんいちは『R-1グランプリ2022』で優勝。地下芸人だったランジャタイ(伊藤幸司、国崎和也)や、永野の再ブレイクも後押しした。若手や東京だけでなく、ベテランやローカルまで、その視野は広い。
来年には20年目を迎え、東野のキャリアにとっても、カンテレとしても屈指の長寿番組となり、存在は“お化け番組”。格式よりも自由さが勝り、TVerを通じて全国に視聴者が広がり、ますます勢いは増すばかり。やはりキーマンは東野だが、本人はあくまで船に乗っているだけで「志はない(笑)」とぶっちゃけ。そこには無理せず「得」する美学があった。
――『マルコポロリ!』が20年続いて、東西芸人の交流やニュースター発掘について、東野さんの思いは?
【東野】 そんなん全然考えてないんですよ、ほんまに。僕らとしては、たまたまコロナ禍で、芸能人の方が番宣で大阪に来ないし、やることもないし、たまたま当時の『マルコポロリ!』のスタッフが、それならお笑い芸人に特化したいと。そこで時代が変わって、TVerが広まって、東京の方にも見ていただいているようになった、と。別に、僕が陣頭指揮をとって「東京の芸人を発掘するぞ!」とか「まだ見ぬ大阪のヤツに売れてもらうぞ!」みたいな志はないです(笑)。それが健全でいいんです。
評判がいいからって、急に僕が陣頭指揮をとって、スタッフの会議室に乗り込んで、ホワイトボードにやるぞとか、頑張るぞとか書くのは、違うじゃないですか。僕は言われたことをやるだけで、あとはスタッフの皆さんがどんな道を作っていくのか、船をこいでいくのか、わかりませんけど、それについていく一員としてやっていくのは変わらないです。
もともとは、そんなに関東のこれからの芸人さんとも絡むことがなかった頃に、(ランジャタイ)国崎とか(ウエストランド)井口に出会って、たまたまそれが『マルコポロリ!』も変わるタイミングで、楽しくやってたら、これもたまたまご本人の実力やタイミングで世に出て売れてくれたから、我々としてはうれしいし、向こうも売れる前にお世話になったから(出演を)断りづらいやろうし、弱みにつけ込むじゃないけど、お互いに持ちつ持たれつでしょう。率直に、そんな感じなんです。
――放送は暴露トークもあって、いわゆるネットのコタツ記事の常連でもありますが、炎上することもなく、東野さんや芸人さんのキャラが立ち、絶妙なバランスだと思います。
【東野】 皆が幸せになるのが一番というか。見ている方にとっては、日曜のお昼やTVerで見てストレス発散になるのがいいし、スタッフさんが昔の深夜番組みたいに作れて楽しいと思っていただけるのもうれしいし、出ている方も単純に世の中に知れ渡ったり、仕事が増えれば、うれしい。皆が三者三様で得をするのが一番いいのかなと思ってるんです。
そういう意味では、無理せずこの形が満足。あんまり目立つと、ネットでめちゃくちゃ叱られると思うんで(笑)。ウケると思って、この発言ならええやろと思ったら、世の中から総スカン食らう場合もありますから(笑)。やっぱり気をつけながら、愛されながら、というのが一番長持ちすんのかなという気持ちはあります。スタッフは若いし、もっといきたいという気持ちがあるのかもわかりませんけど、僕はまあまあいいおっさんですから「ほどほどぐらいがええんちゃうの」みたいな感じです。
――20年目を迎えて、次の展望は?
【東野】 いや~、なんとなく皆で試行錯誤しながら、こんな感じでずっと続いてきたんで(笑)。ただ、1年に3組ぐらい『マルコポロリ!』から面白い人が出てきて、その人が全国ネットで人気になってくれるのが一番「得」が多いじゃないですか、我々としては。そういうふうな人を見つけられたらいいな、見つけられへんかったら、また考えたらええな~と。
――「得」…とは?
【東野】 皆にとっての「得」ですよね。番組も得やし、俺も発掘したみたいに皆が勝手に言ってくれて得やし、絡んでるパラちゃん(あいはら)とか、ほんこんさんとか、方正さんとか、そういう皆さんもそれぞれの仕事の現場で少しずつ得があると思うんで、みんなが得するのが一番合理的というか、損するのが少ないほうがいいじゃないですか。スタッフもそれぞれ別の仕事やっていて、人気が出てからその番組にも来てくれて、得するじゃないですか。
――東野さんのキャリアの中でも、20年MCをされた番組は最長に近いかと思います。しかも大阪収録。あらためて『マルコポロリ!』への思いは?
【東野】 一員として参加させていただいて、ありがとうございますという気持ちです。これからのお笑いの人と絡む機会は他であんまりないし、全国ネットの番組なら、やっぱりなかなか気も使うし、言えることも限られてくるんで。逆に言うと、気を使わずしゃべれるっていうのは、僕にとってはありがたいことですね。大阪に帰ってくるルーティーンにもなってますから、ありがたい限りです(笑)。
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