フジテレビ、怒号飛び交った10時間半 “やり直し会見”の要点を振り返る
ORICON NEWS / 2025年1月28日 2時28分
フジテレビ記者会見に出席した(左から)清水賢治新社長、遠藤龍之介フジテレビ副会長、港浩一フジテレビ社長、嘉納修治フジテレビ会長、金光修フジメディアホールディングス社長(C)ORICON NewS inc.
フジテレビは中居正広氏の女性トラブルに同局員の関与を指摘する一連の問題を受け、27日午後4時から2度目の記者会見を開いた。批判を招いた1度目の会見の教訓を生かす形での会見だったが、終了したのは午前2時半前。会見時間は10分程度の休憩を含め約10時間半にも及んだ。191媒体、437人が参加するなど過去に例を見ない経緯、そして日をまたぐほどに長時間にわたって開催された“やり直し会見”の要点を振り返る。
【写真】深々と…頭を下げて謝罪した港浩一氏らフジテレビ幹部
2度目となる今回の会見では、参加メディアを限定せずに各媒体4人程度を受け入れ、テレビカメラの参加も許可。10分間のディレイをつけてTVer(ティーバー)やFNNプライムオンラインでも配信した。冒頭の役員発言までは急きょ、生配信となった。この日、参加メディアの受付開始時刻は午後2時だったものの、受付開始前から数百人が本社前に集まった。午後2時すぎから受付が開始されたものの、入館前には厳重な手荷物検査も行われ、物々しい雰囲気が漂った。
午後4時からはじまった会見には辞任を発表したフジテレビ港浩一社長、嘉納修治会長のほか、遠藤龍之介副会長、フジ・メディア・ホールディングス(HD)金光修社長、新社長に就任することが発表されたフジ・メディア・ホールディングス(FMH)の清水賢治専務が登壇した。
■会見の冒頭でフジ会長、社長の辞任を発表 港氏は被害女性に謝罪
会見の冒頭、嘉納修会長は「人権に対する意識の不足から 十分なケアができなかった当事者の女性に対し心からお詫び申し上げます。一連の報道によりまして、視聴者の皆様方、広告主、広告会社の皆様方、 株主の皆様方、メディアの皆様方、そして出演者の皆様方、制作会社の皆様方、取材先、宛先でご協力いただい皆様、みなみな皆様方に多大なご心配とご迷惑をおかけしたことを 心よりお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした」と謝罪。自身と社長の港浩一氏の同日付の辞任を発表した。
港社長も「願わくばご本人にお会いして直接お詫びしたいと考えております」と述べた。港氏は、2023年6月時点で被害女性から報告を受けていたものの、「誰にも知られずに仕事に復帰したいという女性の意思を最大限に尊重するとともに、心身のケアを第一に、医師の指導に基づき、体調の回復と最優先にしてまいりました。本人のために絶対に情報を漏えいさせてはいけないという強い思いのもと、限られたメンバーで情報を管理しながら女性の体調を復帰を待っていました」とコメント。
一方で「本件は人権侵害が行われた可能性のある事案であります」とし、「必要な報告や連携が適切に行われなかった。いま振り返れば、対応に至らない点があったと痛感」「私自身が人権への認識が不足していた」と謝罪した。
■「個人の特定に繋がるご質問はお控えください」を連呼、記者は反発
会見では、質疑応答に入る際、司会が「当該女性のプライバシーの保護が最優先であるとの思いは、当初より一貫したものです。本日の会見も、名前、所属先、肩書などを含め個人の特定につながるご質問はお控えください。また、個人の人権侵害、誹謗中傷ととられる発言もお控えください」との案内があった上で開催された。
最初に質問のマイクを持った男性記者は、一部で報じられている被害女性から相談を受けたという人物について追及。しかし司会男性が「個人を特定する具体的な質問は…」「一部報道では出ておりますが、プライバシーの観点から…」と制止。さらに記者が「上役の女性アナウンサー」と濁して表現してもストップがかかり、これには記者も「質問できないじゃないか!冗談じゃない!」と声を荒げた。
■日枝久氏不在に指摘相次ぐ 進退含め登壇者全員が多くを語らず
会見には社長、会長を歴任し、同局の役員を40年以上務める日枝久氏(フジ・メディアHD取締役相談役、フジテレビ取締役相談役)は、同局労働組合の要請があったものの、最後まで姿を現すことはなかった。質疑応答では「なぜここに日枝氏がいないのか」と質問があった。嘉納氏、港氏の辞任の理由として、取締役の義務を果たしてなかったということが1つの要因という中で、報道陣は「長く取締役をやってきた日枝氏が最も責任が重いはずですが、なぜここにいないのでしょうか」と語気を強めた。
さらに日枝氏の進退に関する質問も相次いだが、登壇者全員、多くを語ることは最後までなかった。これには報道陣から「なんで逃げるんだよ!」との怒号が飛び交う事態となった。
■港氏、女性アナを「接待要員として考えたことはない」
男性リポーターから「会社の空気として女性アナウンサーを“接待要員”として扱うことが常態化していたか」という趣旨の質問が飛んだ。この質問に港浩一社長が応じ、「タレントさん、番組出演者と打ち上げ、新年会等々で会食をすることはあります。その中に女性アナウンサーが参加するときはあります」と言及。
その上で「接待要員としてと考えたことはありません」と断言し「一緒の仲間の一人として宴席を囲むという感覚でずっといましたので、接待要員という認識は私個人の感覚ではずっと持っておりません」と重ねて述べた。
■港社長、中居氏に対する思い「怒りを感じた」一方、正式な調査行わず
報道陣から「フジ幹部は中居氏に関して怒りは持っているのか?」と問われた港氏は「『怒り』という言葉でいいと思う。それ(怒り)は感じました。まだ、細かいことは分かっていないが、怒りは感じた」と言葉を選びながらも回答した。
続けて「背景にあるその前の出来事がつまびらかにされていませんので、調査をしっかりしたい」と述べた。
一方、会見で、おととし6月に女性と中居氏との間のトラブルを確認し、社長を含む数人で共有されたものの、「適切に社内で共有されず中居氏に関しても正式に調査は行われなかった」と明らかに。
調査をせずに中居氏を番組で起用し続けたことについては「女性へのケアとは別に、中居氏に対する調査を行ったうえで、番組出演の継続について判断する必要があった」と釈明した。
■問題をコンプライアンス推進室に共有せず 港社長「今振り返ると反省」
会見では一部報道であった2023年6月のトラブル把握後、コンプライアンス推進室には共有しなかったことを明かした。
共有しなかった理由については「彼女の心身の状態を最優先にしていく時に、なるたけ少人数でという本人の希望。それと女性の心身の状態等を側で診ている医師や接触している社員が、そういう風に判断した。なるべく少人数で職場復帰できるまで寄り添っていこうと」と説明した。
社員がトラブルに遭った時のルールについては、「ありますし、機能しています」とし断言。しかし「ただこの案件に関してはいわば特殊な案件として進めてきたのが現実。今振り返ると違うやり方があったのじゃないかと反省しています」と述べた。
■「認識の違い」めぐり発言訂正 記者の追及に会見場は紛糾
会見では、2023年6月に起きた女性と中居氏の間でトラブルについて「中居氏と女性とは異なる認識を持っていた」との説明があった。質疑応答では中居氏からはトラブルについて、2023年7月に報告があったと明らかに。その後、幹部社員は複数回にわたり、中居氏から話を聞いたという。
報道陣から中居氏と女性との「認識の違い」の聞かれると、遠藤龍之介副会長は「認識の違いについて、ちょっと踏み込んだことを申し上げるとすれば、意思の一致か、不一致ということかと思います」と発言した。さらに記者が「同意か、不同意という意味」と尋ねると、「そうです」と返答。
続けて、「中居氏は同意のもとだったと認識して説明していたということ?」と問われると、遠藤氏は「はい、おっしゃる通りです」と述べた。
その後、広報局員から紙が渡され、遠藤氏は「『認識の違い』については2人だけの事案であり、同意の有無という言葉を撤回し、その内容は『お答えできない』と訂正させていただきます」とした。
トラブルの核となる部分での訂正に、報道陣から混乱する声が続出。その後の質問でも何度も、「認識の違い」に関する質問が飛び交いそのたびに会見場は紛糾。それでも遠藤副会長は同じ回答を繰り返すことに徹した。
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