日本の小学校を取材した山崎エマ監督の短編ドキュメンタリー「第97回アカデミー賞」ノミネート
ORICON NEWS / 2025年1月24日 2時51分
米映画界で最高の栄誉とされる「第97回アカデミー賞」の各賞の候補作品が現地時間23日に発表され、山崎エマ監督による『小学校~それは小さな社会~』から生まれた短編版『Instruments of a Beating Heart』が短編ドキュメンタリー部門にノミネートされた。日本人監督による日本題材の作品で同部門にノミネートされるのは史上初となる。
【画像】『Instruments of a Beating Heart』場面写真
『Instruments of a Beating Heart』は公開中の『小学校~それは小さな社会~』から生まれた23分の短編版。「ニューヨーク・タイムズ」運営の動画配信サイト「Op- Docs」で配信されている。
イギリス人の父と日本人の母を持ち、日本の公立小学校に通った山崎監督は、大阪の公立小学校を卒業後、中高はインターナショナル・スクールに通い、アメリカの大学へ進学。ニューヨークに暮らしながら、自身の“強み”はすべて、公立小学校時代に学んだ“責任感”や“勤勉さ”などに由来していることに気づいたという。「6歳児は世界のどこでも同じようだけれど、12歳になる頃には、日本の子どもは“日本人”になっている。すなわちそれは、小学校が鍵になっているのではないか」との思いを強め、日本社会の未来を考える上でも、公立小学校を舞台に映画を撮りたいと思ったことから始まった。
コロナ禍の2021年4月から1年間、150日、700時間(監督の小学校滞在時間は4000時間)に及ぶ撮影と、1年を要した編集を経て完成した『小学校~それは小さな社会~』には、掃除や給食の配膳などを子どもたち自身が行う日本式教育「TOKKATSU(特活)」(いま、海外で注目が高まっている)の様子がふんだんに収められている。日本人である私たちが当たり前にやっていることも、海外から見ると驚きでいっぱい。いま、小学校を知ることは、未来の日本を考えることだ、と作品は投げかける。
ノミネートを受けて山崎監督は「言葉が出ないほどの喜びです。日本の教育に光を当てたいと思い続けて10年、このような形で作品が注目を浴び、感謝でいっぱいです」と喜びのコメントを発表。
「世界中の教育現場で、日々次世代の育成に向き合い、社会の未来を作ってくださっている教育関係者の皆様に敬意を表します。日本人監督が日本の題材で撮った作品としては、この部門で初のノミネートということで、これが日本ドキュメンタリー界のさらなる発展につながることを願います」と続け、「今回のアカデミー賞ノミネートに留まらず、この先もドキュメンタリー制作に、より一層の覚悟と情熱を持ち、コミュニティー作りに身を捧げたいと思います」と決意を新たにしている。
「本作の実現にご協力していただいた多くの方々、一丸となり一緒に制作してくれたチーム、そして今の『自分』を作ってくれて、支え続けてくれている家族と仲間に感謝申し上げます」と締めくくった。
山崎監督が編集・コープロデューサーを務める、伊藤詩織監督作『Black Box Diaries』も、今回のアカデミー賞の長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされた。
「第97回アカデミー賞」授賞式は現地時間3月2日、ハリウッドのドルビー・シアターにて開催される予定。
■山崎エマ監督プロフィール
1989年5月18日、神戸生まれ。日本人の心を持ちながら外国人の視点が理解できる立場を活かし、人間の葛藤や成功の姿を親密な距離で捉えるドキュメンタリー制作を目指す。代表作は『甲子園:フィールド・オブ・ドリームス』(2020年)と『モンキービジネス:おさるのジョージ著者の大冒険』(18年)。
最新作『小学校~それは小さな社会~』は世界10ヶ国以上で上映され、日本では昨年12月13日より公開中。子育て世代や教育関係者はもちろん、教員を目指す学生に家族連れも巻き込み、さらには一般映画ファンへも広がりを見せ、ミニシアターランキングでは、公開3週目で4位、4週目には2位、そして5週目にして1位を獲得した。興行収入は3000万円を突破(1月13日時点)し、公開館数は13館から80館へ拡大している。
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