2024年の映画興行収入、邦画が歴代最高を記録 アニメ比率が2000年以降最大に

『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』（C）2024 青山剛昌／名探偵コナン製作委員会（C）2024「ハイキュー!!」製作委員会（C）古舘春一／集英社

　日本映画製作者連盟（映連）は29日、都内で記者会見を開き、昨年（2024年）の映画産業概況を発表した。昨年国内で上映された映画の興行収入（興収）は、興収を発表するようになった2000年以降、邦画が歴代最高の興収を記録する一方、洋画は23年の米ハリウッドのストライキの影響もあってか、大幅に減少した。また、アニメのシェアが過去最高となった。また、映画輸出も12年連続で右肩上がりが続いていると報告した。

【画像】最強メガネ男子！公開された『コナン』×『ハリポタ』ビジュアル

　2024年の年間興行収入は2069億円で、前年と比べて144億円の減少（前年比93.5%）となった。これは2000年以降で11番目の記録で、コロナ明けの2022年以降、2000億円台を維持しており、回復基調が続いていると言えそうだ。

　興収の内訳を見ると、邦画は興収1558億円（前年比76億円増／105%）。歴代最高の興行収入を記録し、これまで1位だった2016年（1486億円）を大きく上回る結果となった。

　一方、洋画は興収511億円（前年比221億円減／69.8%）。コロナ前の5年間の洋画の中位平均は1001億円だったことを考えると、約500億円減少となった。映連の島谷能成会長は要因の一つとして「23年のハリウッドのストライキ（脚本家協会・俳優協会）の影響を大きく受け、制作の停滞が24年の興収に影響を及ぼした」と見解を述べた。

　入場者数は1億4444万人（前年比1109万人減）。公開本数は、1190本（前年比 -42本）で、2000年以降4番目に多かった。内訳は、邦画が685本（前年比+9本）で、コロナ前の平均606本と比較すると+79本。洋画は505本（前年比-51本）で、この5年間ではコロナ禍の影響を受けて公開本数が激減した2021年の490本に次ぐ少なさ。邦画・洋画の構成比は、邦画75%（前年比+8.4ポイント）、洋画25%。大きく落ち込んだ洋画に対し、邦画はそれを補って余りある大幅増となった。

　興収10億円以上の作品は、邦画31作品（前年比 -3作品、興収合計1050億円）で、上位10作品のうち6作品がアニメ。興収50億円超えの作品は7本（前年比+2本）。洋画は10作品（前年比-5作品、興収合計252億円）で50億円以上の作品は1本のみ（前年比-1本）だった。

　アニメと実写の比率は、邦画ではアニメ58%、実写42%。洋画を含めた全体ではアニメ57%、実写43%となり、2000年以降、アニメ比率が最も高い年となった。2024年は100億円超えが2作品しかなかったが、ともにアニメ（『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』『劇場版ハイキュー！！ ゴミ捨て場の決戦』）だったことも比率の高さに影響していると考えられる。

　ODS（Other Digital Stuff＝映画以外のコンテンツ、ライブビューイングは除く）関連の興収は246億円（前年比82%）。2012年は47億円だったODSが、12年で約5.2倍に。映画館は映画を上映する場にとどまらず、多様な映像コンテンツを提供する場へと進化しており、今後も拡大が見込まれる。

　映画輸出実績は、映連加盟社とそのグループ会社（松竹、東宝、東映、東映アニメーション、KADOKAWA）が、日本映画関連の権利（※）を利用して得た収入の合計が5億4030万ドル（前年比112%）となり、12年連続の右肩上がりとなった。やはり、アニメ作品が好調で、実写作品も堅調に推移しているという。

■映画輸出実績（　）内は前年比
2014年：7764万6000ドル（119％）
2015年：1億1659万7000ドル（150％）
2016年：1億6282万3000ドル（140％）
2017年：2億2106万6000ドル（136％）
2018年：2億8445万9000ドル（129％）
2019年：3億2778万7000ドル（115％）
2020年：3億7644万9000ドル（115％）
2021年：3億7745万7000ドル（100％）
2022年：4億2814万9000ドル（113％）
2023年：4億8332万8000ドル（113％）
2024年：5億4030万6000ドル（112％）

※日本映画関連の権利＝映画・テレビ映画の海外配給権、海外上映権、リメイク権、海外放送権、海外二次利用権、映画・テレビキャラクター商品化権