GLAY、30周年はあくまで通過点 “これから”のワクワク感に満ちあふれたツアーファイナル【ライブレポ】
ORICON NEWS / 2025年1月23日 18時0分
『GLAY 30th Anniversary ARENA TOUR 2024-2025“Back To The Pops”Presented by GLAY EXPO』ツアーファイナルの模様(写真:岡田裕介)
30周年イヤーを疾走中のロックバンド・GLAYが、19日に横浜アリーナで『GLAY 30th Anniversary ARENA TOUR 2024-2025“Back To The Pops”Presented by GLAY EXPO』ツアーファイナルを開催した。
【写真】圧巻の光景!GLAY『Back To The Pops』ツアーファイナルの模様
全国8都市15公演で約15万人を動員した本ツアーは、17枚目の最新アルバム『Back To The Pops』を引っ提げたもの。4人の生粋のロックキッズ魂を炸裂させた同アルバムは、30年という歳月を重ねてなおバンドとして前に進み続けていることを証明した内容だった。同アルバム収録の「なんて野蛮にECSTASY」で幕を開けたこの夜も、まさに“これからのGLAY”を予感させるワクワク感に満ちあふれていた。
2000年代のシングル曲「天使のわけまえ」「ASHES-1969」とハイテンションなロックナンバーが続き、TERUが「オッケー、全員の声を聞かせてくれ!」と煽ると、地鳴りのような歓声が会場を揺さぶる。さらに時代は遡り、90年代の名バラード「春を愛する人」、ヒット曲「SOUL LOVE」から、最新アルバム収録の「海峡の街にて」「さよならはやさしく」へと、過去と現代をシームレスにつなぐライブ前半のセットリストは、GLAYの足跡と革新を体現しているかのようだった。
GLAYが名実共に国民的ロックバンドであるゆえん。それは30年にわたって数多くの“みんなで歌える曲”を紡いできたからにほかならない。この夜もTERUが向けるマイクに、オーディエンスから大合唱が起こる場面が何度もあった。
中でも感動的だったのが、30周年の直前に制作されたGLAYとファンの絆を象徴する楽曲「Buddy」での一幕だ。大サビの<ラララ>と<ヘイ>のコール&レスポンスのタイミングがやや難しい曲だけに、TAKUROも「いろいろ詰め込みすぎました」と苦笑しつつ、「バンドだけでは成り立たない曲です。40周年をTERUと迎えたい人は<ラララ>を、50周年をTAKUROと迎えたい人は<ヘイ>を、そして60周年をGLAYと迎えたい人は、ぜひ<ラララ>と<ヘイ>を一緒に歌ってください!」と呼びかける。“60周年”という未来への約束にファンも大歓喜。会場が一体となったコール&レスポンスとジャンプは、プラチナチケットとなったこの夜、幸運にも会場に足を運ぶことのできたファンの最高の思い出になったはずだ。
最新アルバムを中心に過去曲や代表曲で構成されるのが、アルバムツアーのセオリーだ。本ツアーでも当然ながら『Back To The Pops』収録曲がふんだんに盛り込まれたが、「アルバムツアーに止まることなく今後のライブの定番曲になるのでは?」と思わせられた楽曲がいくつもあった。それほどまでにアルバム曲に対するオーディエンスの反応がビビッドだったのだ。
ソリッドなギターリフにキャッチーなメロディー、疾走感にあふれたサビの「BRIGHTEN UP」では、TERUの「カモン!」に呼応してファンが「BRIGHTEN UP!」と意気のあった声を上げる。タイトな8ビートのビートロック「Romance Rose」では小気味良い横ノリが、破壊力抜群の「会心ノ一撃」では拳を振り上げる腕が止まらない。
ファンにとっては30年間に紡がれてきたどの楽曲も愛おしい。その上でTAKUROが「30年目のデビューアルバム」と評した『Back To The Pops』は、“これからもずっと聴きたいGLAY”が詰め込まれた1枚になったと言えるだろう。
本アルバムに初めて収録された「Beautiful like you」は5~6年前から披露され、すでにライブ定番曲となっている。この夜はTERUから「日頃の感謝を伝えるとしたらこの曲。みなさんに愛を、そしてずっと一緒にいようという気持ちを届けたい」と紹介された珠玉の冬バラードだ。これからも大切に歌い続けたい──。そんなTERUの思いが、「あなたに、あなたに、あなたに……」と歌い終わるのを惜しむように繰り返すラストの歌詞にあふれていた。
この日は映像素材用のシューティングが行われており、ドローンをはじめとするカメラが多く稼働していた。ライブ冒頭では「見にくいこともあるかもしれないけど、その分、俺たちが動きますので!」とTERUが宣言。その言葉に違わず、「誘惑」「V.」「疾走れ!ミライ」とハイテンションなパフォーマンスはライブ終盤になってますます加速していく。ライブを全身で楽しむ姿は、30年という歳月が不思議なくらいロックキッズそのものだ。
アンコールのMCではHISASHIの無茶振りで、X JAPANの「X」をメンバー一同が演奏する一幕もあった。HISASHIいわく「Xジャンプには上がらなかあった肩が上がる効果がある」という。演奏に合わせてXジャンプをするファンを満足げに眺めながら「これからもこの曲を弾けることを願い続けるHISASHIでした!」と破顔した。
アンコールらしいリラックスしたムードながら、4人が30年という重みをかみ締めていたことは幾度となく口にした感謝の言葉に表れていた。しかしそれもあくまで通過点。この夜はTAKUROから「まだ詳しくは言えないんだけど」としつつも、30周年ベストアルバムに「この曲がリリースされたら、音楽家としての使命が終わるんじゃないか」と思えるほどの楽曲が収録されることが示唆された。
“終わる“という言葉にザワつく会場に、すかさず「いや、やめないから!」とTAKURO。そして来年、再来年リリース予定の新曲のデモ音源をこれから公開することや、実際にリリースされた楽曲とデモを聴き比べて「俺たちがどれくらい成長したかを聴いてほしい」と1、2年越しの構想を語った。キャリアも実績も盤石のポジションを築きながらロックの夢を見続けている。それは取りも直さず、彼らが現役のロックキッズであるからにほかならない。
本ツアーのグランドファイナルは5月31日、6月1日に東京ドーム、6月8日に京セラドームで開催。その前には2月22日にLUNA SEAとの25年越しの東京ドーム競演が控えるなど、エネルギッシュなアニバーサリーイヤーは続く。
JIROの「それまでお互い元気でいましょう!」という誓いの言葉を胸に刻みながらも、この先もずっと10年20年とGLAYと一緒に夢を見続けたいと思ったファンは多かったはず。ライブの締めくくりの定番となっているTERUの「行ってきまーす!」とオーディエンスの「行ってらっしゃーい!」という再会の呼びかけ合いが終わり、客殿が灯っても席を立つファンはほとんどいなかった。
GLAYが4月にベストアルバムを発売する。アルバムタイトルは、2000年にリリースしたベストアルバム“DRIVE”の冠がついた『DRIVE 1993~2009-GLAY complete BEST』『DRIVE 2010~2026-GLAY complete BEST』と題し、オールタイムベストを2タイトル同時リリース。2タイトル同時リリースも2013年以来12年ぶりとなる。
17thアルバムに収録されている「BRIGHTEN UP」のミュージックビデオ(MV)が23日までに公開されている。人気漫画『ONE PIECE』の作者・尾田栄一郎氏が手がけた周年のキービジュアルをCGで動かしたアニメーションで制作されており、「BRIGHTEN UP」の歌詞がGLAYの30年の歩みやこれからの未来を象徴していることから「現代から30年後の未来を描くタイムリープ」をテーマとした世界観となっている。
(取材・文/児玉澄子)
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