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「市販の風邪薬で風邪は治らない」は本当? 風邪の正体と市販薬の役割とは【医師解説】

ORICON NEWS / 2025年1月24日 11時40分

意外と知らない市販の「風邪薬」の真実とは…?

 寒さと乾燥から風邪をひきやすくなるこの時期。薬局の店頭にずらりと並ぶ風邪薬にお世話になる人も少なくない。「高い風邪薬だとよく効く」「風邪をひきそうだなと感じたら予防的に飲むと風邪をひかない」など体験談を明かす人がいる一方で、「市販の風邪薬では風邪は治らない」といった説も。果たして真実は…!? 改めて知りたい風邪薬と風邪の正体について、わしお耳鼻咽喉科・鷲尾有司院長に話を聞いた。

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Q.「市販の風邪薬で風邪は治らない」のでしょうか?

【鷲尾院長】 残念ながら風邪薬の目的は症状緩和です。風邪薬は風邪を治すための薬ではありません。どうしてかというと、それは風邪の正体にあります。風邪は原因不明の病気です。原因不明といわれるとちょっと怖い感じがしますが、風邪というのはそもそも病名ではありません。色々な病気の集まりで正しくは「風邪症候群」と呼ばれます。



 鼻やのどの調子が悪ければ全部「風邪」ということになります。もっと大雑把に言えば、「お腹の風邪」という言い回しなどがあるように、なんでも体調が悪いと「風邪」という表現になります。つまり、風邪は原因がわかってない=原因不明の病なのです。

 病院では風邪の患者さんをどのように診察するのでしょう。まずは、問診と視診より炎症が起こっている部位や程度により原因を追究するかしないかを判断します。次に、原因を調べる必要がありそうであれば検査を行います。検査を行わなければ、視診で明らかに診断がつく場合以外は「すべて風邪」ということです。

 風邪の原因と言われるたくさんのウイルスや細菌に効く可能性が高いのは、自分の免疫であり、どの薬よりも効果的です。風邪薬は風邪を治すものではなく、自分の免疫で自分を治療している間に症状の緩和を目的に服用します。

Q.市販の風邪薬を選ぶ際には、どのようなことに気を付ければよいでしょうか?

【鷲尾院長】 まずは自分の症状にあったものを選ぶ必要があります。一般的に風邪の症状は数日で変化していくことがほとんどです。例えば、初めはのどの痛みや熱、次に咳と鼻水といったように変化します。まずは、一番しんどい症状に合わせて選ぶ方が良いでしょう。

 総合感冒薬と言われるものには咳が出ていないのに咳止めの成分が入っていたり、鼻水はないのに鼻水を抑える成分が入っていたりします。薬は常に副作用を気にしながら飲むものですから、必要のない成分ができるだけ入っていないことが望ましいです。

Q.市販の風邪薬を服用する際の注意点は?

【鷲尾院長】 薬は副作用と背中合わせであることに注意して、添付文書(説明書)をしっかり読んでから服用することが大切です。特に普段から薬を常用している人は飲み合わせや重複に注意する必要があります。飲み合わせがわからない場合は、常用している薬か風邪薬のどちらかを休薬する方が安全です。

 風邪薬のみを内服する場合は、あくまでも常用薬を休薬しても良いかの確認を主治医の先生にしてからになります。風邪をひくと、ついつい風邪薬を飲みたくなってしまいますが、症状緩和が目的であることを忘れないようにしてください。

 また、もう一つの注意点は「風邪は診断がついていない」ということであるので、経過が悪かったり、長かったりする場合やよく繰り返す場合は、市販の風邪薬だけではなく、病院を受診することをお勧めします。

Q.風邪を早く治すには、どのようなことが大切ですか?

【鷲尾院長】 風邪の特効薬は自分の免疫です。風邪を早く治すコツはしっかりと自分自身の免疫を働かすことになります。そのためには栄養をつけること、睡眠を十分にとることが一番です。風邪にかかったときにではなく、普段から気を付けて免疫が十分に働く状態であれば、風邪をひきにくくなりますし、かかっても早く治ることになります。

PROFILE/鷲尾有司(わしお・ゆうし)院長
わしお耳鼻咽喉科 院長。大学病院勤務後、市立貝塚病院(医長)を経て2011年に「わしお耳鼻咽喉科」を開院。日本耳鼻咽喉科学会認定専門医、日本アレルギー学会認定専門医。

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