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加藤シゲアキ、“直木賞落選”の夜を機に…能登半島地震チャリティー小説が誕生 葛藤も吐露「書籍でしかできないことがある」

ORICON NEWS / 2025年1月21日 14時22分

能登半島地震チャリティー小説の誕生秘話を語った加藤シゲアキ (C)ORICON NewS inc.

 3人組グループ・NEWSのメンバーで作家の加藤シゲアキが21日、都内で行われた能登半島応援チャリティー小説『あえのがたり』発売記念会見に登壇した。今作は加藤、同席した小川哲氏、リモート参加となった今村翔吾氏による呼びかけで集まった10人の作家によるアンソロジー。実際に能登を取材した加藤が、今作への思いを明かした。

【写真】意外な繋がり…!小川哲との出会いを明かした加藤シゲアキ

 今作に参加したのは加藤、小川、今村の同世代の作家のほか、朝井リョウ、麻布競馬場、荒木あかね、今村昌弘、佐藤究、蝉谷めぐ実、柚木麻子。『あえのがたり』とは、能登地方に伝わる伝統儀礼「あえのこと」から発想されたものとなる。あす22日に発売される。



 昨年、直木賞の候補となり選考までの間に能登半島地震が発生。30年前には阪神・淡路大震災を経験した過去を持ち、「自分のなかでなにか、作家として力になれることはないか」「小説で被災地を盛り上げたり、支えたりすることはできないだろうか」と考えたという加藤。

 そして今村氏と行っていた直木賞落選の“残念会”の食事会に、小川氏も来たことで今回の3人が集合。東日本大震災のボランティアにも参加していた今村氏は「作家になってからなにかをしたことがなかった。”作家ならでは”のことができる初めての機会になる。文壇のなかでは若い部類に入るので、現役世代の作家がなにかやることには意味がある」と力を込めた。

 “残念会”にやっていたことで今回の発起人となった小川は「加藤さんからチャリティーをやりたいと話しがあって賛同した上で、なにができるか考え、加藤さんが落ちたからこそ、この仕事ができた、と胸を張れるといいな、という気持ちがあった。受賞していたらこの本はなかったかもしれない。結果的に落ちてよかったんじゃないか」と前向きに明かした。

 実際に加藤は、昨年8月に被災地の書店を中心に能登へ取材に訪れた。「被災地に話を聞きに行くのは、逆に迷惑をかけてしまうのでは」という迷いもありながら「それでも書籍を求めている人はいる。たくさんではないけど書店に足を運んでいる人がいるのはチャリティ小説を書く意味でもあるのかな」と実感。ただ寄付するのではなく「産業という意味で力になりたいと思った。自分にしかできないことということで、チャリティー小説という形で買ってくださり、読んでくだされば、書店という意味の産業を盛り上げることができるのかな」と意図を明かした。

 そして「どこかで意義を感じながらも、僕のエゴなのではないか、小説を出す意味はあるのかという葛藤があって。でもやらないよりはやったほうがい。書籍でしかできないことがある。すぐに形にはできないけど1年経って復興やチャリティーで長く寄付できたり、力になれることもあるのではないか。なにより人の心を物語を通して、揺さぶることができるのではないか、それは小説の力ではないか」と訴える。

 また「どれも本当におもしろく趣向が凝らされていてバラエティー豊か。チャリティーアンソロジーということを除いてもすごく面白い。かたい作品だと思って手を伸ばさない方もいるかなと思うんですけど、気軽に手にとって読んでもらえるとうれしい、すばらしい短編集だと思います」と自信をみせていた。

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