第82回ゴールデングローブ賞、映画部門最多4部門受賞『エミリア・ペレス』賞レースの大本命に
ORICON NEWS / 2025年1月7日 5時0分
『エミリア・ペレス』の邦題で3月28日より全国公開(C)2024 PAGE 114 - WHY NOT PRODUCTIONS - PATHE FILMS - FRANCE 2 CINEMA COPYRIGHT PHOTO:Shanna Besson
米ロサンゼルスで現地時間5日に開催されたアカデミー賞前哨戦 「第82回ゴールデングローブ賞」の映画部門で、『エミリア・ペレス』が作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、助演女優賞(ゾーイ・サルダナ)、非英語作品賞、主題歌賞(El Mal)を受賞。4部門での受賞は今回最多。なお、テレビ部門では『SHOGUN 将軍』が最多4部門を制した。
【画像】映画『エミリア・ペレス』場面写真
本作は、女性になった麻薬王と、彼女との出会いで運命が動き出す3人の女性たちを描いたエンターテインメント作品。弁護士のリタ(ゾーイ・サルダナ)は、メキシコの麻薬王マニタスから「女性としての新たな人生を用意してほしい」という極秘の依頼を受ける。リタの完璧な計画により、マニタスは姿を消すことに成功。数年後、イギリスに移住し新生活を送るリタの前に現れたのは、新しい存在として生きるエミリア・ペレス(カルラ・ソフィア・ガスコン)だった。過去と現在、罪と救済、愛と憎しみが交錯する中、運命は思わぬ方向へと大きく動き出す――。
監督と脚本を手がけたのは、『ディーパンの闘い』(2015年)で「第68回カンヌ国際映画祭」パルムドール、『ゴールデン・リバー』(18年)で「第75回ベネチア国際映画祭」銀獅子賞(監督賞)を受賞するなど、世界で高く評価されているフランスの名匠ジャック・オーディアール。72歳のベテラン監督とは思えない瑞々しい感性で新境地を切り開き、破天荒なストーリーをミュージカル仕立ての圧巻のエンターテインメントへと昇華させた。
出演は、ハリウッド超大作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのゾーイ・サルダナ、自身もトランスジェンダー女性であるカルラ・ソフィア・ガスコン、全米の若者から絶大な人気を誇るセレーナ・ゴメス、国際的に活躍するメキシコ出身のアドリアーナ・パス。昨年5月の「第77回カンヌ国際映画祭」では、審査委員長を務めたグレタ・ガーウィグ(『バービー』監督)に「それぞれが際立っていたが、一緒になると超越していた」と称えられ、女優賞をアンサンブル受賞した。
制作は、フランスのラグジュアリーブランド「サンローラン」より誕生した映画制作部門「サンローラン プロダクション」。クリエイティブ・ディレクターのアンソニー・ヴァカレロがサンローランのために構想し、ラグジュアリーブランドとして初めて本格的な映画制作を行うことを発表した同部門は、これまでウォン・カーウァイやペドロ・アルモドバル、ジャン=リュック・ゴダールなど世界を代表する巨匠監督とのタッグによる作品を次々と発表。満を持しての長編1作目となる本作で大躍進を遂げた。
ゴールデングローブ賞で初受賞となったゾーイ・サルダナは「ゴールデングローブ賞が私たちの映画を称え、『エミリア・ペレス』の女性たちに敬意を表してくれたことに、心から感謝します。私にとって初めてのことで、この瞬間をセレーナ(・ゴメス)やカルラ(・ソフィア・ガスコン)、ジャック(・オーディアール)、そしてほかのノミネート者の皆さんと分かち合えていることを、本当に光栄に思っています。(中略)そしてカルラ、あなた以外にエミリア・ペレスを演じられる人はいません。誰も。あなたは唯一無二です。あなたは唯一無二です…」と感無量の面持ちでスピーチ。
作品賞受賞に際しては、主演を務めたカルラ・ソフィア・ガスコンが「光は常に闇に勝つ。私たちを牢屋に入れたり、殴ったりすることはできても、私たちの魂や抵抗する気持ち、アイデンティティを奪うことは決してできない。私は皆さんに、“私は勝った”、“私は私であり、あなた方が望む私ではない”と言ってほしいのです」と、トランスジェンダー女性としての自身のアイデンティティを重ねて、万感の想いを語っていた。
同じくアカデミー賞前哨戦として重要な位置につける北米の放送映画批評家協会が選ぶクリティクス・チョイス・アワードでは、作品賞、監督賞、主演女優賞など主要部門を含む10の部門でノミネート、そして、アカデミー賞では国際長編映画賞など5部門でショートリスト入りしたことが発表されており、快進撃は続きそうだ。
主要部門を含む「第97回アカデミー賞」ノミネート発表は現地時間今月17日、受賞結果は3月2日に発表。賞レースを大いに盛り上げている本作の行方、カルラ・ソフィア・ガスコンが、トランスジェンダー女性としてアカデミー賞史上初の女優賞受賞となるか、注目だ。日本では、3月28日より全国公開。
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