小谷実可子、世界マスターズに出場するメンバーを紹介(1)「2人の姿を見て、エネルギーをもらっています!」【連載3回目】
ORICON NEWS / 2025年1月28日 7時0分
2025年7月にシンガポールで開催される世界マスターズ水泳選手権に出場することを発表したアーティスティックスイミング(AS)の小谷実可子(58)。7月30日の初戦まで残り184日。
【写真】世界マスターズに向け…小谷実可子の練習風景
挑戦の軌跡を記す連載『生涯現役!58歳 アーティスティックスイミング小谷実可子の挑戦』の3回目となる今回は『メンバー紹介・第一弾』。小谷と共にチーム種目に出場する箱山愛香(33)、木村叶(32)と3人でトーク。『大会出場の経緯』、『チーム結成から現在までの振り返り』、『現在の心境』などついて赤裸々に語ってもらった。
――チーム種目で共に演技を行う箱山さん、木村さんについて教えてください。
小谷:箱山愛香(はこやま・あいか)さんは、2016年のリオ五輪のシンクロナイズドスイミング(現アーティスティック)のチーム種目で銅メダルを獲得した方です。チームではムードメーカー! とにかく明るくて頑張り屋さんで、リーダーシップも発揮してくれています。かなり年下ですが、頼りがいのあるメンバーです。
木村叶(きむら・かな)さんは、2015年スペインオープンの銀メダリストで、アーティスティックスイミング(以下AS)大好きエネルギーが本当に凄いんです! ただ実は、まだ掴み切れていないところがあるんですけど…いい意味で細かくて、私の詰めの甘さをきちんと確認してくれます(笑)。チームの中では『しっかり屋さん』です。
実は2人ともエキシビションなどでは一緒に泳いだことはありますが、競技としては初めて泳ぐことになります。
――2人(箱山、木村)はどのようなきっかけでシンガポール大会に出場することになったんでしょうか?
小谷:当初は、4人(小谷実可子、安部篤史、渡辺千晶、藤丸真世)でチームを組もうと思っていました。でもチームだと4人よりも人数が多い方が良いし、もし万が一に仕事やプライベートで何かがあったとき、1人が欠けてしまったらチームとして成り立たなくなってしまう。
2人ともお子さんも小さいし、やりたいって言ってくれるか分からないけど「一緒に挑戦してみない?」と声を掛けたんです。そして、ご家族の理解もあり挑戦を決意してくれました。やっぱりとてもうれしかったですし、感謝もしています。家庭や仕事で大変な中、頑張って練習をしている姿を見て、エネルギーをもらっています。
箱山:「誘われたから“やる”というのは違うからね。箱山さんが『やりたいか?やりたくないか?』というのを基準にしてきちんと考えてほしい」と、最初に(小谷)実可子さんから言われました。私は子供が生まれてから育児中心の生活を送っていました。子供の成長を見ていたかったので今回挑戦をすることで「それができなくなるんじゃないか?」ということが不安でしたね。
でもやっぱりASが好きで、泳ぎたい。そして実可子さんと競技大会で泳げるチャンスなんて、もう無いのかもしれないと考えました。そして、夫に相談したときに「家族で挑戦しよう」という前向きな言葉をもらい決意しました。
木村:私は子育をしながら仕事もしていて、現在夫が海外赴任なので普段は1人で子供2人を見ている状況です。
ただ一番初めに思った事は、2023年に九州で開催された世界マスターズ水泳選手権に出場したときに同年代のメンバーで出て、それが凄く楽しかったんです! 昨年のドーハ大会は出場できなかったのですが、シンガポール大会は日本から比較的に近いし、出場したいなと考えていました。そんな時に小谷さんから誘われて、家族に相談する前に「出たいです!」っていっちゃったかもしれません(笑)。
現在は、遠方にいる母に長期で滞在してもらって、練習に行ける時間を作っています。子供たちにも演技を見せることができるというのも良い経験になりますし、頑張っている母の姿を見せたいなと考えました。
――チームが結成されて約3ヶ月が経過しました。ここまでの練習の振り返ってみていかがですか?
小谷:2人は、私が現役のころにテレビで見てくれていた世代なので、凄いジェネレーションギャップがあります(笑)。だから、指導を受けたコーチも全く違いますし、その時々のトレンドもあるので、同じASでも全く違います。ただそのような中でも(箱山)愛香ちゃんは、こういう風にカウントを取るんだとか、こういうふうに沈みこむんだとか、私たちの時代はNGだったことも今は大丈夫なんだ!とか、本当に発見があるんです。
実は10月にチームを組んでから、全員で練習ができたのは2回しかないんです。子育てに奮闘している2人に加え、ウィークデイで仕事している人など、ライフスタイルが違うので、本当に揃うことが難しいんです。全員が集合する時間は少ないのですが、世代が違うメンバーで組んでいるからこそ、様々なアイデアを出し合うことができています。
それと私がメンバーの中で一番年長なのに、ソロ、混合デュエット、チームの3種目に挑戦することを決めたので、特にチーム種目では足を引っ張らないようにしないといけないというのも感じています。みんながこれから合ってきて、本番に向けて本格的になっていくので、本当に「マグマの中を泳いでいる」みたいな感じで必死に練習しています。想像していたよりも3000倍ぐらい大変だなっていう気持ちですね(笑)。
箱山:私は何より(小谷)実可子さん、そして渡辺千晶さん(2003年世界水泳選手権・銀メダリスト)、藤丸真世さん(2004年アテネ五輪・銀メダリスト)といったテレビの画面でしか演技を見ていなかった方たちと一緒に大会に向けて泳ぐことができているので、今は夢のような時間です! もちろん全員の演技が合うまでには時間がすごく掛かりますが、素晴らしいものを作っている過程がすごく楽しいんですよね。
木村:エキシビションとは違い、大会では得点が出るので、(演技の)決め事や合わせなきゃいけないことがたくさんあります。各年代でやってきた演技も違うので、合わせるのがすごく難しいです。ただ、その一方で各選手には様々な技があるので「そっちの方がキレイに見せられるかも!」とか、いろいろなアイデアが出てくるので、面白いと感じながら練習ができています。
――7月の大会本番が近づいてきました。現在はどのような気持ちですか?
小谷:年が明けた時に、『シンガポール大会イヤー』の幕開けだと思いましたね。ミックスデュエットは衣装もでき、25日に開催されたKOSUKE KITAJIMA CUPのエキシビションで、演技を初披露しました。
チームとソロについては、まだちょっと先かなという感じはしますが、まず一つミックスデュエットが形になったので、体の不安はあるのですが…楽しみもあるので、今の心境は不安と楽しみが半分半分です。
箱山:初詣でに行った時、「世界マスターズで金メダルが取れますように」とお願いした時に、私に夢がある1年なんだというのを思って、凄くうれしかったです。
ただ同時に、採点されるという恐怖もあります。私はそこから一線を引いているので、人に評価されることの恐ろしさも半分ぐらいはあるんですけど…練習に行くとそれを忘れるくらい本当に楽しいし、その気持ちのほうが勝ります。そのエネルギーを保ちつつ、本番で演技したいです。
木村:カレンダーに練習の予定を入れていくと、「あ!もうこの日が来た」とか、練習日も迫ってくるのが早くて、みんなの予定が合う日とか、いろいろ見ていくと本当にあっという間に本番がやってくるんだなと実感しています。本番に向けて、1回1回の練習を本当に大事にしていきたいです。
■小谷実可子(こたに・みかこ)
1966年8月30日生まれ、東京都出身。ソウルオリンピックでは夏季オリンピック初の女性旗手を務め、ソロ・デュエットで銅メダルを獲得。1992年に現役引退。東京2020招致アンバサダーを務めるなど国際的に活動。東京2020オリンピック・パラリンピックでは、スポーツディレクターに就任するなど幅広く活躍。日本オリンピック委員会 常務理事(JOC)、世界オリンピアンズ協会 副会長(WOA)、日本オリンピアンズ協会 会長(OAJ)など、15の役職をこなしながら、2025年7月に開催される世界マスターズ水泳選手権(シンガポール大会)で、4つの金メダル獲得を目指している。
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