洋画不振、邦画4社トップが私見を述べる 映画産業の成長には再活性化が不可欠
ORICON NEWS / 2025年2月2日 12時10分
先月29日に日本映画製作者連盟の発表があり、連盟会長の島谷能成氏、加盟4社(松竹・東宝・東映・KADOKAWA)の代表がそろって出席するなか、洋画作品の興行収入の低下が話題となった。
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2024年の年間興行収入は2069億円で、前年と比べて144億円の減少(前年比93.5%)となった。興収の内訳を見ると、邦画は興収1558億円(前年比76億円増/105%)で、これまで1位だった16年(1486億円)を上回り、歴代最高を記録。一方、洋画は興収511億円(前年比221億円減/69.8%)。コロナ前の5年間の洋画の中位平均は1001億円だったことを考えると、約500億円減少となった。
この洋画不振の要因について、島谷会長は「関係者に話を聞くと、23年の脚本家協会・俳優協会のストライキの影響が大きかった。ストライキが収束した後も、停滞した企画や途中で中断した作品の再開に時間がかかり、大混乱が続いたという。結果として厳しい数字になったのではないか」と見解を示した。
日本と米国では公開時期が異なる作品も多いため、単純に比較はできないが、米国内の24年の年間興行収入(BoxOfficeMojoより)は、約85億6000万ドル(約1兆3300億円※1ドル=155円換算)。前年比は96.2%となり、約3.8%の減少だった。コロナ禍以前の水準には戻っていないが、ストライキの影響はさほど感じられない。日本の観客の「洋画離れ」が進んでいる証拠なのでは?といった記者からの質問に、4社の代表がそれぞれ私見を述べた。
松竹の高橋敏弘社長(高=はしごだか)は「視聴習慣の変化もあるかもしれないが、それ以上に公開延期の影響が大きかった。洋画ファンが映画館に足を運ばなくなり、劇場予告などをきっかけに邦画やアニメ作品を観る機会も失われてしまった感じもある。2025年は洋画のラインナップが充実しており、バランスが改善されれば回復する可能性がある」とコメント。
東宝の松岡宏泰社長は「ストライキの影響はあったかもしれないが、後半にかけて北米ではヒット作が相次いでいた。日本ではそれらの作品がヒットせず、それが影響して前年比70%の落ち込みになったのではないか」と私見を述べた一方、「コロナ禍において日本の映画業界は映画館での鑑賞習慣を守る努力をしたが、その間にハリウッド映画の公開が少なかったため、洋画離れが進んだ可能性はある」と語った。
確かに、コロナ禍の2020年に『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(興収324億円)が『千と千尋の神隠し』を抜いて国内で上映された映画の歴代1位となり、以降、アニメ映画の活況が続いている。
東映の吉村文雄社長も個人的な考えとして、「近年の洋画は、シリーズものやヒット作の続編が多く、新鮮味が薄れているのではないか。例えば、昨年スマッシュヒットした『シビル・ウォー』のように、毛色の違う作品がもっと増えれば、洋画の興行も回復基調に向かうのでは」と語った。
KADOKAWAの夏野剛社長は、吉村社長とは対照的に、「興行収入10億円以上の邦画を見ると、ほとんどがメディアミックス作品(漫画・小説などの原作あり)。一方で、洋画はオリジナル作品が多く、観客が内容をイメージしにくい」と指摘。「邦画の方が“観る前から内容がわかる”という安心感があり、今の観客に選ばれやすいのではないか。ただ、2025年以降はシリーズ作品やトム・クルーズなどの知名度のある俳優が出演する洋画も多いため、回復の兆しがあると思う」と語った。
洋画に比べ邦画が好調だったとはいえ、邦画興収1558億円の約58.6%を東宝の作品(913億4126万円)が占めた。また、邦画で興収10億円以上の作品31本の合計は1050億円で、1558億円の約67.4%に相当する。100億円を超えた大ヒット作は『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』(158.0億円/東宝)と『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』(116.4億円/東宝)の2本で、いずれもアニメだ。公開本数は、邦画685本(前年比+9本)、洋画505本(前年比-51本)。多様な作品があるはずなのに、観られる作品やジャンルが偏っているようにも感じられる。
島谷会長は「2024年は年間に1億4400万人が映画館に足を運んでくれた。映画館に来れば、予告編を観たり、チラシを手に取ったりして、次の作品鑑賞が楽しみになるという流れが生まれる。邦画と洋画、実写とアニメ、映画産業は4つのエンジンで動いている。いつもすべてが好調とは限らないが、バランス良く回って、多様な観客が映画館に足を運ぶことが、映画産業全体の盛り上がりにつながると思う」と話していた。
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